甘いものへの欲望が、私たちを美食の冒険へといざないます。デザートの世界は無限の創造性と甘美なテクスチャーが広がる場所。その多様性を探る旅は、心躍る経験となることでしょう。本記事では、伝統的なお菓子から、最新のデザートトレンド、異文化のスイーツまで、多彩なデザートの魅力を紹介します。それぞれの甘さには物語があり、味わえば味わうほど深い世界が広がります。さあ、あなたもこの魅惑のデザートの旅に出発してみませんか?
洋菓子の種類
日本でお菓子を分類する際には、まず和菓子と洋菓子の二つに大別されます。特に洋菓子は、明治時代以降に伝わった西洋風のスイーツを指します。洋菓子は、その水分含有量に基づいてもっと細かく分類されており、生菓子、半生菓子、そして干菓子という3つのカテゴリーに分かれます。
これらの分類を理解したところで、次は具体的な洋菓子の種類や名称について確認してみましょう。
洋菓子の種類:スポンジケーキ
小麦粉、卵、砂糖を基本とするスポンジ生地を使ったケーキの総称です。主な生地には、卵白と卵黄を別々に泡立てるビスキュイ生地(パータ・ビスキュイ)と、卵を同時に泡立てるジェノワーズ生地(パータ・ジェノワーズ)が存在します。代表的なケーキとして以下のものがあります。
ショートケーキ
生地とクリームが基本となる構造ですが、他にもフレッシュフルーツやジュレ、ガナッシュを加えることもあり、多様なアレンジが楽しめます。層を重ねることで仕上げられるため、海外ではこれらのケーキはレイヤーケーキと呼ばれます。
ロールケーキ
焼いた板状のスポンジにクリームを塗り、巻いて作られるスイーツ。基本の生地とクリームだけでできるものから、クリームの種類を変えたり、新鮮なフルーツを入れたり、デコレーションを施したりして、専門店で多様なアレンジが楽しめるお菓子です。
シフォンケーキ
シフォンケーキはアメリカ由来のデザートで、真ん中に穴が空いた独特の形をしています。サラダ油を使用してバターを省き、卵白を多く含むことで、特有のふんわりとした食感を実現しています。
パンケーキ
オーブンを使わずにフライパンや平鍋で焼いた丸いケーキのことを指します。日本では「ホットケーキ」という名称で親しまれています。このお菓子はアメリカでのイメージが強いかもしれませんが、実際にはヨーロッパ、アジア、南米、オーストラリアなど、世界中で親しまれている一般的なお菓子です。
洋菓子の種類:バターケーキ
バターをたっぷり使ったケーキ全般を指し、スポンジケーキに比べて生地が密でバターの香りが際立つのが特徴です。以下に代表的なケーキを挙げます。
パウンドケーキ
イギリスで生まれたこのケーキは、小麦粉、バター、砂糖、卵をそれぞれ同量使用することからその名が付けられました。フランスでは「カトルカール」として知られ、これも同様に4つの材料を均等に用いることを指しています。
フルーツケーキ
フルーツやドライフルーツをラム酒とともに漬け、パウンドケーキの生地に混ぜ込んで焼き上げた一品です。
バウムクーヘン
ドイツ生まれの名高い菓子。中央に空洞があり、木の年輪を思わせる模様が特徴的です。ドイツでは国立洋菓子協会によって『バウムクーヘンの定義』が設定されており、この厳格な基準を満たしたもののみが本物とされます。
洋菓子の種類:シュークリーム
シュー生地とは、バターと水、小麦粉を基本材料として作られるお菓子の一種です。この生地は含まれる水分が焼いている間に蒸気となって生地を膨らませ、軽やかな食感を生み出します。代表的な種類を以下に挙げます。
シュークリーム
シュー皮にはカスタードクリームがたっぷり詰められています。フランスでは「シュー・ア・ラ・クレーム」と呼ばれ、英語圏では「クリーム・パフ」として知られています。「シュ」という言葉はフランス語でキャベツを指し、その形がキャベツのように丸く焼かれることに由来しています。エクレア
エクレアはフランスが発祥のスイーツで、長細いシューにクリームが詰められたり挟まれたりしています。一般的に、シュー生地はチョコレートなどでコーティングされ、フランスでは基本的なお菓子と考えられています。
サントノレ
シュー生地をカラメルで繋ぎ合わせて作るフランスの伝統菓子で、パリのサントノレ通りの名店で生まれたと伝えられています。種類が豊富で見た目も華やかなので、祝祭日や特別な機会に味わわれることがしばしばあるようです。
洋菓子の種類:発酵菓子
イーストを使用して発酵させたお菓子を指します。発酵のプロセスを含むことで、クッキーやケーキが「発酵菓子」とされることもあります。代表的な種類は以下です。
サヴァラン
ブリオッシュ生地を基にし、シロップやお好みの洋酒で風味をつけたスイーツの一種です。クリームを加えてデザインされたこのデザートは、伝統的なババを小さくアレンジしたものです。ババに必要とされるラム酒とは異なり、サヴァランに使う洋酒には特に制限がありません。このお菓子は「発酵」というプロセスを経るため、発酵菓子に属します。
デニッシュペストリー
