シトロンはその鮮やかな黄色と独特な香りで、多くの人を魅了する柑橘類の一つです。一般的にレモンほどの酸味はなく、優雅な甘さとほのかな酸味が口の中で広がります。この記事では、シトロンの基本的な特徴をご紹介します。シトロンをまだ味わったことがない方にも、その多様な楽しみ方に驚かされることでしょう。
シトロンについて
シトロンは、常緑のミカン科ミカン属に属する低木です。日本語では枸櫞(くえん)とも呼ばれ、マルブッシュカンやマルブシュカンといった別名も持っています。レモンと近縁でありながら、その葉や果実はより大きく、香りも強いのが特徴です。特に九州南部の海岸地帯で栽培されていますが、寒冷には弱い性質があります。枝にはとげがあり、葉は楕円形をしています。開花時には薄紫色の花が咲き、果実は冬に成熟する長卵形のひだがある広楕円形で、鮮やかな黄色をしています。強い酸味のため生食には適さず、砂糖煮や飲料、香料として利用され、果汁はクエン酸の源とされます。
シトロンの味・特徴
起源はインド東部、ガンジス川上流の山地。しかし、紀元前の時代にはすでにローマや中国に伝わっており、アメリカ大陸にはコロンブスの到達後に伝わりました。日本では「本草図譜」(1828年)にその記述があるため、江戸時代の前には伝わっていたと考えられます。
枝は多くのとげを持ちます。葉は淡い黄緑色で、細長い楕円形をしており、縁には小さな鋸歯があります。新芽や花の多くは淡い紫色を帯び、花弁は細長いものが一般的です。
熟した果実は黄色い表面で、形状は品種ごとに異なりますが、一般的には紡錘形で重さは150 - 200gです。そして、頂部にある乳頭が発達しています。果皮は柔らかいですが厚みがあり、果肉や果汁は少なめです。酸味が強い品種もあれば、そうでない品種も存在します。
ユダヤ教では特定の品種の果実をエトログと呼び、「仮庵の祭り」で新年の最初の雨を祈る儀式に使用される4つの植物の1つに数えられます。
フランス語でシトロンというと通常はレモンを指します。こちらをシトロンと表す場合、フランス語ではセドラと呼びます。ドイツ語のZitroneやオランダ語のcitroenも主に「レモン」を意味します。ブッシュカン(仏手柑)はシトロンの変種です。
活用法
ジュースは飲み物として使われたり、クエン酸の素材として利用されたりします。果皮は香料の素材となるだけでなく、砂糖漬けにされてシュトーレンやパネットーネ、スフォリアテッレ、カンノーロといった洋菓子に活用されます。
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