みかん と は

柑橘類の代表的な果物で、日本の冬を象徴する人気の食べ物。小型で丸い形状、オレンジ色の果皮、酸味と甘みのバランスの取れた味わいが特徴。ビタミンCが豊富で、手軽に皮をむいて食べられることから、幅広い年齢層に親しまれています。今回はみかんについて紹介していきます。


 

主なみかんの品種・名称まとめ!特徴を確認しよう

みかんとは、皮がむきやすい小型の柑橘類の総称ですが、日本において「みかん」といえば、一般的に「温州みかん」のことを指します。

日本では、この温州みかんをはじめ、約80種類の柑橘類が生産されていますが、世界的にはおよそ1,000種類もの柑橘類の仲間が存在するといわれています。

この記事では、多くあるみかんの種類の中から主な品種をピックアップし、その特徴や味わいを詳しく解説していきます。

みかん(柑橘類)の人気種・品種20選

では早速、主要なみかんの品種について見てみましょう。知っているものから初めて聞くものまで、どのような種類のみかんがあるか確認してみてくださいね。

温州みかん

私たちが普段「みかん」と呼んでいる柑橘類が、この温州みかんです。温州みかんの特徴は皮がむきやすく、食べやすいことにあります。主に和歌山県や愛媛県、静岡県などで生産されています。

温州みかんは収穫時期や栽培方法によって異なり、さまざまな品種が存在します。一般的な旬は冬ですが、「ハウスみかん」の旬は春から夏です。

伊予柑(イヨカン)

この柑橘は、山口県で発見され、愛媛県(伊予の国)で広く栽培されるようになったため、この名前が付けられました。

皮は厚めですが手で簡単にむけ、ジューシーで甘いのが特徴です。12月下旬頃から市場に出回り、1月から3月にかけてが旬のピークとなります。

清見(せいけん)

オレンジと温州みかんの交配種です。果汁が豊富で、甘みと酸味のバランスが絶妙な味わいが特徴です。皮はオレンジに似ていて、手では少しむきにくいので、ナイフでカットするのがおすすめです。

主な産地は和歌山県や愛媛県で、2月から4月頃に出回ります。

土佐の文旦(ぶんたん)

東南アジア原産の「文旦」は、見た目や果肉の味わいがグレープフルーツにとても似ています。その特徴は非常に大きなことです。日本でも多くの種類が栽培されており、特に有名なのが高知県の特産として知られる土佐文旦です。

1個あたり400~600g程度で、皮が非常に厚くむきづらいですが、食べごたえは抜群です。ザクザクとした食感と甘み、そしてほろ苦さが癖になります。2月から1月にかけて収穫され、約1ヶ月間熟成させた後、2月から3月にかけて市場に出回ります。

不知火(しらぬい)

「不知火」は、清見とぽんかんを掛け合わせた品種で、外皮がゴツゴツしており、ヘタ部分に突起があるのが特徴的な柑橘類です。皮は手で簡単にむくことができ、とても甘くてジューシーです。熊本県や愛媛県が主な生産地で、2月から4月頃にかけて市場に多く出回ります。

不知火は、一般的に「デコポン」として知られることもありますが、デコポンは熊本県果実農業協同組合連合会(JA熊本果実連)の登録商標です。この名称で出荷するためには、さまざまな基準を満たす必要があります。

ぽんかん

インド原産でアジア各地で栽培されていますが、日本でも愛媛県や鹿児島県、高知県などで多く生産されています。ヘタ部分がやや突き出ている一方で、お尻側がへこんでいるのが外観の特徴です。不知火の親としても知られています。

ぽんかんは酸味が少なく、濃厚な甘さが特徴で手で簡単にむける品種です。追熟が必要な果物であるため、11月から12月に収穫し約1ヶ月間貯蔵した後、1月から2月にかけて市場に出回ります。

河内晩柑(かわちばんかん)

「和製グレープフルーツ」という別名で知られる柑橘です。その名は熊本県の河内町で発見されたことに由来します。外皮と果袋は厚めですが、果肉はみずみずしくやわらかなのが特徴です。収穫時期が4月から7月と長いので、時期によって異なる味わいを楽しめます。

河内晩柑は、産地によって「ジューシーオレンジ(熊本県)」や「愛南ゴールド(愛媛県)」など、異なる名称で呼ばれています。

日向夏(ひゅうがなつ)

主な生産地は宮崎県ですが、高知県では「土佐小夏」や「小夏みかん」、愛媛県や静岡県では「ニューサマーオレンジ」という名称で生産されています。

日向夏の特徴は外皮の内側の白い部分を残して食べること。この部分が甘く、果肉のさわやかさと絶妙な相性です。日向夏は4月~5月頃に市場に多く出回ります。

八朔(ハッサク)

広島県のお寺で発見されたとされる柑橘がこちらです。お寺の住職が「八朔の頃(旧暦の8月1日)」には食べられると言ったことが、名前の由来とされています。

固い外皮はナイフでカットし、中の袋は取り除いて食べるのがおすすめです。果肉はシャキシャキとした食感があり、甘さ、酸味、苦みのバランスが良いのが特徴です。和歌山県で多く生産され、食べ頃は「八朔の頃」ではまだ早く、1月中旬頃から4月頃です。

