ブレンドコーヒーとは
私たちの日常生活に溶け込んでいるコーヒー。その中でも人気が高いのが、「ブレンドコーヒー」です。しかし、ブレンドコーヒーと名前を聞いても、具体的に何を指すのか、一体どのようなことを意味するのか理解している方は少ないのではないでしょうか。一杯のブレンドコーヒーには、独特な風味を生み出すための裏話や醍醐味が秘められています。今回は、そんなブレンドコーヒーの世界に触れ、より深く、楽しくコーヒーを理解し、味わうための一助になれば幸いです。
ブレンドコーヒーってどんなコーヒー？
コーヒー豆を選ぶ際やカフェでのカップ一杯に出会う時、よく見かける「ブレンド」。しかし、具体的に何を示すのかわからない方もいるかもしれません。ブレンドコーヒーとは、一体どのようなものなのでしょうか？
ブレンドコーヒーとは、多種類のコーヒー豆を混ぜ合わせて作られるコーヒーのことを指します。コーヒー豆の産地、種類、焙煎具合などにより、その風味や味わいが変わることはご存知でしょうか？ 各コーヒー豆の特性を活かして、絶妙にミックスすることで、一つの豆だけでは得られない深みや複雑さが生まれてきます。
ブレンド作りには、リアルタイムで豆を混ぜて焙煎する「プレミックス」や、焙煎後に組み合わせる「アフターミックス」などの方法がありますが、どの方法もその配合比を調整して味わいを作り出します。
同じ産地のコーヒー豆のみで作られる「ストレートコーヒー」と違い、ブレンドコーヒーは豆の個性をうまくミックスして均整の取れた美味しさを追求します。一種類のコーヒー豆だけでは感じられない、波長の合う複数の性格が一つになって楽しませてくれます。
また、ブレンドの技術者の技量とセンスによりバリエーションは無限大。季節による気分の変化や、時間帯、シーンによって作り出される豊富なラインナップから、あなたが一番好むブレンドを探してみてはいかがでしょうか？
ただし、特定の産地名を冠したブレンド、例えば「エチオピアブレンド」などを名乗るためには、その産地で生産された豆が全体の30％以上使用されていることが条件となっています。このようなルールも覚えておくと、コーヒー選びがさらに楽しくなるでしょう。
ブレンドコーヒーのメリット
ブレンドコーヒーは多種多様なコーヒー豆を的確に組み合わせることで、様々なメリットが生まれます。それでは一体どのようなメリットがあるのでしょうか？
最大の利点は、その味わいが「無限に広がる」ことです。コーヒー豆の種類や焙煎の違いにより、ブレンドコーヒーの風味や香りは数え切れないほどに広がります。この多様性が、ストレートコーヒーでは決して味わうことのできない新たな味覚の発見を可能にします。ブレンドコーヒーの楽しみ方は無尽蔵です。
さらに、ブレンドコーヒーは、一つのコーヒー豆の持つ独自の香りや味わいを「絶妙なバランス」で楽しむことができます。例えば、「明確な酸味は苦手だけど、キリマンジャロの芳醇な香りやコクは好き」という人がいたとします。こうした場合、ブラジル産のコーヒー豆とブレンドすることで、酸味を軽減しつつキリマンジャロの持ち味を活かした、自分だけの美味しさを追求することが可能となるでしょう。
また、ブレンドコーヒーは「安定した品質と価格」を保つことも可能です。豆の種類や配合量を調整することにより、季節や天候による味の変動を抑制することができ、いつでも一貫した風味を楽しむことができます。たとえば、2種類のコーヒー豆AとBをブレンドした商品であっても、Aの価格が上昇した年でもBの品質が下がった年でも、適切な代替豆を使用することで、一定の味わいと価格を維持することができます。
これらのメリットから、ブレンドコーヒーは多くのコーヒーショップやカフェで主力メニューとして提供されています。その豊かな風味と安定した品質、価格のバランスは、日々の生活を喜びで満たす飲み物と言えるでしょう。
ブレンドコーヒーの作り方
ブレンドコーヒーは、単一種類のコーヒー豆だけでは実現できない特色ある風味を提供するために、複雑化するコーヒー豆の組み合わせから誕生します。もっとも、ただ闇雲に豆を組み合わせるだけでは、求める香りや風味には辿り着くのは難しいかもしれません。
これからブレンドコーヒー作りに挑戦しようとしているあなたのために、基本的な知識をご紹介します。
ブレンド時の基本的な考え方
