栗 品種 ランキング
秋の味覚の代表格、栗。その奥深い甘さとホクホクとした食感は、 Mont Blanc や栗ご飯など、様々な料理やお菓子に姿を変え、私たちを楽しませてくれます。しかし、栗にはたくさんの品種があり、それぞれ味や育てやすさ、適した用途が異なることをご存知でしょうか？この記事では、数ある栗の品種の中から、特におすすめの品種をご紹介します。甘さ、風味、育てやすさ、そしてどのような料理に合うのか、あなたの栗選びの参考にしてください。
栗の種類：日本栗、中国栗、西洋栗、アメリカ栗
世界中で親しまれている栗は、大きく分けて日本栗、中国栗、西洋栗、アメリカ栗の4つの主要な種類が存在します。これらの栗は、それぞれの生育地、独特の性質、そして利用方法において異なっています。この記事では、それぞれの栗の種類について、より詳しく掘り下げてご紹介します。
日本栗（和栗）
日本原産の日本栗は、別名「和栗」とも呼ばれ、自生する柴栗を長い年月をかけて品種改良したものです。際立った特徴は大粒であることと、その豊かな風味にあります。果肉は美しい黄色を帯びており、甘味は比較的穏やかです。モンブランのような洋菓子から、温かいポタージュ、栗ご飯、伝統的な和菓子まで、幅広い料理やお菓子に利用されています。特に、その風味を最大限に楽しむには、そのまま味わうのが最適です。代表的な品種としては、丹波栗、銀寄栗、利平栗、筑波栗、そしてユニークなぽろたん栗などが挙げられます。
中国栗（甘栗）
中国の華北地域を原産とする中国栗は、甘栗、特に天津甘栗として広く知られています。その特徴は、比較的小ぶりであること、そして渋皮が容易に剥けることです。果肉は引き締まっており、割れにくい性質を持っています。強い甘味が特徴で、実が硬めであるため、一般的には炒った焼き栗として楽しまれます。ただし、クリタマバチという害虫による被害を受けやすいため、日本では一部の品種を除いて、ほとんど栽培されていません。
西洋栗
西洋栗は、南東ヨーロッパまたは西アジアが原産であり、イタリア、フランス、スペインなど、ヨーロッパの各地に分布しています。日本栗と比較するとやや小ぶりで、粘り気が少ないのが特徴です。渋皮が剥きやすいという利点があり、栗粉を使用したポレンタ、上品なマロングラッセ、しっとりとしたパウンドケーキなど、多種多様なお菓子や料理に活用されています。しかし、病気や害虫に対する抵抗力が弱いため、日本ではあまり栽培されていません。
アメリカ栗（アメリカンチェスナット）
アメリカ原産のアメリカ栗、通称アメリカンチェスナットは、その品質の高さと木材としての優秀さで知られています。しかし、1904年に発生した栗胴枯病によって壊滅的な打撃を受けました。現在では北米の一部で細々と栽培されているのみで、市場に出回ることは稀です。この品種は病害に弱く、日本の気候条件下での栽培は難しいとされています。
栗の生産地：茨城県、熊本県、愛媛県
栗の栽培には、最適な環境と高度な栽培技術が求められます。日本国内では、茨城県、熊本県、愛媛県が主要な産地として知られています。各地域で栽培されている品種、そしてその特徴について詳しく見ていきましょう。
茨城県：栗生産量No.1
茨城県は、栗の栽培面積、そして出荷量において日本一を誇ります。明治30年頃から栗栽培が活発になり、現在の生産量は全国有数を誇ります。主な産地は笠間市、かすみがうら市、石岡市などです。温暖な気候と、保水性と通気性に優れた火山灰土壌が、栗の栽培に最適な環境を提供しています。丹波、ぽろたん、利平、筑波、銀寄、石鎚、岸根といった、多種多様な品種が栽培されています。
熊本県：肥沃な土壌と卓越した栽培技術
