セロリの収穫時期:美味しいセロリを収穫するための完全ガイド
シャキシャキとした食感と独特の香りが魅力のセロリ。サラダや炒め物、スープなど様々な料理で活躍する人気の野菜ですが、一番美味しい時期に収穫したいですよね。この記事では、セロリの収穫時期を見極めるためのポイントを徹底解説します。適切な時期に収穫することで、セロリ本来の風味と食感を最大限に楽しむことができるでしょう。ぜひ参考にして、自家製セロリを最高の状態で味わってください。

セロリとは?基本情報と特徴

セロリは、セリ科のオランダミツバ属に分類される一年草であり、独特の香りが特徴的な葉物野菜です。一般的に草丈は30cmから75cm程度まで成長し、原産はヨーロッパや地中海沿岸地域とされています。冷涼で適度な湿り気がある環境を好み、特に夏の暑さには弱い性質を持っています。「セルリー」という別名でも親しまれ、和名の「オランダミツバ」は、日本へ伝来した際にその香りが特徴的であったことから名付けられました。セロリ特有の香りは、肉や魚の臭みを和らげ、食欲を刺激する効果があると言われています。生のままサラダとして楽しまれることが多いですが、スープの風味づけ、漬物、炒め物、天ぷらなど、様々な料理に活用できる万能な食材です。
セロリは、株元から複数の茎と葉を伸ばして成長します。食用として適しているのは、茎の根元から第一節までの長さが20cm以上に育ったものです。一般的に見かけるセロリには緑色のものと白色のものがありますが、これらは品種の違いによるものではありません。白いセロリは、「軟白栽培」という特殊な方法で育てられます。これは、茎に日光が当たらないように遮光することで、人工的に色を白く、そして柔らかく仕上げる技術であり、長ネギやウドの栽培方法と似ています。
セロリは、成長が進むと「とう立ち」と呼ばれる状態になることがあります。とう立ちとは、花を咲かせるために花茎が伸びてくる現象で、こうなると茎や葉が硬くなり、食用には適さなくなってしまいます。しかし、そのまま育て続けると、白い可愛らしい花が咲き、まるでレースフラワーのような繊細な美しさを楽しむことができます。また、来年栽培するための種を採取することも可能です。

セロリの育て方

ここまで、セロリの基本的な情報について解説してきました。ここからは、家庭菜園での実践編として、セロリの詳しい栽培方法についてご紹介していきます。庭での地植え栽培と、プランターでの栽培、それぞれの方法を詳しく解説しますので、ご自身の環境に合わせてセロリ栽培に挑戦してみてください。

栽培時期と全体の流れ

家庭菜園でセロリを育てる際の栽培適期は、関東以西の温暖な地域を基準にすると、種まきは5月中旬から6月頃、苗の植え付けは7月中旬から8月中旬頃が目安となります。種から育てることも、市販されている苗から始めることも可能です。順調に育てば、10月中旬から11月頃には収穫時期を迎えます。一度にすべての株を収穫するのではなく、生育状況に合わせて外側の葉から順に摘み取っていくことで、長期間にわたって収穫を楽しむことができます。

栽培環境(日当たり・土壌)

セロリは、太陽の光がよく当たり、風通しの良い場所で育てるのが理想的です。比較的涼しい気候と、適度な湿り気を好むため、特に夏場は乾燥に注意し、こまめな水やりを心がけましょう。真夏の強い日差しはセロリの株を弱らせる原因になるため、日中の数時間は日陰になるような場所で管理するのがおすすめです。
セロリに適した土壌は、pH5.5〜6.5の弱酸性から中性の範囲です。酸性の強い土壌は苦手とするため、地植えの場合は、植え付けを行う2〜3週間前までに、苦土石灰を1平方メートルあたり約100gを目安に散布し、土と丁寧に混ぜ合わせて酸度調整を行いましょう。セロリは、肥沃で水はけと保水性のバランスが取れた、ふかふかとした土壌でよく育ちます。プランターで栽培する場合は、市販の野菜用培養土を使用すると手軽です。

