春の暖かな日差しが顔を出す頃、ふっくらとした優しい甘さで私たちを魅了する「ぼた餅」と「おはぎ」。和菓子として、古くから親しまれてきました。ぼたもちとおはぎは何が違うのでしょうか。今回は、そんなぼた餅とおはぎの違いに迫り、その歴史や由来、季節の呼び方などご紹介します。食卓を彩る、ぼた餅とおはぎの世界へご案内しましょう。
ぼたもちと おはぎの 違い
「ぼたもち」と「おはぎ」の違いには、いくつかの説があります。一つ目の説は、大きさの違いです。牡丹の花に見立てた大きくて豪華なものが「ぼたもち」、萩の花に見立てた小さくて上品なものが「おはぎ」と呼ばれるというものです。二つ目の説は、材料となる米の違いです。「ぼたもち」は主に、もち米を使用し、「おはぎ」はうるち米を使用するという説です。しかし、現代では、もち米を使わないレシピも存在するため、一概には言えません。三つ目の説は、もち米のつき具合の違いです。お餅のように完全についたものが「ぼたもち」、粒が残る程度についたものが「おはぎ」という説もあります。四つ目の説は、あんこの違いです。こしあんを使ったものが「ぼたもち」、つぶあんを使ったものが「おはぎ」と呼ばれるというものです。これは、小豆の収穫時期に由来するとも言われています。秋に収穫されたばかりの小豆を使う「おはぎ」にはつぶあんを、時間が経って固くなった小豆をこして使う「ぼたもち」にはこしあんを使うという考え方です。また、こしあんの滑らかな舌触りや、つぶあんの小豆の食感を、それぞれ牡丹や萩の花のイメージに重ねているという説もあります。
最有力説:「ぼたもち」と「おはぎ」は、実は同じモノ!
名前は違えど、その由来は季節によって咲く花にあるという説があります。春に咲き誇る牡丹にちなんで、春に食されるものを「ぼたもち」と呼び、秋に咲く萩の姿から、秋に食されるものを「おはぎ」と呼ぶようになったと言われています。また、夏には「夜船」、冬には「北窓」という風流な呼び名もあるようです。