ココア バターとは
ココアバターという言葉を聞いたことはありますか?チョコレートや化粧品など、日々の生活で身近に使われるアイテムの製造過程で重要な役割を果たしている、これまであまり目立つことのなかった秘密のヒーローについて、今回は詳しく探ってみましょう。皆様が普段から何気なく使っているものの中に、意外とココアバターが隠れているかもしれません。その魅力や可能性について、深堀してみませんか?
ココアバターとは?
ココアバターの秘密に迫るため、まずはその概要と特性について検討してみましょう。
普通のカカオニブ(種皮などを取り去ったカカオ豆)において半分近くを占めるのが、ココアバターです。つまり、カカオ豆の大部分は油脂からなり、残りは非脂肪性のココアでありローストしたカカオニブでは水分が1~2%含まれています。
このココアバターというのは、単にカカオ豆が含む油脂の事を示しています。カカオニブをすれば、粘り気のあるカカオマスと呼ばれるペーストに変わります。この状態はゴマやナッツがペースト状になるのに似ており、油分が多いカカオ豆なら、その力でペースト状に変えることが可能です。
また、冷却することにより固形化するという性質も持っています。チョコレート製造の際にはこの性質が重要で、板チョコレートが固形として存在しているのもココアバターの特性のおかげです。ココアバターはⅠ~Ⅵまでの6つの型の結晶を作りますが、最も安定するⅤ型で固まると、ツヤがあって口の中で良く溶けるチョコレートが完成します。
ココアバターが持つ最大の特性は、恐らく体温近くで溶けるという点でしょう。普段は固形状態のココアバターは25℃近くから急激に溶け始め、32~33℃付近で完全に溶けてしまいます。産地により融点に差異はありますが、一般的には33.8℃とされており、これは体温に近い温度であるため、他の植物油と比べてもココアバターがもつ独自の性質と言えるでしょう。
ココアバターがチョコレートに果たす役割
チョコレートのクオリティはその原材料により決まるのですが、その中でもココアバターはチョコレートの「重要な要素」だと言えるでしょう。
ココアバターはチョコレートに多くの特質を付与します。その一つが、口溶けの良さ。ココアバターの融点は人の体温とほぼ同じであるため、口の中に入れた瞬間に自然に溶け出し、滑らかで豊かな食感を提供します。また、ココアバターはチョコレートの固体性ややわらかさにも寄与しています。
加えて、ココアバターはチョコレートにとって優れた保湿成分です。乾燥が進み易い環境でも、ココアバターの存在により、チョコレートは適度な湿っぽさを保ち続けます。そして、ココアバターに含まれる抗酸化物質は、健康面での利点ももたらしているとされています。
しかし、チョコレートを成り立たせているのはココアバターだけではありません。他の成分もまた忘れてはいけません。ココアバターはチョコレートの一環にすぎず、その味わいや品質に大きな影響を与えています。ココアバターの機能を理解することが、チョコレートの魅力をより深く理解する一歩と言えるでしょう。
ココアバターに含まれる成分
「ココアバターが身体に悪い」という誤解があるようですが、その実態について詳しく見てみましょう。
気になるトランス脂肪酸の含有量は少ない
ココアバターに含まれる脂肪酸の一部には、体に悪影響を与えるとされるトランス脂肪酸があります。しかし、食品安全委員会の調査によれば、チョコレートに含まれるココアバターのトランス脂肪酸は他の菓子類と比較して少ないという結果が出ています。
ココアバターの脂肪酸成分の特性
ココアバターには、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が含まれており、その比率は約2:1です。飽和脂肪酸は「体に悪い」と思われがちですが、適度な摂取は健康を維持する上で必要です。また、ステアリン酸という飽和脂肪酸はココアバターに多く含まれていますが、これはコレステロールに影響を与えないため、健康に対する悪影響は少ないとされています。
抗酸化作用により酸化しにくい
ココアバターは、抗酸化作用を持つポリフェノールを豊富に含むため、他の油脂に比べ酸化しにくい特性があります。このため、チョコレートなどは長期保存が可能であり、風味を損なうことなくお楽しみいただけます。
以上のように、ココアバーターは身体に悪影響を与える成分が少なく、しかも美味しさを長持ちさせる特性を持つため、気軽に楽しむことができる食材といえるでしょう。それだけでなく、必要な脂肪酸を取り入れるための選択肢としてもオススメです。
まとめ
ココアバターはその香りや潤いから、チョコレートや化粧品制作に欠かすことのできない存在となっています。良質な脂肪酸が豊富で、美容や健康にも良い影響を与えるため、生活のあらゆるシーンで私たちの側に寄り添っているのです。そんなココアバターの可能性はまだまだ未知数。日々の生活の中で、これからも「隠れたヒーロー」であり続けてくれるでしょう。