日々の食卓に彩りを加える柑橘類。これらのフルーツは、ただ美味しいだけでなく、ビタミンCや様々な栄養素を豊富に含んでいるため、健康にも大変役立ちます。しかし、柑橘類には多くの種類があり、それぞれに独特の味わいや特徴があります。このガイドでは、代表的な柑橘類の種類とその特徴について詳しくご紹介します。これを読めば、自信を持って次のお買い物で新しい柑橘類を選ぶことができるでしょう。
柑橘類の種類とその歴史
柑橘類は約3000万年前にはインド東北部に存在し、約4200年前には中国で栽培されていたという記録があります。
現在私たちが楽しむ柑橘類には、「ポンカン」や「清見」から生まれた品種が豊富です。ポンカンはインド原産で、明治時代に日本に導入されました。清見は「宮川早生(温州ミカン)」と「トロビタオレンジ」を交配し、1949年(昭和24年)に作られた品種です。1972年(昭和47年)には「清見」と「ポンカン(中野3号)」から「デコポン(不知火)」が誕生し、1999年(平成11年)には「清見」×「ポンカン(F2432)」から「はるみ」が誕生しています。さらに2001年(平成13年)には「せとか」が清見の孫として品種登録されました。「いよかん」は明治時代に山口県で見つかったものです。
柑橘類の種類について
柑橘類は、ミカン科ミカン亜科のカンキツ属、キンカン属、カラタチ属に分類される植物を指します。この他にもミカン亜科には33の属があります。
食用とされる柑橘類は主にカンキツ属やキンカン属の一部に限られています。みかんやオレンジ、グレープフルーツを生で食べることもあれば、果汁をジュースとして楽しんだり、レモンやユズ、カボスなどを薬味として活用することも多いです。
東南アジア、特にインドのアッサム地方が柑橘類の原産地とされ、現在は様々な種類が世界各地で栽培されています。
柑橘類の栄養とその効能
柑橘類は私たちの健康に多くのメリットをもたらす栄養素が豊富に含まれています。いよかん、タンゴール、タンゼロ、夏みかん、はっさく、日向夏、ブンタン、ぽんかんなど、それぞれの柑橘類がもつ栄養成分には独自の特徴があり、私たちの体に有益な効果を期待できます。 これらの柑橘類の主要な栄養素の一つがカリウムです。カリウムはナトリウムの排出を促し、高血圧の予防やむくみの軽減に役立つことが知られています。例えば、いよかんや夏みかんにはカリウムが190mg含まれており、血圧を正常に保つサポートが期待できます。これにより、高血圧のリスクを減少させるだけでなく、心臓や血管の健康維持にも貢献します。 さらに、柑橘類にはビタミンCも豊富に含まれており、風邪や感染症の予防、美容効果、抗ストレス作用、老化抑制など、さまざまな健康効果が期待されます。例えば、タンゴールには53mgのビタミンCが含まれており、免疫力を高める助けとなります。また、ビタミンCは抗酸化作用が強く、肌の美しさを保ち、老化の進行を遅らせる効果もあります。 加えて、「βクリプトキサンチン」という成分が特に注目されます。このカロテノイドは抗酸化作用があり、発がん抑制効果が期待されています。特にタンゼロ(1300mcg)、タンゴール(880mcg)、ぽんかん(1100mcg)には多くのβクリプトキサンチンが含まれており、がん予防の面でも大きな役割を果たします。 これらの栄養素を効果的に取り入れることで、高血圧の予防や風邪の防止、老化の抑制、さらにはがん予防など、多岐にわたる健康効果を享受できます。柑橘類を日常的に摂取することで、健康的で活力に満ちた生活を送るサポートになるでしょう。
1.柑橘類は三つの要素で成り立ち、カンキツ属は七つの種類に分類される
ミカン科ミカン亜科ミカン連に分類される果物の総称が柑橘類ですが、一般的には「柑橘系」と呼ばれることも多いものの、正確には「柑橘類」と言います。健康への良好な影響が広く知られているため、世界中でさまざまな種類の柑橘類が消費されています。これらは次の3つに分類されます。・カンキツ属・キンカン属・カラタチ属。交配により多くのバリエーションが生まれていますが、以下では柑橘類の種類とその特徴を詳述します。
カンキツ属
日常的に食用とされている柑橘類には様々な種類があり、主に7つのカテゴリーに分類されます。これらは、ミカン類、オレンジ類、グレープフルーツ類、タンゴール類、タンゼロ類、香酸柑橘類、ブンタン類、雑柑類です。それぞれの特徴や該当する品種の一部を順番にご紹介いたします。
柑橘類のバラエティ
柑橘類の一種であるインド原産の果物は、明治時代に日本に持ち込まれました。「高しょう系」と呼ばれる果実の形が腰高なものと、扁平な形をした「低しょう系」に分類されます。具体的には、「高しょう系」には「吉田ポンカン」や「今津ポンカン」があり、その重さは150~180gほどです。一方、「低しょう系」には「太田ポンカン」や「森田ポンカン」が含まれ、重さは100~150g程度。これらは、豊かな甘味と芳香を持ち、ジューシーで、皮を簡単にむくことができ、袋ごと食べられるのが特長です。12月から2月頃に市場に出回ります。
ミカン類