先に述べたように、ブレンドコーヒー作りの設定されたルールというものは存在しません。しかしながら、豆の種類を多すぎると、各豆特有の特性が薄れてしまい、全体的な味わいが曖昧になる可能性があります。一般的には3～5種類のコーヒー豆を選び、ブレンドすることが一般的です。
ブレンドに対するアプローチは人それぞれですが、まずは基本的なステップから始めてみてください。
【ブレンドコーヒーの基本的な制作手順】
1. 全体の風味を支えるベースとなるコーヒー豆を選出します。
2. 選ばれたベースとは逆の特性をもつ豆を組み合わせ、風味に幅を持たせます。
3. ベースの豆と同様の特性を持つ豆を組み合わせ、全体の調和を図ります。
4. お気に入りの個性豊かな風味の豆を追加し、一層風味を引き立てます。
店頭で提供されるブレンドコーヒーは、多種多様な豆の個性を記憶し、焙煎の度合いがもたらす風味の変容までを熟知したブレンダーによって創り上げられます。ところが、ブレンドコーヒー作りの基本的な比率さえわかってしまえば、特別にコーヒーに詳しくなくとも心地よいブレンドコーヒーを自宅で楽しむことが可能となります。
【ブレンドコーヒー作りの基本的な比率例】
・マイルドな風味を好む場合 コロンビア：ブラジル：モカ：ロブスタ＝4：3：2：1
・濃厚な風味を求める場合 コロンビア：ブラジル：マンデリン：グァテマラ＝4：2：2：2
・さっぱりとした風味を望む場合 コロンビア：ブラジル：モカ：グァテマラ＝3：3：2：2
・苦味が好きな場合 コロンビア：ブラジル：キリマンジャロ：ロブスタ＝3：3：2：2
是非とも最初はこの比率に従ったブレンドから始めてみてください。そして、そこから徐々に自身の嗜好に近づくような独自の配合を見つけてみるのも面白いかもしれません。
好みのブレンドコーヒーを作るポイント
自分流のブレンドコーヒーを作る喜びは別格ですが、その秘訣をいくつか伝授しましょう。
まず前提として、相違する特性を持つ3～5種類のコーヒー豆を選び、それぞれを単品で味わって理解することが欠かせません。例えば、浅煎りのブラジル産はナッツやトーストのような独特の香ばしさを、浅煎りのマンデリンは果実由来の風味を、深煎りのコロンビア産はシャープな風味を感じさせます。それぞれの個性と特色を確認し、記録をつけておかなければなりません。
焙煎加減は、豆の味わいを左右する大切な要素です。特に好みの豆があった場合、その豆をいくつかの焙煎度で準備することをおすすめします。
ブレンドのベースになる豆は、抽出後に広がるアロマに大いに影響を与え、第一印象を決定します。自身が最も魅力的だと思う豆を選び、その比率をとりあえずは全体の3割くらいに設定しましょう。豆の特性を強く出したい場合でも、全体の調和を守ることが重要なので、5割までに留めておきます。
豆の特性を強調したい、コクを大切にしたい、あるいは全体の均一性を重視したいなど、ブレンドの完成イメージを明確に持つことが、理想の一杯に向かう大切なステップになります。
ブレンドコーヒーで好みの味わいを追求してみて
ブレンドコーヒーは、各産地のコーヒー豆の特性を見事に引き立て、ユニークな風味の融合を生み出すところにその魅力があります。コーヒー豆の専門知識を深めることで、自分だけのブレンドコーヒー作りに挑戦できます。
行きつけのカフェではなく自宅で、個々のコーヒー豆の風味を理解し、その後、お気に入りの風味の組み合わせを指向したブレンドコーヒーを作ることが大切です。コロンビア産のコーヒー豆からは鮮やかな酸味と果実味が、ブラジル産からは微かな甘さとナッツのような風味が感じ取れます。
自分の好きな風味を複数選び、それらをブレンドすることで、独自の風味のコーヒーが作れます。自分だけの味わいが引き立つか、新たな味わいが生まれるかを見つけ出すために、ブレンドのバランスを調整することが重要です。
少々の手間を惜しまず、自分だけのパーソナルブレンドを追求し、日々のコーヒータイムに新たな喜びを見つけましょう。自分好みのブレンドコーヒー作りの楽しさは計り知れません。ぜひ楽しんでみてください。
まとめ
ブレンドコーヒーは、異なる種類の豆、産地、焙煎度を組み合わせた、一杯一杯にバリエーションのあるコーヒーです。一つ一つの豆が持つ風味や特徴を見事に調和させ、ユニークな風味の複層的なブレンドが生み出されます。まさにコーヒーの中に、世界各地の風土や人々の情熱が詰まっています。ブレンドコーヒーを深く理解することは、世界との繋がりを感じ、自身のコーヒー体験をより豊かにしたり、新たなコーヒーの楽しみを発見する手助けとなります。