生クリーム35パーセント

生クリーム35%は、その絶妙な乳脂肪分が織りなす、濃厚ながらも軽やかな風味が魅力です。デザートのデコレーションにはもちろん、料理のコク出しやソースのベースとしても幅広く活躍します。この記事では、生クリーム35%の持つポテンシャルを最大限に引き出すための活用法を、具体的なレシピやテクニックと共にご紹介します。毎日の食卓から特別な日のご馳走まで、生クリーム35%があなたの料理をさらに豊かに彩るヒントが見つかるはずです。

35%と45%、パーセンテージの違いが意味するもの

生クリームのパッケージによく表示されている35%や45%といったパーセンテージ。数字が小さい方がさっぱり、大きい方が濃厚というのは多くの方がご存知でしょう。しかし、それ以外にどのような違いがあるのでしょうか?お菓子作りの際、どのパーセンテージを選ぶべきか迷うこともあるかと思います。ここでは、それぞれの違いを詳しく比較してみましょう。

パーセンテージが示す意味とは?

生クリームの表示にあるパーセントは、その中に含まれる乳脂肪の割合を示しています。牛乳を分離し、水分を減らして脂肪分を凝縮させたものが生クリームです。お菓子作りには乳脂肪分35%から50%程度のものが用いられ、市販品では35%、36%、45%、47%といった数値のものが一般的です。乳脂肪分が35%程度の生クリームは、脂肪球が比較的少なく、軽やかな食感が特徴です。空気を抱き込みやすいため、ふんわりとした仕上がりになりますが、泡立てるのには少し時間がかかります。一方、乳脂肪分が45%前後の生クリームは、脂肪球が豊富で、泡立てやすく濃厚な味わいです。コクがあり、リッチな風味を楽しめます。

泡立つ時間の差

生クリームの乳脂肪分の違いで、泡立てる速度にどれほどの差が出るのか、実際に検証してみました。乳脂肪分35%と45%の生クリームをそれぞれ100cc用意し、砂糖7gを加えて氷水で冷やしながら泡立てます。まずはハンドミキサーの低速で1分30秒泡立てた状態を比較しました。35%は、少しとろみが出始めたものの、まだ十分に泡立っておらず、水っぽさが残っています。一方、45%は既に9分立て以上の状態になり、ボソボソと分離しそうなほど固くなっています。45%の生クリームは、あっという間に固まるため、ハンドミキサーではなく手で泡立てる方が、泡立て過ぎを防ぐのに有効でしょう。次に、絞り出しに適した8分立ての状態にする時間を計ってみました。35%はハンドミキサー低速で3分、45%は手で2分(1秒間に4~5回程度かき混ぜる速さ)で8分立てになりました。35%の生クリームは8分立てでも柔らかく仕上がります。この柔らかさが35%の特徴であり、これ以上固くしようとすると分離してしまいます。

デコレーション時の形状保持力

35%の乳脂肪分のクリームは、生地に浸透していくのがわかりました。一方、45%のクリームは生地に染み込まず、厚みを持たせて塗ることができました。絞り出し袋で試してみると、35%のクリームは、形が崩れてしまい、きれいな絞り模様になりませんでした。対して、45%のクリームは、絞り出した形をしっかりと保ち、線もはっきりと表現できました。

レシピ通りのものを使う

レシピでパーセンテージ指定がある場合、手元にある最も近い数値のものを使いましょう。例えば、37%と指定されていても、35%のもので代用可能です。近いパーセンテージであれば問題ありません。

自分の好みの味で選ぶ

デザート作りにおいて、ムース、ババロア、プリン、ガナッシュ、生チョコレートなどは、脂肪分35%程度の乳製品を使用すると、軽やかな味わいに仕上がります。一方、より濃厚なコクを求める場合は、脂肪分45%前後のものを選ぶと良いでしょう。どちらが良いかは個人の好みに左右されるため、一概には断定できません。チーズケーキやガトーショコラについても同様で、お好みに合わせて乳製品を選ぶのがおすすめです。

ホイップして使う場合

生クリームの脂肪分は、仕上がりの形状を大きく左右します。35%程度の脂肪分であれば、軽やかな質感で、シフォンケーキやガトーショコラにふんわりと添えるのに最適でしょう。しかし、デコレーションケーキのようにしっかりとした形状が求められる場合には、脂肪分が高いものが向いています。ただし、45%を超えるものは泡立てるのが難しく、扱いを誤るとボソボソになってしまうため、注意が必要です。理想を言えば40%程度のものが一番扱いやすいのですが、ない場合は、35%と45%のものを混ぜて調整するという方法もあります。【※補足】熟練した方であれば35%の生クリームでも美しいデコレーションが可能ですが、お菓子作り初心者の方は苦戦することも多いでしょう。35%生クリームでの失敗は、泡立て不足、作業時間の長さによるダレ、室温の高さなどが主な原因として考えられます。

まとめ

意外と知らない生クリームの脂肪分による違い。脂肪分の少ないものを選んでしまい、デコレーションが上手くいかなかったり、逆に脂肪分の高いものでボソボソになってしまったりと、失敗する事もあります。 味の違いはもちろん、泡立てる時間やデコレーションのしやすさも変わってくるので、これらを考慮して生クリームを選ぶと、お菓子作りの失敗が少なくなるはずです。ぜひ参考にしてみてください!

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