カリッとした食感と、口の中に広がる優しい甘みが魅力のカシューナッツ。おやつやおつまみとして親しまれているだけでなく、実は栄養価も満点なスーパーフードです。良質な脂質やミネラル、食物繊維をバランス良く含み、美容や健康をサポートしてくれる効果も期待できます。この記事では、そんなカシューナッツの美味しさの秘密や、知っておきたい栄養成分、そして料理やお菓子作りにおける意外な活用法まで、その魅力をたっぷりご紹介します。カシューナッツの新たな一面を発見して、日々の食生活に取り入れてみませんか?
カシューナッツとは
カシューナットノキ(学名:Anacardium occidentale)は、熱帯アメリカを原産とするウルシ科の常緑樹です。
この木の種子、通称カシューナッツは、食品として広く利用されています。ただし、食品アレルギーを引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
カール・フォン・リンネによって1753年に命名された、歴史ある植物の一つでもあります。
カシューという名前は、16世紀後半にポルトガル人が南米北東部(現在のブラジル北西部から北東部)に進出した際に生まれました。現地の先住民が使っていたトゥピ語系の言葉でカシューを指す「acajú(ゥカジュー)」という言葉を、ポルトガル人が聞き取り、「Caju(カジュー)」としてポルトガル語に取り入れたのが始まりです。その後、英語圏にも伝わり、「Cashew(カシュー)」として知られるようになりました。
学名であるAnacardiumは、ラテン語の「ana」(上向き)と「-cardium」(心臓)を組み合わせたもので、果実の形が上向きの心臓のように見えることに由来しています。
硬い殻に覆われた種子の中にある仁は、カシューナッツとして世界中で食用とされています。
また、果肉の部分は、英語ではカシューアップルと呼ばれることが一般的です。
カシューナッツの歴史
カシューは南米ブラジルが故郷であり、古くからトゥピ族やアラワク族といった先住民が栽培していました。17世紀初頭にブラジルへ渡ったポルトガル人たちは、先住民が育てていたカシューの有用性に気づき、母国ポルトガルへと伝えました。これがきっかけとなり、カシューは世界各地へと広がり、特にアフリカ東部のモザンビークやインド西海岸のゴアなどで栽培されるようになりました。
カシューの木は低い位置から枝分かれしやすい性質を持つため、当初は海岸地域での防風林として利用されました。また、果実、特に種子は食用として珍重されました。1650年代にはインドのゴアに大規模な種子の加工工場が建設され、製品が各地に輸出されたことで、カシューは世界的に知られるようになりました。
産地
カシューナッツは、ブラジルを原産とし、雨量の多い熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されています。現在では30ヶ国以上で生産されており、その栽培面積は約351万ヘクタールに及んでいます。
世界の年間生産量は200万トンを超え、2005年のデータではベトナムが83万トンでトップ、次いでインドが46万トン、ブラジルが25万トン、ナイジェリアが21万トンとなっています。中国では海南省が主な産地です。また、西アフリカのギニアビサウ共和国では、カシューナッツ生産が国の主要産業であり、2015年には総輸出額の78.7%を占めるほど重要な位置を占めています。
一般的に、カシューナッツの収穫は、完熟して自然に落下した果実を手作業で拾い集める方法で行われます。成木1本あたり、およそ10kgから30kgの収穫が見込まれます。収穫された果実は、果肉(カシューアップル)と種子(カシューナッツ)に手作業で分離されます。果肉は、生食用として市場に出回るか、加工工場で加工されます。種子は、殻付きのまま生カシューナッツとして加工工場へ出荷されます。
生のカシューナッツには、アナカルジン酸やカルドールなどの刺激成分や、アミグダリンなどの毒性物質が含まれています。そのため、食用にする際には、高温加熱処理によってこれらの成分を除去する必要があります。生のカシューナッツは殻から仁を取り出しにくいため、加工工場では殻付きのまま加熱処理を行います。まず、殻付きの生カシューナッツを天日干しし、高温蒸気で加熱処理した後、さらに乾燥させて焙煎します。その後、殻割り、殻むき、品質選別を経て製品として出荷されます。製品の風味と保存性を高めるために、塩をまぶして出荷されることもよくあります。
取引市場では、インドネシア、ブラジル、タンザニア産の生カシューナッツが高品質と評価されています。加工品については、16世紀からの歴史的背景により、インド国内に加工工場と加工技術が蓄積されており、「インド製」の加工品が最高品質であるとされています。