種まき・育苗

セロリを種から育てる利点は、苗を運搬する際のストレスがないため、セロリが新しい環境にスムーズに順応できることです。また、広い範囲で多くの苗を育てたい場合、コストを抑えることができます。一方で、セロリの苗は園芸店やホームセンターで容易に入手できるため、「少しだけ育てたい」という場合は、苗から始めるのがおすすめです。
セロリの種まきに適した時期は、5月中旬から6月頃で、発芽に適した温度は15〜20℃です。この温度帯を維持することで、通常8〜15日程度で発芽し、双葉が開きます。苗を植え付けるまでには、約2〜3ヶ月の育苗期間が必要です。種をまいた後は、不織布などで覆い、風通しの良い半日陰に置き、土が乾燥しないように注意して管理しましょう。
種から栽培する場合、庭や畑に直接種をまくと、幼い苗が病気や害虫の被害を受けやすく、天候の影響も受けやすいため、育苗トレイを使用するとより確実に育てられます。育苗トレイに市販の野菜用培養土を入れ、水で十分に湿らせてから、5〜8cm間隔で2列の溝を作ります。溝にセロリの種が重ならないように丁寧にまき、セロリの種は光を好むため、土はごく薄く被せる程度にしましょう。霧吹きで優しく水をかけるか、トレイの底から水を吸わせるなどして、発芽するまでは土を乾燥させないように注意深く水やりを行います。
発芽後は、日当たりの良い場所で管理し、苗が密集している場合は、生育の良い株を残して間引きを行います。間引きをせずに放置すると、苗がひょろひょろと伸びてしまう徒長苗になる可能性があるため注意が必要です。間引いた苗は、ベビーリーフとして美味しく食べられます。
本葉が3〜4枚になったら、トレイから苗を取り出して、一株ずつポットに植え替えます。黒い育苗ポットに野菜用の培養土を入れ、苗を根を傷つけないように丁寧に植え付けましょう。ポットに植え替えた苗は、日当たりの良い場所に置き、土の表面が乾いたら水を与えます。ただし、土が常に湿った状態だと根の生育が悪くなり、徒長苗になったり、病気が発生したりする原因となるため注意が必要です。適切な水管理を行うことが、丈夫な苗を育てる上で非常に重要です。最終的に本葉が7〜9枚になるまで育苗を続け、植え付けに備えましょう。

土づくり

【菜園の場合】
セロリを植え付ける場所には、畝幅を約60cm確保します。園芸用の支柱や割り箸などを畝の四隅に立てて目印にすると、作業がスムーズに進みます。畝の長さは、栽培スペースや育てたいセロリの量に合わせて自由に調整できます。
植え付けを行う2〜3週間以上前に、苦土石灰を1平方メートルあたり約100gを散布し、土とよく混ぜて耕しておきます。さらに、植え付けの1〜2週間前には、1平方メートルあたり堆肥3〜4kg、有機配合肥料100〜150gを均一にまき、再度丁寧に耕します。その後、畝の幅を約60cmに整え、高さ10cmほどの畝を作りましょう。事前にしっかりと土づくりを行うことで、肥料が分解されて土が熟成し、セロリの生育が促進されます。

【プランター栽培の場合】
プランターで栽培する場合は、野菜用に配合された市販の培養土を利用すると便利です。必要な栄養素がバランス良く含まれているため、土作りの手間を省くことができます。

苗の植え付け

【菜園の場合】
セロリの苗の植え付けに適した時期は、7月中旬から8月中旬です。生育の良い苗を選ぶことが、栽培成功の秘訣です。苗を選ぶ際は、ひょろひょろと弱々しいものや、虫食いの跡が見られるものは避け、節間が短く、茎が太くしっかりとしており、本葉が7〜8枚程度ついているものを選びましょう。
事前に準備しておいた畝の形が崩れていたら、再度クワを使って幅約60cm、高さ約10cmになるように整え、表面を平らにします。畝の中央に植え穴を掘り、株間を約30cmの間隔で苗を植え付けていきます。セロリは根がまっすぐに伸びる性質があるため、植え付けの際は根鉢を崩さないように丁寧に扱いましょう。植え付け後、たっぷりと水を与え、株元に乾燥防止のために藁や腐葉土などを敷いておくと、土壌の乾燥を防ぎ、セロリが好む適度な湿り気を保つことができます。

【プランター栽培の場合】
プランターでセロリを栽培する場合、8〜10号鉢には1株、標準的なプランターには2〜3株を目安に植え付けましょう。まず、プランターの底に鉢底ネットを敷き、その上に鉢底石を底が見えなくなる程度まで入れます。次に、野菜用の培養土を、水やりの際に土が溢れないように、プランターの縁から2〜3cm下の位置まで入れます。苗の根鉢よりも少し大きめの穴を掘り、根鉢を軽くほぐしてから苗を植え付けます。最後に、プランターの底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。

水やり

セロリへの水やりでは、株元に直接水を注ぐのがコツです。葉や茎にかけると、湿度が高くなりすぎて病気の原因になることがあります。特に夏場は、日中の暑い時間帯を避け、朝夕の涼しい時間帯に水やりを行いましょう。日中に水やりをすると、水温が上昇し、株を弱らせる可能性があります。

