ナツメ - スイーツモール

ナツメ

ナツメ

日本の伝統的な食文化に深く根ざしてきた「ナツメ」 - 私たちの毎日の生活に必要なエネルギーを供給する小さなスーパーフードです。一見あまり目立たないこの果実には、健康にニーズに対応するたくさんのパワーが秘められています。今回の記事では、この「ナツメ」に注目し、その起源からヘルスベネフィット、さらにそのおいしく楽しみ方まで、幅広くご紹介していきます。どうぞお付き合いください。

棗(なつめ/ナツメ)ってどんな植物?

棗(なつめ/ナツメ)は、アジア全体で遍在する落葉性の高木で、その高さは5〜15メートルになります。この木は特に厳寒に強いことで知られ、従って肥沃な土壌が好ましいです。耐寒性の高さにもかかわらず、木の成長は相対的に遅く、最初の収穫には約10年を待つ必要があります。また実は果物のサイズは約1〜3cmの幅と2〜5cmの長さで、インドの棗の種類ではさらに大きくなることもあります。
棗の木は5mm程度の小さな、可愛らしい花を咲かせ、その黄緑色の5つの花びらからはその繊細さが感じられます。実は早ければ8月頃から実り始め、一度に多くの実をつけるため、一度に収穫して干すことが標準的です。そして8月中旬から11月初旬が収穫の適期とされています。
棗は常用漢字で記述され、「棘(とげ)」という字に由来します。棗が果実の両端に2本の棘を持つことからです。これは棗が大事な果実と種子を害虫や鳥から防ぐ進化の一つと言えます。また、「棗(なつめ)」という呼び名自体は、夏に芽吹き花を咲かせることから、「夏芽(なつめ)」と名付けられたとも言われています。
通常、抹茶を入れる茶器も棗と呼ばれ、その名前は果実の棗に似ていることに由来します。日本での茶道の発展が始まった時代から、棗が日本に伝わることが確認できます。それは、棗が昔は今よりも身近な存在だったことを示しているかもしれません。
棗の栄養成分はビタミンC、カルシウム、鉄分など多様で、これらは美容と健康維持に有効です。その風味のある味わいは、お茶と一緒に飲むことで最大限に楽しむことができます。さらに、収穫した棗は乾燥させることで長期間保存可能で、特に冬季の食材として利用されます。
ところが、「なつめやし=デーツ」は棗としばしば混同されますが、これは南国で多く見られるヤシ科の常緑樹で、棗とはまったく別の植物です。英語でもこの混同は見られ、棗は「Jujube」と呼ばれる一方で、「Chinese date(チャイニーズ・デーツ=中国のナツメヤシ)」とも呼ばれています。しかし、棗の学術名は「Ziziphus jujuba」で、なつめやしは「Phoenix dactylifera」で、これらは全く異なる植物であることが明白です。日本語や英語の名称が似ていて外観も少し似ていますが、棗となつめやしは全く別物の植物です。

棗(なつめ/ナツメ)はいつから、どこで食べられていたの?

棗(なつめ)、甘さとほのかな酸味をもつこのフルーツは、古代から日本の食文化に深く彫り込まれてきました。もともと中国で収穫されていた棗は温暖な気候を好む植物で、南の地域での栽培が普及していました。そのため、中国から日本へとこの果物が伝わったのは、飛鳥時代から平安時代にかけてと考えられています。
棗の特性として挙げられるのがその易しさと保存性の高さです。これらの性質は、棗が保存食としての地位を確立する一助となりました。さらに、その風味から料理にも用いられるようになり、和菓子ひとつをとってもその存在が欠かせなくなりました。その甘さが抹茶の苦みを和らげ、風味を引き立てる役割を果たしています。
しかし、我々の日常に棗が広く受け入れられるようになったのは、飛鳥や平安時代よりもさらに時が経った後のことです。江戸時代に入ると、棗は安定した生活を送る民間人たちにも広く受け入れられるようになり、現代に至るまでその地位を保ち続けています。
棗の美しい見た目と高級感から、「五福来臨」といわれるようになり、祝福の席で欠かすことができない食べ物となりました。因みに、「五福」というのは長寿、富裕、健康、徳行、自然死を指すもので、棗の風味や食感はこれら五つの福を表しているとされています。そうした文化的な価値と共に、その甘さが私たちを癒してくれる一方、それは古代から根付いてきた我々の食文化の一部でもあります。その古さと落ち着き、そして場面を選ばない普遍的な魅力。それが棗という果物の存在ではないでしょうか。これからも我々はその風味を楽しみ、その歴史を感じることができます。
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棗(なつめ/ナツメ)ってどんな栄養があるの?