甘夏みかん

甘夏の正式名称は「川野夏橙(かわのなつだいだい)」です。夏みかんから生まれたこの品種は、シャキシャキとした食感と、夏みかんよりもやわらかな酸味とさわやかな甘さが特徴です。

主な産地は熊本県、鹿児島県、愛媛県などで、旬の時期は2月頃から6月頃までと長い期間楽しめます。

天草諸島(あまくさしょとう)

天草は、清見と温州みかんの品種「興津早生(おきつわせ)みかん」を掛け合わせ、さらに「ページオレンジ」という品種を交配したものです。

濃いオレンジ色の外皮を持ち、みずみずしい果肉と濃い甘さ、香りの良さが特徴です。皮が薄い割にはむきづらいため、スマイルカットにして食べるのがおすすめです。大分県や長崎県、愛媛県などで多く栽培されており、12月下旬から2月頃に旬を迎えます。

せとか

清見にアメリカ生まれの柑橘「アンコール」と「マーコット」が交配され、2001年に品種登録された新しい柑橘です。清見、アンコール、マーコットも温州みかんやオレンジ、マンダリンなどさまざまな柑橘が交わり、その長所を引き継いだのが「せとか」であると言えます。

その滑らかな口当たり、濃厚な味とみずみずしさ、香りの良さが特徴で絶品です。主に愛媛県で生産され、2月から3月にかけて市場に出回ります。

はるみ

清見とぽんかんを掛け合わせた品種で、むきやすさや味わいが温州みかんに似ている点が、不知火と共通しています。プチプチでプリプリしたジューシーな果肉と、高い糖度が特徴です。

はるみは静岡県で誕生しましたが、現在の主な産地は愛媛県です。また、広島県や和歌山県でも栽培されています。収穫期は2月から4月ですが、市場にはあまり出回らない貴重な柑橘として知られています。

スイートスプリング

八朔と「上田温州」を交配して誕生した柑橘類です。栽培が難しく生産量が非常に少ないため、まだ入手が困難な品種となっています。

外見は少しゴツゴツとしており、八朔に似ていますが、八朔から受け継いでいるのは食感だけと言っていいでしょう。苦味や酸味がなく、上品な甘さが際立つのが特徴です。主な産地は熊本県で、旬は1月から2月頃です。

あすみ

2014年に登録された新しい品種です。スイートスプリングとオレンジを交配したものに、さらに「はるみ」を掛け合わせて誕生し、果汁の豊富さとプチプチした食感が特徴の柑橘です。

外観は温州みかんに似ており、中の袋もそのまま食べられますが、外皮は薄くて少しむきにくいかもしれません。旬は1月下旬から2月上旬で、まだ市場にあまり出回らないため希少価値の高い柑橘です。

せとみ

不知火やはるみと同様に、清見にぽんかんを掛け合わせた山口県のオリジナル品種です。温州みかんより少し大きく、糖度が高くて、ほどよい酸味とプチプチとした食感が特徴です。

山口県では、せとみの中でも特定の糖度や酸度の基準を満たしたものを「ゆめほっぺ」というブランド名で出荷しています。市場に出回るのは2月下旬から4月頃です。

はるか

日向夏から自然交雑により生まれた品種で、主な生産地は愛媛県や広島県です。外皮の色はレモンに似ていますが、酸味が少なく、さわやかな甘さとプリッとした食感が特徴です。お尻側には環状のへこみが見受けられます。

半分にカットしてスプーンですくうか、ナイフで切り込みを入れてから手でむくと食べやすいです。2月から3月にかけて市場に出回ります。

西之香(にしのこう)

清見とオレンジを掛け合わせた品種です。オレンジのような香りや風味があり、上品な甘さを持つ柑橘ですが、その最大の特徴は何といっても溢れんばかりの豊富な果汁です。内部の袋も薄いため、そのまま食べることができます。

外皮は手でも剥けますが、剥きにくい場合は、スマイルカットや半分にカットしてスプーンですくって食べるのがおすすめです。主に広島県で生産されており、12月下旬から1月上旬が旬ですが、生産量が少ないため、なかなか手に入りません。

甘平 (かんぺい)

西之香とぽんかんを交配して生まれた新しい柑橘の品種です。愛媛県のオリジナル品種であり、他の地域では栽培が許可されていません。

甘平の特徴はシャキッとした食感と高い糖度。その甘さはとろけるような濃厚な「せとか」にも負けません。皮は手で簡単に剥け、薄皮もそのまま食べることができるため、非常に食べやすいです。2月ごろが旬の時期です。

はれひめオレンジ

清見とオレンジを掛け合わせたものに、温州みかん「宮川早生(みやがわせ)」を交配した品種です。外皮はオレンジに似ていて手でむきにくそうですが、実際は簡単にむけて薄皮も食べられます。

