アケビとは

アケビ、その独特の風味がどこか懐かしい涼しげなフルーツに心惹かれたことはありませんか?あるいは未だ触れたことのないまま、その魅力を知らぬままではないでしょうか。独自の形状と一風変わった存在感で日本の秋の風情を彩る、アケビについて考えてみましょう。
「あけび」とはどんな果物?
「あけび」は、その野性的な美しさから「ありがび」や「あけ」などの名でも親しまれ、日本全国の山間部で、大木に蔓を這わせながら育つ植物です。秋の到来と共に葉が深紅に染まる姿から、情熱的な名前を持つこの植物は、四季折々に色鮮やかな風景を提供してくれます。
しかし、私たちがなるべく注目したいのは、この植物が織り成す、初秋の奇妙な実りです。猛暑が収束し、秋風が頬を撫でる頃、あけびは風変わりな形状の果実を実らせます。細長いキュウリのような姿と、綿菓子を思わせる不思議な外見を持つその果実は例に漏れず、紫色に熟し、見る間に大きく割れて白い果肉を出してしまいます。
その香りは""栞のよう""と評されることがあり、食感は瑞々しいパイナップルに似ていますが、微妙な甘さとともに高まる酸味が特徴です。ただし、生で食べると口の内側が刺すような感じを覚えるため、調理する際は注意が必要です。その上、栄養的にも優れており、ビタミンCや鉄分を多く含んでいるとされています。
美しい日本の風情を象徴するかのような特異な果実、あけび。見た目は何とも奇妙で興味深く、口にすると甘酸っぱさとジューシーな味わいが広がり、心地よい驚きを呼び起こします。

「あけび」の旬や食べ頃は?
"あけび」は、「あけのみのような形」から一部地方で「あけぽの」や「山ふうろ」などと呼ばれ、日本、中国、朝鮮半島などで古くから愛されてきました。その独特の形状と奇妙な外観は一見すると驚きですが、それはそのまま成熟の証です。
あけびの収穫時期は、花が咲く5月頃から数えて約3ヶ月後の8月下旬からスタートし、10月中旬頃までが旬となります。特に9月早くは大量に収穫を見ることができます。ですが、寒冷地という境遇にある北海道では、10月まで旬が続きます。
あけびの見た目の特徴といえば、中に包まれている何個もの赤い種とそれを優しく包む白い果肉です。この果肉は、甘くて滑らかな口どけがあり、柿を思わせる風味とされます。ただし、収穫したてのあけびは完熟しておらず、食べるには収穫から約1週間ほど熟成させる必要があります。スーパー等で見つけた際には、果肉が黄色く熟れていることを確認しましょう。
あけびは、そのまま食べても美味しいだけでなく、料理にも幅広く使われます。焼いたり、シロップに漬けたりするとまた違った味わいが楽しめます。また、一部地方では、種を取り除いたあけびからワインを醸造しているところもあります。あけびの独特な風味は、食材としての多彩さを引き立てます。
旬の時期に合わせて、ぜひこの独特な風味と食感を持つ果物「あけび」を楽しんでみてはいかがでしょうか?
「あけび」の産地はどこが有名?
地元の自然を活かした貴重な果物であるあけび。その自生している地域は日本各地に広がっていますが、特に福岡県が栽培地として知られています。驚くべきことに、福岡県だけで全国出荷量の約75%を占めています。
大都市圏ではなかなか出会えないあけびですが、最近ではインターネットでの販売が盛んになり、どこでも手に入れられるようになってきました。
子どもの頃、山で見かけたあけびを思い出しながら食べる人もいるでしょう。しかし、山で見かけても所有者がいる場合が多いので、勝手に採取は避けましょう。
その特異な風味と独自の見た目で、新たな日本の味を体験したい方は、ぜひ福岡県産のあけびを試してみてください。この地域を代表する果物の一つであるあけびは、自然豊かな地元の誇りであり、特別な料理も作られています。
今後も日本各地の美味しい農産物が注目されることでしょう。地元の自然の恵みを活かしたこんな商品に出会えるのも、日本ならではの魅力ですね。

「あけび」ってどんな味がするの?
「あけび」はその香りと風味で知られる果物であり、多くの方々にとっては見かけだけでなく、その風味も新たな体験となるでしょう。
フルーティーな香りが特徴のあけびは、パッと広がるその香りが好奇心を掻き立てます。あけびの香りは、メロンやキウイ、柑橘類を彷彿とさせ、その甘さと鮮烈さが食欲を刺激します。
そして、口に含むとその香りと同時に、甘さとフルーツの風味が広がります。それは、まるで熟したバナナや柿のような素朴で優しい甘みを感じる果物です。ただし、甘さは控え目で、口の中で溶けていくその食感は舌を楽しませます。
だからといって、その甘さが物足りないと感じる人もいるかもしれません。しかし、古き良き時代には甘いものが大変貴重であったと同時に、山歩きに疲れたときなどに美味しく食べられる果物として重宝されていました。
しかし、あけびはその成熟期が短く、生のまま保つのが困難であり、その旬を逃すとなかなか味わうことが難しいです。そのため、あけびが手に入ったときは、その独特な風味や息を呑むような香りを存分に堪能してみては如何でしょうか。
「あけび」は漢字でどう書く?
「あけび」の漢字表記は多様です。
最も一般的に使われるのは「木通」です。名前の由来は、そのツルが空洞になっており、「ツルを切って吹くと風が通る」という特性からきているとされています。漢字表記はまだまだあり「木通(もくつう)」とも呼ばれています。
また、「通草」も「あけび」の漢字表記の一つです。「山女」や「丁翁」などの物稱も見受けられます。
これらの様々な呼び名は、「あけび」が日本全国に幅広く分布し、それぞれの地方で親しまれてきたことを物語っています。いずれの表記も個性的で、深い意味が込められていることから、ただ呼ぶだけでも楽しむことができます。そして、その美しい姿から得られる感動は、視覚的な喜びを与えてくれます。これらの要素が組み合わさることで、「あけび」はただの植物以上の存在となり、私たちの生活に彩りを添えてくれます。