棗(なつめ)の栄養価と健康への影響は非常に高く、多くの不可欠なビタミンとミネラル、特にビタミンAが含まれています。これらは視力を保つため必要であり、同時に私たちの肌を健康に保つのにも欠かせません。加えて、それらは我々の免疫系も強化するのを助け、さらにビタミンCやビタミンEといった抗酸化剤も含まれています。これらの抗酸化剤は、私たちの細胞を酸化ストレスから守り、老化の予防や病気を防ぐのに役立ちます。
また、棗には食物繊維もたっぷり含まれており、これは整腸作用があり、私たちが健康な腸内フローラを維持するのに役立ちます。食物繊維の摂取は、全体的な健康状態を保つために重要です。
さらに、棗にはカリウムも含まれており、これは私たちの電解質バランスを保つのに重要な栄養素であり、高血圧の予防や心臓の健康を改善するのに役立つとされています。
棗はその独特の味から甘味料や料理の具として、またはそのままスナックとしても愛されています。その一粒で、身体に必要な多くの必須栄養素をバランス良く摂ることができます。健康維持のため、日々の食生活に取り入れることをおすすめします。

棗(なつめ/ナツメ)の食べ方

ナツメは、スーパーやコンビニでも容易に購入することができ、さまざまな食べ方が楽しめる食品です。それぞれの食べ方が提供する風味は異なり、その多種多様な方法は、どこにでも手に入るこの実を、何倍も魅力的に見せています。
生のナツメは皮を剥いて食べられ、リンゴに似た食感とほんのりとした甘味が特徴的です。特に中華圏や韓国では生食が一般的です。甘さが控えめなので、お好みで砂糖やハチミツを付けて、甘さをプラスすることも可能です。
ナツメを料理に活用する方法も多数あります。シロップ漬けにして甘いデザートとして楽しんだり、薄切りにして干して「干しナツメ」にすると、その甘味が一段と引き立ちます。また、パンや菓子類などへの練り込み、ヨーグルトのトッピング、ジャムなど、様々な料理にも取り入れることができます。
ナツメを乾燥させると、食物繊維や鉄分などの栄養価が高まり、「大棗(たいそう)」と言われる生薬にもなります。これら乾燥ナツメは血行促進や滋養強壮に役立つとされ、長期保存も可能です。
ただし、ナツメにはカリウムが多く含まれているため、腎臓病の方は摂取に注意が必要です。また、糖分も多いため、糖尿病の人は食べ過ぎにご注意ください。
以上のように、ナツメは手軽に入手でき、食べ方が多様で高い栄養価を持つ食材です。日々の食事に積極的に取り入れてみてはどうでしょうか。ナツメの豊かな風味が、食生活に新たな楽しさをもたらしてくれることでしょう。

まとめ

「ナツメ」は日本の食文化の一端を担ってきた不思議なフルーツの一つであり、その栄養価やヘルスベネフィットに目を向けることで、私たちの健康維持に新たな道が開かれます。甘味と風味を楽しみつつ、積極的に摂取することで、日々の生活をさらに豊かに、元気に過ごしましょう。