糖度はそれほど高くないものの、酸味が少なく上品な甘さを楽しめます。主な産地は愛媛県で、旬は12月中旬から1月下旬までです。

起源と広まり

インドの東北部、特にアッサムの東南部で生まれたインド野生ミカンが、寛皮性ミカン類の祖先とされている。このミカン類は原生地から東進し、東南アジア全域、中国、日本に分布を広げ、さまざまな品種が分化・発達した。特に中国南部では、多様な品種群が発達したと考えられている。中国からヨーロッパに伝わったのは19世紀初期であり、地中海西部の沿岸諸国で品種が分化・発達し、クレメンティンなどの二次的原生地となった。19世紀中期から後期にかけて、ヨーロッパと中国からアメリカのフロリダ半島にポンカン、ダンシータンゼリンなどが伝わった。オレンジやレモンに比べると、世界各地への伝播は遅かったが、現在ではウンシュウミカンやポンカンなどのミカン類が世界中で栽培されている。日本には古くからタチバナが野生しており、キシュウミカンも江戸時代以前のかなり古い時代に中国から伝わったとされている。ウンシュウミカンは約400〜500年前に中国のミカン類の種子から鹿児島県で生まれた優良品種である。

形態

ミカンの樹形は一般に半球形であり、樹高は3~5mに達します。他の柑橘類と比べて、枝は細く、葉も小さめです。通常、トゲはありません。翼葉もほとんどが無く、あっても小さいです。花は白色の5弁花で、中型から小型の大きさで、5月に開花します。果実は一般に小型の扁球形であり、ウンシュウミカンが最も大きな果実の部類に入ります。果皮は薄く、剥きやすいです。果皮と果肉の色は橙色を中心に変異があり、熟成期も大きく異なることがあります。果肉は柔らかく、多汁で、苦みはありません。酸の主成分はクエン酸であり、濃度は1%以下から5~6%のものまで様々です。種子は小型で丸みがあり、多胚性と単胚性のものが存在し、一般に緑色の胚を持ちます。柑橘類の中では耐寒性が強く、かいよう病やトリステザウイルス病に対しても強いです。

民俗

秋になるとかんきつ類は黄色く輝く果実をつけ、冬でも緑を保つ常緑樹です。古くからこの木は長寿を祝福する神聖なものとされ、その果実は太陽や霊魂の象徴とみなされてきました。沖縄の八重山では、かんきつ類の枝が魔よけとして祭事に使われたそうです。また、正月には鏡餅の上にかんきつ類の実を供えたり、餅花と一緒に木にならせる風習があります。一部の地方では、若木や嫁たたき棒に実を結びつけ、小正月に成木責めを行うところもあります。上棟式や小正月には、餅やかんきつ類の実をまいて厄払いをする風習もあります。鍛冶屋では11月8日の吹子祭で火を象徴するかんきつ類の実をまき、それを拾って食べると病気にならないと言われています。一方で、かんきつ類の実を焼いて食べることや、皮や種子を火にくべることは忌まれ、根もとから切ったり接木すると不吉とされる俗信もあります。このようにかんきつ類は神聖視されていたのです。さらに、双子のかんきつ類を食べると双子が生まれるとか、妊婦が食べるべきでないという伝承もあります。また、かんきつ類の皮を風呂に入れたり煎じて飲むと諸病の薬になるとも言われています。島根県出雲市、簸川郡には「かんきつ吸い」という子どもの遊びがあり、一時期は栽培量が少なく駄菓子屋で細々と売られていたこともありました。

甘味の種類

「とにかく甘いみかんが食べたい!」という方は、以下の種類のみかんを選んでみましょう。

・温州みかん(ハウスみかん)・あすみ・甘平・せとか・不知火

これらのみかんの糖度は13~14度程度です。一般的な温州みかんの糖度は10~11度程度とされているので、13度以上であれば非常に甘い種類のみかんといえますね。

すっきりとした風味のバリエーション

甘いみかんもおいしいですが、さっぱりとした風味を好まれる方もいるでしょう。そのような方には、以下のみかんがおすすめです。

・甘夏・はっさく・文旦

これらのみかんは温州みかんと同じくらいの糖度ですが、酸味もありさわやかな風味が楽しめます。酸味が強いだけでなく、甘みとのバランスが良いからこそ美味しいと感じられるのです。

簡単にむける種類

手軽に食べたいみかんは、味だけでなく皮のむきやすさも重要です。皮がむきやすいみかんの種類は以下の通りです。

・温州みかん・はるみ・はれひめ・甘平・不知火

皮がむきやすいということは、ナイフやまな板などの調理器具を使わずに済むため洗い物の手間が省けるほか、手も汚れずに済みます。

多彩なみかんを堪能しよう

温州みかんなど、みかんには本当に多くの種類があります。産地ではより美味しく食べやすいみかんを作るため、日々研究が進められています。新しい品種はまだ手に入りにくいものもありますが、ぜひいろいろな種類を食べ比べて、その美味しさを確かめてみてください。

みかん