夏 の 和菓子
真夏の暑さを乗り切るには、さっぱりとした味わいの和菓子が最適です。夏ならではの季節感あふれる素材を使った和菓子は、暑さで疲れた体を癒してくれる上品な味わいが魅力です。清涼感溢れる水菓子や、あっさりとした求肥なおまんじゅうなど、夏の和菓子にはさまざまな種類があり、一つひとつに季節の移り変わりを感じさせてくれます。
和菓子についてまずは知ってみよう!
和菓子は日本の伝統と四季を映し出す魅力的な菓子です。長い歴史の中で、素材や製法、形状に工夫を重ね、現代でも進化を続けています。
和菓子には、水分量によって干菓子、半生菓子、生菓子の3つの種類があります。干菓子は水分量が10%以下で日持ちが良く、落雁やボーロなどが代表的です。半生菓子は10~30%の水分量で、贈答用に適した石衣や最中などがあります。生菓子は30%以上の水分を含み、おはぎや羊羹など旬の素材を生かした味わいが楽しめます。
このように種類豊富な和菓子は、四季折々の素材と風情を感じさせてくれます。上品な佇まいと繊細な味わいに加え、時代に合わせた革新も魅力です。日本文化の粋を味わえる和菓子は、季節を楽しむ良き友となるでしょう。
代表的な夏の和菓子7選
水まんじゅう
夏になると葛を使ったお菓子が多く作られますが、水まんじゅうもそのひとつです。透明感のある質感が涼しげで、つるんとした喉ごしと弾力を楽しめます。全国的に販売されていますが、発祥は岐阜県大垣市で、その豊かな地下水が作り出す特産品です。葛はでんぷん質のため、冷やすと固くなりやすく、水まんじゅうは常温でいただきます。
若鮎
5月末から8月にかけて、鮎の旬の時期に合わせて作られる和菓子です。カステラ生地に求肥や餡を包み、鮎の顔や尾びれを模した焼き印が特徴です。岡山県発祥の「調布」というお菓子が原型とされています。稚鮎、登り鮎、かつら鮎などの名称でも呼ばれ、店によって異なる表情や形を楽しめます。
水羊羹
練り羊羹よりも寒天の量を減らし、水分を多めにした水羊羹。甘さ控えめでさっぱりとした味わいが夏にぴったりです。砂糖が少ない分傷みやすく、もともとは冬に作られていましたが、冷蔵庫の普及により夏にも楽しまれるようになりました。
葛きり
葛粉を加熱して固め、麺状に切ったものが葛きりです。よく冷やして黒蜜をかけて食べるのが定番です。つるつるとした触感と喉ごしが夏に最適です。奈良県・吉野地方が上質な葛の産地として有名ですが、現在は生産量が少なく希少です。古くから食用や薬用に用いられた葛には発汗作用があり、この時期に取り入れたいですね。
水無月
京都発祥のお菓子で、夏越の祓(なごしのはらえ)が行われる6月30日に、一年の無病息災を祈って食べる習慣があります。三角のういろうは氷を表し、小豆の赤色には魔除けの意味が込められています。昔、貴族は氷で邪気祓いをしていましたが、貴重な氷が手に入らない庶民が氷を模して作ったのが始まりです。
練り切り
練り切りは白あんや芋を原料とし、お祝いごとやお茶席で楽しまれる格式の高い上生菓子に分類されます。季節ごとのモチーフを繊細に表現するのが魅力で、この時期は朝顔、撫子、つばめなどの夏を代表する植物のモチーフが人気です。
夏に和菓子を購入する際の注意点
夏の暑さと湿気は、和菓子の品質を損なう大敵です。生クリームや卵を使った和菓子は、高温多湿に弱く、夏場は賞味期限が短くなってしまいます。お店で購入する際は、冷蔵庫や冷蔵ケースから取り出されているかを確認しましょう。持ち帰り時も保冷剤を活用し、涼しい状態を保つよう心がけましょう。
水分が多い生菓子類はカビの発生にも注意が必要です。夏場は特に要注意で、購入後は冷蔵庫で保管するのがベストです。密閉した容器に入れれば、乾燥を防ぐこともできます。
また、和菓子には砂糖が多く使われているため、高温になるとベタつきやすくなります。包装紙が汚れる可能性もあるので、取り扱いには十分気をつけましょう。夏の和菓子を美味しく味わうためには、購入から保存まで細心の注意を払う必要があります。
まとめ
暑さを乗り切るためには、食の面でもさまざまな工夫が必要不可欠です。そこで、夏ならではの季節感あふれる和菓子が最適な選択肢と言えるでしょう。すっきりとした上品な味わいが体を癒し、清涼感あふれる水菓子や求肥なおまんじゅうなどから、夏の移ろいゆく季節を感じ取ることができます。多彩な味わいと風情を備えた和菓子は、真夏のひと時を上質に彩ってくれるに違いありません。