「あけび」の種類
「あけび」は、消息不明な人々にとっては馴染みのない果物かもしれません。しかし実は、日本の四方八方に生息し、その名は一種の果物だけでなく、二つの主要なバリエーションを指しています。
一つは日本固有種である「ニホンアケビ」。山野間で四季を通して見かけることができ、特に秋には果実を実らせます。その果肉は白く、繊細な甘さが魅力です。また、実が成熟すると自然に割れて種が姿を現します。夜明けの風景が網戸に映る様子に似ていることから、この名前が付けられたと言われています。
もう一つの「あけび」は中国由来の「シロアケビ」。ニホンアケビよりも一回り大きく、その繊維取得のためにかつて栽培されていました。その果肉は黄色く、特徴的な香りとともに食感を楽しむことができます。その名称も果実の白さに由来して名付けられました。
どちらのあけびもその美しい見た目から観賞用としても使われます。また、それぞれ独特の特性をもっていたりと、あけびは私たちの食事や風景に一彩を加える存在なのです。
「あけび」の果肉の食べ方
「あけび」は、その美しい外観に反して、食べ方は案外知られていない。普通、その果肉は生で食べるのではなく、調理によって美味しく味わいます。最初に、未熟なあけびを収穫し、果肉を細かく切ってから、水にさらして苦味を抑えます。その固さと豆腐に近い質感は特徴的ですが、生で味わうのではなく炒め物や煮物など、火を加えることをお薦めします。
また、硬めの質感が他の食材と絡みつつ、料理に深みを与えてくれます。苦味が苦手な方やユニークな食材に挑戦したい方に、あけびの果肉の特異な食感を是非試してみて頂きたい。あけびの意外な美味しさと新しい食体験は、あなたの食事に色彩を添えてくれるはずです。但し、食べてはいけない黒い種にはご注意を!
さらに、薦められる別の食べ方として、あけびの果肉を裏ごししてから凍らせる方法があります。固くなりすぎないゼリー状の果肉をシャーベットとして楽しむことができ、シャキシャキとした食感が楽しめます。スプーンなどで皮から取り出してから食べることを忘れないでくださいね。

「あけび」の皮の食べ方
独特な風味と個性的な形状から多くの食通を虜にする果物、あけび。しかし、その皮は多くの方から捨てられがちです。一見すると食用には不適当に見えるかもしれませんが、このあけびの皮にこそ魅力が隠されています。
皮はそのまま食べることができないため、まずは対策が必要です。あけびを半分に切り、種を除いてから皮を水に数時間浸け、十分にアクを抜いてください。その後、皮を細かく刻み、塩をまぶして揉むことで余分な水分を出します。
ここからが味付けの際です。あけびの皮の多少の苦みを活かすために、油と組み合わせた料理や、強い味付けの料理がおすすめです。あけびの皮を素揚げにすると、サクッとした食感と独特の風味を堪能できます。加熱調理の一つとして、味噌やバターで炒めるやり方もありますし、佃煮もお試しいただけます。産地である山形県では、あけびの皮を使った肉詰めが伝統的な料理として楽しまれています。
しかも、春になるとあけびは新芽を吹き、これもまた食べることができます。挑戦したことがない方は、ぜひこの機会にあけびの皮料理を試してみてください。驚きの風味と食感が、あけびの新たな魅力を引き立ててくれることでしょう。
美味しい「あけび」の選び方
美味しい「あけび」を選ぶ際には、以下のポイントに注意することが大切です。
色の鮮やかさ: 赤く鮮やかな色のあけびを選びましょう。色が濃いほど糖度や味が豊かです。
皮のつやとハリ: あけびの表面がつややかで、しっかりとしたハリがあるものを選びましょう。しわやしぼみが少ないほど新鮮です。
つぼみの形状: つぼみがふっくらとした形状のものを選びます。平たいものやひし形のものより、丸みのあるつぼみが良いです。
ヘタの状態: ヘタ(茎の部分)がしっかりと付いていて、新鮮なものを選びましょう。ヘタがしなやかで緑色が残っているほど良いです。
香り: あけびは熟れていると甘い香りがします。香りが強く感じられるものを選びます。
触感: 軽く触れたときにしっかりとした弾力があるものを選びます。柔らかすぎず、硬すぎない程度の触感が理想です。
傷や変色の確認: 傷やしみ、変色がないか確認しましょう。美しい状態のものを選びます。
産地と時期: あけびは産地や時期によっても味わいが異なります。産地の特産物や旬の時期を把握して、その時期に合った美味しいあけびを選びましょう。
これらのポイントを意識して、新鮮で美味しいあけびを選んで楽しんでください。また、直売所や市場で購入する際には、生産者の話やアドバイスを聞くことで、より良い選択ができるかもしれません。

まとめ
果物の中でも特異なビジュアルと風味を併せ持つアケビは、自然の恵みと四季の移ろいを身近に感じる日本人の食文化の一部です。新たな美味しさや楽しみを求め、常識を超える挑戦をすることで創造される新たな料理も早くも出現しています。未体験の方々も、一度は彼の風味に触れてみてはいかがでしょうか。見た目からは予想もつかない独特の風味と食感が、あなたを目新しい味覚の世界へと誘います。