発酵させた生地にバターと砂糖をたっぷり練り込み、パイ状に層を重ねて焼き上げたスイートブレッドです。クリームや果物など、多様なフィリングがあり、時には食事に用いられることもあります。
シュトレン
このパンはドイツにルーツを持ち、名前は「坑道」に由来しています。生地には酵母が使用され、レーズンやドライフルーツ、マジパン、ナッツが混ぜ込まれています。その上から粉砂糖がたっぷりとまぶされており、クリスマスまで貯蔵できる保存食として人気があります。ドイツでは、生地の配合によってさまざまな名前で呼ばれています。
洋菓子の種類:フィユタージュ
フィユタージュとは、折り込みパイ生地のことで、一般的にパイ生地をベースにしたお菓子全般を指します。生地にバターを包んでから伸ばし、折る工程を繰り返すことで層を形成し、サクサクした特徴的で軽やかな食感と風味を引き出しています。その主要な種類は以下の通りです。
ミルフィーユ
層状のフィユタージュにクリームがサンドされ、表面に粉砂糖や糖衣が施されたケーキが基本形です。通常はカスタードクリームが使用されることが多いです。日本では苺を用いたミルフィーユをナポレオンと呼ぶことがある一方、海外では一般的にミルフィーユとして知られています。
タルト
パイ生地を器にして、クリームやフルーツを詰め込んだデザートがあります。大きなサイズは一般的にタルトと呼ばれ、一人分の小さいサイズはタルトレットと名付けられています。また、卵液を加え焼いたものは甘くなく、これはセイボリーに分類されることがあります。
アップルパイ
アメリカを象徴するスイーツで、甘く煮たりんごを詰めて焼き上げたパイを指します。タルトとは異なり、ホール型に加えて生地を巻いて焼くロール型やサンドイッチ型など、さまざまな形があります。
フィユタージュ:キャンディ
砂糖や水飴に風味やカラーを加えて煮詰めた後、常温で硬化させた甘味があります。フランス語では「コンフィズリー」と呼ばれ、代表的なものには以下の種類があります。
パート・ド・フリュイ
フランス発祥のデザートで、果物のピューレを砂糖と共に煮詰めて作られる、ひと口サイズの甘いスイーツ。ゼラチンや寒天は使用せず、果物本来のペクチンの力で固めています。
キャラメル
砂糖に加え、生クリームや牛乳、バター、蜂蜜を混ぜ、それを115〜121℃で加熱して作るお菓子です。この菓子は乳製品を含む点が特徴的で、日本では特に多くの生クリームを使った生キャラメルが知られています。
ヌガー
砂糖と水飴をじっくりと煮詰め、ナッツやドライフルーツを組み合わせて固めた甘いスイーツ。このお菓子は、歯に絡みつくような独特の粘り気が特徴ですが、メレンゲを加えることでふんわりとした軽い食感を楽しめる「ヌガー・ド・モンテリーヌ」という種類も存在します。
洋菓子の種類:チョコレート
カカオ豆を発酵し、その後に焙煎したカカオマスを砂糖やココアバターと混ぜ合わせて固めたスイーツのことを指します。代表的なタイプは以下の通りです。
チョコレートケーキ
ガトーショコラはチョコレートケーキを指すフランス語で、日本ではこのカテゴリー全体を示すことが一般的です。このデザートには生地やクリームにチョコレートが使われており、世界中に様々なバリエーションがあります。フランスでは「オペラ」や「フォンダン・オ・ショコラ」、アメリカでは「ブラウニー」、そしてオーストリアの「ザッハトルテ」もこの一種に含まれます。
トリュフチョコレート
ガナッシュを球体に整え、ココアやチョコレートで覆ったもの。これはキノコのトリュフに形が似ていることからその名がつきました。
ボンボン・ショコラ
一口サイズのチョコレートには、中にさまざまなフィリングが詰められています。このチョコレートを作る方法として、「フランス方式」は層を成形してからカットし、チョコレートで包む方法であり、「ベルギー方式」は型にチョコを流し、そこにフィリングを加える技術です。
洋菓子の種類:デセール
「デセール」はフランス語に由来し、もともと料理だけでは摂取しきれない糖分やビタミンを補う目的で作られたものです。食後に楽しむものとして広く知られ、そのバリエーションも豊富です。
プリン
イギリスのデザート「プディング」を基に、牛乳と砂糖を混ぜた卵液を加熱して作るのがカスタードです。このデザートはポルトガルや南米では「フラン」として、フランスでは「フレーム・カラメル」として知られています。凝固剤を使って固めたものは、ケミカルプリンと呼ばれることもあります。
ババロア
このデザートはフランス語で「バイエルンの」を意味し、かつてバイエルン王国の貴族のために作られたと言われています。ムースやプリンとは異なり、固めるために凝固剤が使用されている点が特徴です。
ジェリー
果汁、砂糖、ゼラチンを主成分として固めた製品です。
クレープ
パンケーキの類似品でありながら、はるかに薄い生地を特徴とし、中にバラエティ豊かな具材を包むことで楽しむ食品です。アルコールを振りかけて炎を灯す「クレープ・シュゼット」や、何層にも生地を重ねた「ミル・クレープ」などが有名です。また、そば粉を使用したものは「ガレット」と呼ばれます。