熊本県は、栗の生産量が多いことで知られる地域の一つです。山鹿市、山都町、菊池市などが主な産地であり、特に山鹿市で生産される栗は、その美味しさで高い評価を得ています。昭和36年に果樹振興法に基づき重点果樹に指定されたことがきっかけとなり、栗栽培が盛んになりました。栄養を豊富に含んだ粘土質の土壌と、生産者たちの卓越した栽培技術が、高品質な栗を育み出しています。丹波、筑波、ぽろたん、銀寄、利平などが栽培されています。
愛媛県：中山栗をはじめとする多様な品種
愛媛県は、昼と夜の寒暖差、適度な雨量、そして栗の生育に適した土壌といった、恵まれた自然条件を備えています。特に大洲市、伊予市、そして城川町などが栗の主要な産地として知られています。中でも、伊予市中山町で育てられている中山栗は、その名を知られる品種であり、大粒で食べ応えのある点が魅力です。その他にも、銀寄、大峰、筑波、石鎚、岸根といった品種が栽培されています。
人気の栗品種：特徴
栗の品種は多岐にわたり、それぞれに風味、食感、そして旬の時期に独自性があります。ここでは、特に人気を集めている品種に焦点を当て、その特徴と用途を詳しく見ていきます。
ぽろたん：渋皮離れの良さが魅力の革新的品種
ぽろたんの最大の特徴は、何と言ってもその渋皮の剥きやすさにあります。加熱することで渋皮が容易に剥がれるため、調理の手間が大幅に軽減されます。果肉はやや粉っぽく、鮮やかな黄色をしており、甘みと香りのバランスが取れています。主に熊本県、茨城県、埼玉県などで栽培され、旬は9月中旬から下旬にかけてです。渋皮を剥く手間をできるだけ省きたいという方には、特におすすめの品種です。
秋峰（しゅうほう）：鮮やかな黄色と強い甘みが特徴の晩生品種
秋峰は、筑波に524-1を掛け合わせて開発された品種です。果肉は黄色味が強く、濃厚な甘さが特徴で、食味に優れています。トゲがやや長めで、果実の大きさは筑波よりもやや小ぶりで、石鎚と同程度。果皮には細かな毛が多いという特徴もあります。旬の時期は9月下旬から10月上旬にかけての晩生品種です。
ぽろすけ：早生で薄皮がむきやすい品種
ぽろすけは、人気品種ぽろたんと同じく、薄皮が簡単にむける早生種です。旬を迎えるのは8月下旬から9月上旬で、ぽろたんよりもやや小ぶりなサイズです。果肉は淡い黄色をしており、甘さや香りはぽろたんや丹沢と比較すると控えめ。食感はやや粉っぽく、ほっくりとした仕上がりになります。ぽろたんと一緒に栽培されることが多い品種です。
美玖里（みくり）：濃厚な甘さと香りが魅力の晩生品種
美玖里は、石鎚と秋峰を掛け合わせて生まれた晩生品種で、旬は9月下旬から10月上旬。全国各地で栽培されており、強い甘みと豊かな香りが特徴で、果肉の色と味わいは非常に優れています。食感はほくほくとした粉質。筑波の収穫後に旬を迎え、果実は約28gと大きめです。
岸根栗（がんねぐり）：大粒で味も絶品
岸根栗は、山口県が原産の品種で、30～40gにもなる大粒サイズが特徴です。食感は強い粉質で、味も非常に優れています。大正2年の全国栗品種名称調査会において、優秀品種として高い評価を受けました。山口県、愛媛県、茨城県などで広く栽培されています。
筑波栗（つくばぐり）：国内で最も多く栽培されている品種
筑波栗は、日本国内で最も広く栽培されている品種です。重さは約28gで、先端がやや尖った、栗らしい美しい形をしています。先端の周囲が粉をふいたように白くなっていることが多いのが見分けるポイントです。果肉は薄い黄色で、上品な甘みと豊かな香りを楽しめます。旬は9月中旬から10月下旬頃です。
丹沢栗：早期収穫できる、割れやすい品種
丹沢栗は、早い時期に収穫できる品種で、おおよそ8月下旬から9月中旬が最盛期です。見た目はやや大きめで先端がとがっており、皮の光沢が控えめで色が淡いのが特徴です。実が割れやすい傾向があります。
銀寄栗：洗練された甘さと、ほっくりとした食感