カシューナッツの種類と特徴
カシューナッツと一口に言っても、実は様々なバリエーションが存在します。
ここでは、加工方法の違いによるカシューナッツの種類と、それぞれの特徴を詳しく解説していきます。
ローストナッツ
店頭に並ぶナッツ製品の多くは、焙煎されたものです。
加熱によって水分が蒸発し、独特の歯ごたえと豊かな風味、甘みが生まれます。
焙煎方法も様々で、油を使わないものもあれば、油で揚げるものもあります。
生カシューナッツ
生のままのカシューナッツは、水分を豊富に含んでいるため、しっとりとした独特の食感が楽しめます。口に含むと、まるでミルクのような優しい風味と自然な甘さが広がります。
ただし、生のナッツには酵素の働きを抑える成分が含まれているため、一度にたくさん食べるとお腹の調子を崩してしまうことがあります。
美味しく安全に食べるためには、フライパンやオーブンで軽く加熱調理するのがおすすめです。こうすることで、風味も増し、より香ばしくなります。
また、ローストされたものと比べて水分量が多いため、カビが生えやすいという特徴があります。冷蔵庫で保管することで、鮮度を保ち、美味しさを長く楽しむことができます。
皮つきカシューナッツ
皮つきカシューナッツは、カシューナッツを殻から取り出した後、薄皮がついた状態で加工したものです。
通常のカシューナッツの甘さに加え、皮由来の香ばしさとわずかな苦味が、他にはない味わいを生み出しています。
さらに、この薄皮にはポリフェノールやビタミンEといった栄養成分が豊富に含まれており、美容と健康をサポートする効果も期待されています。
味付きカシューナッツ
ちょっとした腹ごしらえや、お酒のお供として親しまれている味付きカシューナッツ。
定番の塩味から、カレーやチリといった刺激的なスパイス風味、はちみつやチョコレートで甘く仕上げたものまで、バラエティ豊かな味が楽しめます。

カシューナッツの栄養と効能
カシューナッツは、私たちの体に必要な栄養素、例えばタンパク質やミネラルを豊富に含んでいます。
カシューナッツを摂取することで期待できる、具体的な健康への良い影響を詳しく解説していきます。
コレステロール値を改善する
カシューナッツは、良質な不飽和脂肪酸の一種、オレイン酸を豊富に含んでいます。
オレイン酸は、血中のLDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを増加させる作用があるため、動脈硬化、心疾患、高血圧といった生活習慣病の予防に役立つと考えられています。
筋肉・皮膚・髪を構成
カシューナッツは、良質なタンパク源としても知られています。
タンパク質は、体を作る上で欠かせない栄養素であり、筋肉や皮膚、毛髪の生成や修復をサポートします。
さらに、コラーゲンというタンパク質の一種は、肌の弾力とハリを維持する効果が期待されています。
貧血の予防
カシューナッツは、健康的な生活をサポートする食品として知られていますが、特に貧血の予防に役立つとされています。
数あるナッツの中でも、カシューナッツは鉄分が豊富に含まれている点が特徴です。
鉄分は、血液中のヘモグロビンを作る上で欠かせない成分であり、不足すると息切れ、動悸、疲労感、頭痛といった不調につながることがあります。
これらの症状に悩まされている方にとって、カシューナッツは日々の食生活に取り入れやすい選択肢となるでしょう。
健康を維持する
カシューナッツは、体内で生成できない必須ミネラルである亜鉛を含んでいます。
亜鉛は、健康を維持するために不可欠な栄養素として知られています。
亜鉛が不足すると、免疫力が低下し、病気に対する抵抗力が弱まる可能性があります。
さらに、亜鉛は味覚を正常に保ち、ホルモンバランスを調整する上で重要な働きをします。
毎日の食生活にカシューナッツを適度に取り入れることで、不足しがちな亜鉛を効率よく補給できます。
疲労回復
カシューナッツは、ビタミンB1を豊富に含んでいます。このビタミンB1は、摂取した炭水化物を効率よくエネルギーに変換する上で重要な役割を果たします。
日々の疲労回復を助け、スタミナを向上させる効果が期待できるほか、精神的なストレスの緩和や、集中力アップにもつながると言われています。
ビタミンB1は水溶性ビタミンであり、体内に長くとどまることができません。
ですから、カシューナッツのような食品から、こまめに摂取することが推奨されます。
まとめ
カシューナッツは、おやつやおつまみとしてだけでなく、料理やお菓子作りにも活用でき、日々の食生活に取り入れやすい食品です。その栄養価と多様な効果を考えると、適度に摂取することで健康的な生活をサポートできる、優れたスーパーフードと言えるでしょう。
関連記事:カシューナッツ犬・カシューナッツ気持ち悪い