【菜園の場合】
畑に植えたセロリは、基本的に自然の雨に任せて大丈夫です。ただし、雨が少ない時期や乾燥が続く場合は、土の状態を見て適宜水やりを行いましょう。セロリは適度な水分を好むため、乾燥させすぎないように注意が必要です。株元に藁などを敷いておくと、土の乾燥を防ぎ、地温の上昇を抑える効果があります。

【プランター栽培の場合】
プランターで栽培する場合は、畑よりも土が乾燥しやすいため、こまめな水やりが大切です。土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与えましょう。セロリは乾燥に弱いので、水切れには特に注意が必要です。夏場は特に乾燥しやすいので、朝夕2回水やりを行うことも検討しましょう。こちらも藁などを敷いて乾燥対策をすると効果的です。ただし、水の与えすぎは根腐れの原因になるため、土の状態をよく観察し、過湿にならないように注意しましょう。葉がしおれてきたら水不足のサインです。

肥料(追肥)

セロリを大きく育てるためには、肥料が重要です。最初に肥料を施した後も、生育状況に合わせて追肥を行いましょう。

【菜園の場合】
植え付け2週間後から追肥を開始し、月に1〜2回の頻度で化成肥料や有機肥料(鶏糞や油かすなど)を与えます。肥料を与える際は、株の周りの土を軽く耕し、肥料と土を混ぜ合わせるようにしましょう。その後、株元に土を寄せておくと、肥料の流出を防ぐとともに、株を安定させる効果があります。もしくは、緩効性化成肥料を使用する場合は、月に1回、1平方メートルあたり30g程度を株元に施してください。

【プランター栽培の場合】
プランターに植え付けた場合も、1ヶ月に1回を目安に緩効性化成肥料を株元に施します。量は、ひとつまみ程度で十分です。肥料を与える際は、スコップなどで株の周りの土を軽く耕し、肥料を土に混ぜ込んでください。その後、水やりを行うと、肥料が溶け出して根に吸収されやすくなります。

わき芽・下葉かき

【菜園・プランター栽培共通】
セロリが成長してくると、株元から小さな芽(わき芽)が出てくることがあります。これらのわき芽は、そのままにしておくと親株の栄養を奪ってしまうため、早めに取り除くようにしましょう。取り除いたわき芽は、サラダなどにして美味しく食べられます。また、古くなった下葉や、黄色く変色した葉も、病気の原因となる可能性があるため、定期的に摘み取るようにしましょう。わき芽や下葉をこまめに取り除くことで、株全体の風通しが良くなり、病害虫の予防にもつながります。

軟白

【菜園・プランター栽培共通】
お店で売られているような白いセロリを育てたい場合は、「軟白」という作業を行います。これは、セロリの茎に光を当てないようにすることで、茎の色を白くし、柔らかくする方法です。
具体的には、収穫の3週間ほど前から、セロリの株の周りを厚紙や段ボールなどで囲い、日光を遮ります。こうすることで、茎が白く伸び、柔らかい食感のセロリになります。
ただし、軟白は必須の作業ではありません。軟白を行うと茎が柔らかくなりますが、行わない場合は葉が大きく育ち、香り高いセロリになります。軟白しないセロリは、栄養価も高い傾向があります。お好みに合わせて、軟白するかどうかを決めると良いでしょう。

収穫と利用

【菜園・プランター栽培共通】
セロリの収穫に適した時期は、おおよそ10月から12月にかけてです。株の高さが20~40cm程度に成長したか、または茎の最初の節が20cmを超えたあたりが目安となります。収穫の方法は、株ごと根元から引き抜いてまとめて収穫する方法と、外側の葉から必要な量だけを順に取り分けて収穫する方法があります。少しずつ収穫する方法では、長期間にわたって収穫を楽しめますが、収穫が遅れると茎の中に空洞ができたり、硬くなってしまうことがあるので、収穫時期を逃さないように注意が必要です。
一般的にセロリは茎を食用とすることが多いですが、実は葉の部分には茎よりも豊富な栄養が含まれています。特有の香りを活かして、スープの風味づけや、かき揚げの材料、薬味などとして、葉も無駄にせず色々な料理に活用してみましょう。

病気

セロリは涼しい気候を好むため、気温が25℃を超えるような環境下では株が弱り、病気が発生しやすくなります。特に注意すべき病気は軟腐病です。軟腐病は細菌によって引き起こされる病気で、高温多湿の時期に発生しやすくなります。特に梅雨明けから真夏にかけては特に注意が必要です。
軟腐病にかかると、成長点の近くの茎や株元が腐敗し、不快な臭いを放つようになり、不快な臭いを発します。発症を確認したら、病気が周囲に広がらないように、速やかにその株を抜き取り、周辺の土壌ごと処分してください。軟腐病の予防策は以下の通りです。