銀寄栗は、その洗練された甘さと、ほっくりとした食感が魅力的な品種です。形状はやや扁平で、表面には美しい光沢が見られます。旬の時期は9月中旬から10月頃です。
利平栗：「栗の王様」とも呼ばれる高品質品種
利平栗は、しばしば「栗の王様」と称される、品質の高い品種です。丸みを帯びたふっくらとした形状、実の上部に細かな毛が多いこと、そして色が濃いことが特徴です。果肉は適度な粉質で、食感が良く、強い甘みが楽しめます。主な産地としては、埼玉県、熊本県、東京都などが挙げられます。旬は9月初旬頃から11月初旬頃までと比較的長いです。
石鎚：加工に適した晩生品種
石鎚は、見た目も味も優れており、甘露煮などの加工品にも適している晩生品種です。果皮は赤みを帯びた茶色で、つやがあります。果肉は薄い黄色で、粉質でありながらも煮崩れしにくく、貯蔵性にも優れているため、加工用として重宝されています。
ブランド栗：丹波栗、小布施栗
より品質にこだわるなら、ブランド栗も選択肢に入れると良いでしょう。特定の土地の気候や自然環境で育まれたブランド栗は、その品質と風味において格別のものがあります。
丹波栗：上質な和菓子にも用いられる特別な品種
京都府の丹波地域を中心に栽培される丹波栗は、高級和菓子や料理に使われることでも知られる特別な品種です。果肉がしっかりしているため、煮込んでも形が崩れにくく、甘露煮や様々な和菓子作りに最適です。
小布施栗：芳醇な甘さと豊かな香り
長野県の小布施町で栽培されている小布施栗は、際立つ甘みと豊かな香りが魅力です。蒸したり焼いたりすることで、ほっくりとした食感を堪能できます。また、煮詰めるとわずかに粘り気のある食感も楽しめるため、和菓子作りやモンブランなどの洋菓子に利用するのもおすすめです。
美味しい生栗の選び方：確認すべき5つのポイント
美味しい生栗を選ぶためには、いくつかの重要な点があります。ここでは、生栗を選ぶ際にぜひ確認しておきたい5つのポイントをご紹介します。
選び方のポイント
- 用途に応じた品種選択：栗ご飯にはほっくりとした味わいの丹沢栗、渋皮煮には煮崩れしにくい丹波栗など、作りたい料理やスイーツに最適な品種を選びましょう。
- ブランド栗の検討：丹波栗や小布施栗など、特定の地域で栽培されたブランド栗は品質が優れており、贈答品にもおすすめです。
- 栗の状態を選ぶ：焼き栗や渋皮煮には皮付き栗、手軽さを求めるなら剥き栗を選びましょう。
- 冷凍栗の利用：旬の時期以外は、冷凍の生栗を活用するのもおすすめです。
- 規格外品も検討：ご家庭用なら、多少見た目が劣る規格外品を選ぶのも賢い選択です。
まとめ
秋の味覚の代表格である栗は、幅広い世代に親しまれています。それぞれの品種が持つ個性を理解し、お好みの栗を選んで、秋の恵みを心ゆくまでご堪能ください。本記事が、栗選びのお役に立てれば幸いです。
よくある質問
質問1：栗が最も美味しい時期はいつですか？
回答：栗の旬は一般的に9月～10月頃と言われています。しかし、品種によって収穫時期が異なり、早いものでは8月下旬から、遅いものでは11月初旬まで収穫が可能です。
質問2：味の良い栗を選ぶコツはありますか？
回答：美味しい栗を見極めるには、手に取った時の重みを確かめ、表面の滑らかさを確認しましょう。また、外側の皮に傷や虫食いの痕跡がないか注意深く観察することが大切です。
質問3：栗を最適な状態で保存するにはどうすればいいですか？
回答：栗の風味を長く保つには、冷蔵または冷凍での保存が効果的です。冷蔵する場合は、水洗い後に新聞紙で包み、保存用袋に入れて冷蔵室で保管してください。冷凍保存の場合は、同様の手順で冷凍庫に入れます。むき栗の場合は、あく抜きをしてしっかりと水分を拭き取ってから、同じように保存しましょう。