熱帯果実の王様と称される「ドリアン」は、そのユニークな風味と香りで世界中の好奇心を刺激しています。一部の人々にとっては果物の饗宴、一方で他の人々にとっては強烈な香りが遠ざける要因となる、まさに驚異のフルーツです。しかし一度味わえば、クリーミーで豊か、かつ複雑な風味に魅了されることでしょう。本記事では、ドリアンのユニークな魅力とその奥深い美味しさに迫ります。
ドリアンとは?
ドリアンは、元々マレーシアやインドネシアで自生している多年生植物で、現在では東南アジア各地を中心に広く栽培されています。中でも、タイはドリアンの主要な生産国となっており、日本で流通しているものの大半がタイ産です。
ドリアンを特徴づけるのはその外観です。硬いトゲがびっしりと生えており、素手で触れると怪我をしてしまう恐れがあるほどです。この果実は大変大きくて、直径は約15〜30センチにもなり、重さも大きいものは5キロに達することがあります。
そのため、果実を割って中身を取り出すのは手間がかかるため、タイの屋台などでは、すでにカットされた状態で販売されていることが多いです。
ドリアンは多くの理由から「果物の王様」と称されています。その一つに、攻撃的なイメージを持つ硬い殻が、男性的であるとされることがあります。さらに、ドリアンが豊富な栄養を持つため、昔の国王がその活力を高める目的で食べていたという伝説も存在します。また、かつては高価で庶民には手が届かない果物であったため、王室専用の果物とされ、「果物の王様」と名付けられたとする説も広まっています。
ドリアンの風味と香り
ドリアンは、そのごつごつした外見からは想像できないほど豊かな甘さが特徴です。舌触りはまるでクリーミーなカスタードを思わせ、多くの人がその甘美な味に魅了されます。
ところが、その独特な匂いが気になるために口にできないという人もいます。それは腐敗したような臭いとも言われ、その理由は硫黄に似た成分が含まれるからです。この匂いと果実自体の甘い香りが合わさり、特有の香りを放つのです。
ドリアンの匂いは熟れるにつれて強くなります。したがって、新鮮なドリアンはまだ匂いが少なく、初めての人にも食べやすいかもしれません。
匂いの強さゆえに、ドリアンの持ち込みを禁止しているホテルや交通機関もある国があります。しかし、その香りを好む人も少なくありません。このように、好みが大きく分かれる独特な香りを持つドリアンは、まさに特別な果物であると言えるでしょう。
ドリアンを美味しく味わう方法とは?
ユニークな風味と香りで意見が分かれるドリアンですが、どのような楽しみ方があるのでしょうか。
新鮮さを味わう
ドリアンはそのままの状態で味わうことができます。ドリアン愛好者の中には、加工されたものよりも生の状態が最も美味しいと評価する人が多いです。硬い殻を剥くのには多少時間がかかりますが、自宅で中身を取り出してそのまま食べることも可能です。
また、生のドリアンは甘さが際立つ一方で、独特の匂いが最も強く感じられるとも言われています。この香りが平気な方には生ドリアンをおすすめしますが、もし匂いが苦手であれば別の食べ方を試すのも良いでしょう。
冷凍ドリアン
冷凍ドリアンは、その名の通り一度凍らせたドリアンです。日本でもインターネットを通じて手軽に購入できるこの商品は、シャーベットのようにさっぱりとした食感が特長です。特に生のドリアン特有の強い匂いが抑えられているため、初めてドリアンを試す方にもおすすめです。溶け始めるとジェラートのような滑らかな味わいが楽しめ、人気を集めています。
もしドリアンに興味があるけれど匂いが少し心配という方は、冷凍ドリアンを試してみるのも良い方法かもしれません。
ドリアン焼き
タイでは、特に焼きドリアンが人気を集めています。これは、ドリアンを殻ごと炙ることで調理されます。タイの有名店では、直火でじっくり1時間ほど焼くと言われています。匂いが和らぐため、冷凍ドリアンと同様に初心者でも食べやすいのが特徴です。焼くことで果実が柔らかくなり、甘さやコクが増し、香ばしい風味が加わった焼きドリアンは、観光客にも好評です。
自宅でこの味を再現するのは難しいため、いつか現地を訪れた際にぜひ試してみたい食べ方です。