  • 連作を避ける(同じ種類の野菜を同じ場所に続けて植えない)
  • 水はけの良い状態を保つ
  • 常に湿った状態にならないように管理する
  • 害虫からセロリを守る(害虫による食害で植物に傷がついた箇所から病原菌が侵入しやすくなるため)

害虫

セロリの栽培において特に注意すべき害虫は、アブラムシとキアゲハです。
アブラムシは、3月頃から発生しやすくなる体長2~4mmほどの小さな虫で、繁殖力が非常に高く、一度発生すると茎や葉に大量に発生することがあります。アブラムシはセロリの汁を吸って株を弱らせるだけでなく、ウイルス性の病気を媒介することもあります。見た目にも良くないため、発生初期に見つけ次第、水で洗い流したり、手で払い落としたりして駆除しましょう。
キアゲハはアゲハチョウ科の昆虫で、春から秋にかけて発生しやすく、主に幼虫がセリ科の植物を好んで食べます。幼虫が小さい頃は黒色に白い模様があるため見つけにくいですが、成長すると体長5~7cmほどの大きさになり、黒と黄緑色の縞模様にオレンジ色の斑点が混ざった派手な見た目になるため、驚くかもしれません。キアゲハの幼虫はセロリの新芽や葉を好み、大きくなると一晩で葉に穴を開けてしまうほど食害が拡大することもあるので注意が必要です。定期的に葉の裏表をチェックして、葉に穴が開いていないか確認しましょう。見つけたら、捕まえて駆除します。成虫は花の蜜を餌とするため、セロリの近くに花を咲かせる植物を植えないことも、キアゲハの飛来を防ぐ対策となります。

まとめ

セロリは、独特の香りが肉や魚の臭みを消したり、スープに風味を加えたりするのに役立ち、食欲を増進させる効果も期待できる、イタリア料理には欠かせない魅力的な野菜です。冷涼な気候と適度な湿り気を好むため、特に25℃を超えるような環境では株が弱りやすいため、夏の温度管理や水やり、風通しには注意が必要ですが、家庭菜園でも十分に栽培を楽しむことができます。この情報を参考に、ご自宅の庭やプランターでセロリを育て、旬の時期に収穫した新鮮なセロリの豊かな香りと味をぜひ体験してみてください。


セロリの自家栽培は手軽にできる?

セロリは種から育てると、苗が育つまでに時間がかかり、その間、適切な温度と湿度を保つのが難しいとされています。そのため、種から完全に自分の手で育てるのは、少しハードルが高いかもしれません。家庭菜園で気軽にセロリを育てたい場合は、園芸店などで元気な苗を購入して育てるのがおすすめです。

セロリの「軟白栽培」ってどんなもの?

軟白栽培とは、セロリの茎に日光を当てずに育てることで、茎を白く、そして柔らかくする方法です。収穫の3週間ほど前から、株の周りを厚紙などで覆って光を遮断すると、葉柄が白く伸びます。軟白栽培をしない場合と比べると、茎が長く、ソフトな食感になります。一方、軟白しないセロリは、香りが強く、ビタミンなどの栄養も豊富です。食感や香りの好みによって、栽培方法を選ぶと良いでしょう。

セロリの葉っぱも食べられるの?

もちろん、セロリは主に茎を食べますが、葉も美味しく食べられます。実は、葉の方が茎よりも栄養が豊富だと言われています。独特の香りを活かして、スープの風味づけや、かき揚げの具材、薬味など、色々な料理に使ってみてください。

セロリを育てる上で、病害虫対策で気を付けることは?

セロリは涼しい気候を好むため、25℃以上の暑い環境では病気になりやすくなります。特に注意したいのが、細菌性の軟腐病です。梅雨明けから夏にかけて発生しやすいので、水はけと風通しを良くし、常に湿った状態を避けることが大切です。また、害虫による食害を防ぐことで、病原菌の侵入も予防できます。アブラムシやキアゲハには特に注意し、発生初期に手で取り除くか、卵や幼虫を見つけ次第、捕殺するなど対策を行いましょう。

プランターでセロリを育てる秘訣とは?

プランター栽培でセロリを成功させるには、鉢のサイズが重要です。8号から10号の鉢には1株、標準的なプランターであれば2株から3株を目安に植えましょう。土は市販の野菜用培養土を使用し、鉢底にはネットと石を敷いて水はけを良くすることが大切です。水やりは、土の表面が乾いたタイミングで、鉢底から水が流れ出るくらいたっぷりと与えてください。ただし、常に土が湿った状態だと根腐れの原因になるため、水切れには注意しながらも、過湿にならないように気をつけましょう。夏場は、株元に敷きわらを敷くと乾燥を防ぐ効果があります。日当たりの良い場所で育てつつ、真夏の強い日差しは避け、半日陰で管理するのが理想的です。

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