コンフィチュールとジャムの違い
コンフィチュールとジャムは、ジャムと呼ばれることが多く、果物から作られる甘い保存食品です。しかし、実は両者の製法と原料には違いがあります。朝食やお菓子作りの際に使われることの多いこの2つの食品の本質的な違いを知ることで、上手に使い分けができるようになります。
英語が語源の「ジャム」
「ジャム」という言葉は、日本語訳どおり「詰め込む」という意味に由来しています。一説によると、古い方言の「グチャグチャかむ」という言葉から生まれたとも言われており、古くから親しまれてきた食品のひとつです。
加熱により果肉は溶けて小さくなり、しっかり煮詰めてとろみを出すのがジャムの特徴です。ジャムは酸とペクチンの力で凝固したもので、ゼリー状になったものを想像する人が多いでしょう。
日本農林規格では、糖度が40度以上のものを「ジャム」と定義しています。果実を煮詰めた保存食から始まり、英国が世界に広めた後、明治時代に日本にも伝わりました。今では朝食のパンに付けて食べるスタイルが定着しており、日本の食文化にも深く根付いた存在となっています。
フランス語が語源の「コンフィチュール」
フランス語が語源の「コンフィチュール」は、フランス料理の伝統的な調理法「コンフィ(confit)」に由来する果実保存食品です。新鮮な果実と砂糖を煮詰める製法は、単なる加熱ではなく、果実の酸味と甘味のバランスを整え、なめらかなゼリー状の食感を実現するための熟練の技が求められます。伝統的な製法を守ることで、コンフィチュールならではの芳醇な香りと味わいが生み出されます。
一方で、「ジャム」との違いとして、「コンフィチュール」は果汁を煮詰めた後に果肉を漬ける製法が一般的です。また、複数の材料やスパイス、リキュールなどを加えた独自の風味が魅力で、甘さも控えめなものが多くみられます。フルーツの形状が残されているのは、この製法の違いによるものです。
「ジャム」と「コンフィチュール」の違いとは?
果実のおいしさを余すところなく味わえる贅沢な食べ物、ジャムとコンフィチュール。その名の由来は異なれど、どちらも甘くとろける味わいに酔いしれる至福の一品です。
製造過程では、ジャムは果実の形をほとんど残さず煮詰められる一方で、コンフィチュールは果実のかたちや風味をしっかりと留めるよう、手間暇を惜しまず作られます。また、コンフィチュールには高い糖度が求められ、フランス政府は67%以上と定めるなど、両者の違いは確かに存在します。
しかし、日本では製造規格の明確な線引きがなされていないため、店頭で出会うジャムとコンフィチュールを、ひとまず味わいの違いで楽しむのが一番でしょう。舌先で味わう甘美な風味の中に、フランス語とも英語とも由来の異なる、それぞれの良さを感じ取れるかもしれません。
まとめ
コンフィチュールは果実の果肉とレモン汁、砂糖だけで作られており、煮詰めた際の水分をすべて取り除いて濃縮されています。一方ジャムは、果肉や果汁、砂糖に加えて増粘剤が加えられ、水分が残されている半固形状のものです。コンフィチュールは風味とコクが濃厚で高級感があり、ジャムは果実の甘みと酸味が生きた味わいが特徴です。用途に合わせて使い分けましょう。