あまり目にすることのない「ポポー」は、バンレイシ科アシミナ属に属し、原産地は北アメリカ東部です。日本へは明治30年頃に導入され、観賞用として普及しました。その後、栽培が容易であったことから昭和初期には一時的にブームとなりました。しかし、ポポーは熟してから傷むのが非常に早く、完熟すると皮が黒ずみ見栄えが悪くなるため、流通が難しいという欠点があります。このため、栽培される地域が減少し、現在では市場でほとんど見られなくなり「幻のフルーツ」と呼ばれるようになりました。

ポポーの主な産地は愛媛県や茨城県です。愛媛県大洲市長浜町櫛生では、地域を挙げて「日本一のポポーの里」を目指し、積極的に栽培が行われています。一方、茨城県日立市では、特産品としてポポーを活用したワインやソフトクリームが生産されています。また、静岡県や山梨県、長野県、三重県、島根県、長崎県など、全国のさまざまな地域で少量ながら生産されており、それぞれの土地で工夫を凝らした商品が作られています。

ポポーの外観は、あけびに似た楕円形で、色は薄緑色をしています。熟してくると表面に黒いシミが現れ、やわらかくなります。果肉の色は鮮やかな黄色やオレンジ色で、そら豆のような黒くて硬い種が中央に並んでいるのが特徴です。ポポーはひとつの房に複数の実が固まって成るため、全体的にふっくらとして丸みがあり、大きな実を選ぶと良いでしょう。触ったときに適度な弾力があり、表面に傷や傷みがないものが新鮮な証拠です。

熟したポポーは、トロピカルフルーツのような独特の甘い香りを放ちます。その味わいは品種によって異なりますが、ねっとりとした甘いクリーム状の食感が特徴です。アボカドやバナナ、マンゴー、柿を合わせたような風味を持ち、「森のカスタードクリーム」とも呼ばれるほど濃厚でリッチな味わいです。食べ頃は見た目だけでは判断しにくいため、果実を軽く押してみて弾力を感じるものや、甘い香りが十分に立っているものを選ぶと良いでしょう。

ポポーは非常に傷みやすいため、保存には注意が必要です。購入後はラップで包んで冷蔵庫で保管し、できるだけ早めに食べるようにしましょう。また、長期保存したい場合は、皮をむいて種を取り除き、ラップで包んだ後にフリーザーバッグに入れて冷凍保存する方法があります。この方法であれば、約1ヶ月程度保存が可能です。

生で食べる場合

完熟したポポーは非常にやわらかく、ねっとりとした食感です。生で食べる場合は、ナイフで縦にカットし、スプーンですくって食べるのがおすすめです。また、皮をむいてから種を避けて2cm幅に輪切りにする方法もあります。種が中央に多く並んでいるため、ナイフを入れる際は注意しましょう。冷凍したポポーは半解凍するとシャーベットのような食感が楽しめます。アイスクリームとの相性も良く、組み合わせて食べるとさらに美味しくなります。

加工して食べる場合

ポポーは日持ちしないため、加工して楽しむのも良い選択です。例えば、冷凍したポポーをパイナップルやバナナ、ヨーグルトと一緒にミキサーにかけてスムージーを作ると絶品です。また、ポポーをピューレにしてプリンやババロア、アイスクリームを作ると、特有の甘い香りが広がり、まろやかな仕上がりになります。そのほか、砂糖と多めのレモン汁を加えてジャムにするのもおすすめです。ヨーグルトやアイスクリームに添えて楽しむと、ポポーの風味を存分に味わえます。

ポポーは希少でありながら、その独特な風味と歴史を持つ幻のフルーツです。 特徴的な外観と豊かな味わいは多くの人々を惹きつけ、果物の世界に新たな驚きをもたらしています。の成長環境や利用方法についての知識は、果物愛好家や食文化愛好家のために続くものであり、その魅力はこれからも広く語り継がれることでしょう。