勝ち栗とは

勝ち栗とは
勝ち栗(かちぐり)は、生の栗や蒸した栗を乾燥させ、臼で搗いて殻や渋皮をとって保存食です。「搗(か)ち」という古語が「搗く(つく)」を意味し、ここから「搗栗」とも表記されていました。まり、小粒ながら栄養価が高いことが特徴です。 戦国時代には陣中食として活用され、兵士たちの重要な食料となりました。
かちぐりの由来
勝栗(かちぐり)の由来は、「搗(か)ち」という言葉にあります。この「搗(か)」は、「臼でつく」という意味で、実際に栗の殻と渋皮を取って乾燥させた栗の実を臼で搗くことから名付けられました。さらに、「搗ち」は「勝ち」とも音が通じることから、勝栗は「勝利」を願う縁起物として古くから親しまれてきました。
勝栗は日本の戦国時代に兵糧として保存性に優れていたため重宝され、戦の前に兵士たちが勝利を願って食べる陣中食の一つでした。江戸時代初期には、豊臣秀吉の小田原征伐の際に土民が勝栗を献上した記録もあり、武家社会で「勝軍利(かちぐり)」と呼ばれ特に重視されていたことがわかっています。縁起の良い食として、出陣や試験、スポーツの勝利祈願など様々な場面で用いられ、現代でも受験合格や勝負事の縁起物として食べられています。
このように、かちぐりは単なる保存食というだけでなく、栗を乾燥して臼で搗くという加工方法と、「勝つ」という縁起の良い語呂合わせが結びついた、日本の伝統的な縁起物であり、長い歴史を持つ食文化の一部でもあります。

かちぐりのレシピ
かちぐりのレシピについてご紹介します。かちぐりとは、栗を蒸してからカラカラに乾燥させた保存食で、常温で長期間保存できるのが特徴です。基本的なかちぐりの作り方は、まず栗を約30分ほど茹でてから、鬼皮と渋皮を熱いうちに剥きます。次に、低温のオーブンで数時間〜数日にわたり乾燥させて完全に水分を飛ばします。この過程でカリカリとした乾燥栗ができあがります。
戻し方は簡単で、鍋にかちぐりを入れて浸る程度の水を加え、約20〜30分茹でるだけです。この戻したかちぐりは甘露煮風に味付けすることもでき、砂糖やみりん、少量の塩を加えて約30分程度煮詰めることでしっとりとした甘さが染み込みます。ラム酒を加えると風味が豊かになります。
さらに、甘露煮風にしたかちぐりはさまざまなお菓子作りに活用できます。たとえば、パウンドケーキに入れて焼いたり、市販の冷凍パイシートを使ったマロンパイに加えることで秋らしい風味豊かなスイーツが楽しめます。かちぐりはそのまま食べるだけでなく、和菓子や洋菓子の材料としても便利に使えるため秋の味覚を長く楽しみたい方におすすめの保存食です。
まとめ
勝栗は、日本の食文化に深く根付いた縁起物として長い歴史を持つ食材です。その作り方や保存方法に工夫が施され、現代に至るまでその味わいや栄養価を提供し続けています。
よくある質問
勝栗とは何ですか?
勝栗(かちぐり)とは、日本古来の保存食で、栗の実を乾燥させて殻と渋皮を取り除いたものを指します。この「搗栗(かちぐり)」は、栗を殻ごと干し、その後臼で搗いて殻と渋皮を除去する伝統的な保存方法によって作られました。保存性に優れて栄養価も高いため、戦国時代には兵糧として活用され、特に戦場での携帯食として重要視された歴史があります。
勝栗の名前には「勝つ」という意味が込められており、出陣や勝利祈願の縁起物としても用いられてきました。戦国時代の武将や兵士は、勝栗を携えて戦いに臨み、その栄養価の高さから体力を支えました。また、「搗ち」という言葉が「勝ち」と掛けられ、戦勝祈願の儀式「三献の儀」でも重要な役割を果たしてきました。この儀式では、打ちあわび、勝栗、昆布の三種の肴を食しながら酒を飲むことで、「打つ」「勝つ」「喜ぶ」という願いを込める風習がありました。
現代では勝栗を食べる機会は減りましたが、その縁起の良さや歴史的意味から、受験合格や勝負事の際の縁起物として扱われることがあります。また、保存性に優れていることから、かつての戦国時代から続く伝統的な保存食文化の一端を担っています。こうした背景から、勝栗は単なる食べ物以上に、日本の文化や歴史に深く根付いた意味を持つ食材と言えるでしょう。