柑橘類の中でも日本人にとって親しみのある種類といえばミカンです。特に、和歌山県や愛媛県、静岡県が有名な産地として知られています。「温州みかん」が代表的な品種で、その収穫量の多さから、一般にみかんといえばこの品種を指すことが多いです。「温州」は中国の地名ですが、原産地は鹿児島県の長島です。温州みかんは熟す時期により「極早生みかん」、「早生みかん」、「中生みかん」、「晩生みかん」に分かれます。温州みかん以外にも、紀州みかん、ポンカン、カーブチー、愛愛柑、太田ぽんかん、カラマンダリン、かんきつ中間本農6号、西南のひかり、デイジーマンダリンなど多様な品種があります。
オレンジ類
オレンジは世界中で親しまれ、日本国内でも広島県や静岡県で栽培されていますが、ほとんどが輸入オレンジです。オレンジは大きく2種類に分けられ、一つは甘味が強く酸味が少ない「スイートオレンジ」で、そのまま食べられることが多いです。もう一つは酸味が強い「サワーオレンジ」で、お酢やジャムの加工品に利用されます。みかんとは異なり、オレンジは皮が厚く剥きにくいです。スイートオレンジは世界の柑橘生産の7割を占め、代表的にはバレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラムオレンジがあります。
グレープフルーツ類
柑橘類の中で、酸味が際立つグレープフルーツ類がありますが、これは主に輸入品であるため、オレンジと同様に一年中市場で見かけます。「グレープ」という名前は、ブドウの房のように果実が枝に密集していることに由来します。果肉の色から、ホワイト系の「マーシュ」とピンク系の「ルビー」に分類され、具体的な品種としては、ダンカン、マーシュ、オロブロンコ(スウィーティー)、スタールビー、ルビーレッド(レッドブラッシュ)などがあります。
タンゴール類
柑橘類の種類には、ミカンとオレンジの交雑種が含まれています。「tangor」という名前は、みかんを意味する「tangerine(タンジェリン)」の「tang」と、オレンジを意味する「orange」の「or」を組み合わせたものです。これらは皮が剥きやすく、甘く香り豊かなみずみずしさを持っています。
タンゼロ類
柑橘類には、果汁が豊富でみずみずしく、甘さが際立つオレンジやデコポンのような品種があります。代表的な魅力的な種類には以下があります。・セミノール・カクテルフルーツ・スイートスプリング・メロゴールド・タンジェリン・ミネオラ
香酸柑橘類
香酸という名の通り、酸味と香りが際立つ果物が特徴です。ジュースに絞ったり、お酒に加えたり、食材に添えたりと、そのまま食べるよりも加工されて利用されることが多いです。具体的には、かぼす、すだち、レモン、ライム、ゆず、へべす、シークワーサー、ジャバラなどがます。
ブンタン類
柑橘類の中でも、鮮やかな黄色い色が特徴的なブンタン類は、東南アジア原産で、大きくて厚い皮、そして分厚い白い綿を持つ独特な果物です。さわやかな風味と少ない酸味、そして豊富な果汁が魅力です。たとえば、土佐文旦、晩白柚(バンペイユ)、アンセイカン、新女王、水晶文旦、紅まどかなどがあります。特に日本国内では高知県で栽培される土佐文旦が有名です。晩白柚は中でも最大級の柑橘で、直径約25センチ、重さ2.5キロにもなります。
雑柑類
自然交雑種に属さないものを指し、多くは皮が厚く硬く、甘味と酸味が際立ち、しっかりした果肉の食感が好評です。主な品種には以下が含まれます。・夏みかん・甘夏・八朔・伊予柑・日向夏・三宝柑・河内晩柑
キンカン属
柑橘類の中でもキンカン属は中国が原産で、さまざまな品種が存在します。丸かじり可能な品種にはネイハキンカン、ナガキンカン、マルキンカンの三種類があり、ジャムにしても楽しめます。特にネイハキンカンは大きく高品質な果実で、生で味わうのに最適です。
カラタチ属
カラタチ属はカラタチのみを含み、中国の中部から北部で栽培される果物です。この果物は酸味と苦味が強いため、ほとんど食用にはされません。木の枝には長いトゲがあり、生垣として用いると、敷地内への人や動物の侵入を防ぐことができます。
2.柑橘類の斬新な種類の誕生方法
これまでに数百種類の柑橘類が存在することをお知らせしましたが、品種の増加方法について詳しく見ていきましょう。今回は、品種改良の「交雑」と、接ぎ木を使った「枝変わり」という二つの代表的な方法を紹介します。
柑橘類の種類における「交雑」を通じた改良
さまざまな柑橘類の種類を交配し、果樹試験場などで新しい品種を人工的に作り出しています。交雑により両親の特性を組み合わせて、優れた特徴を引き出すことができます。たとえば、デコポン(不知火)、せとか、甘平などが交雑による品種改良で誕生しました。
「枝変わり」を利用した柑橘類の接ぎ木増殖
接ぎ木の技術を利用して、親の持つ特性を超える優れた特性を持つ枝を増やす方法があります。果樹を育てていると、果実が大きい、早期収穫、病気耐性が向上するといった突然変異によって、元の品種の特性が一部変化し、品種改良が行われます。例として、宮川早生、上野早生、宮内伊予柑などが枝変わりで誕生しました。今後も出会ったことのない柑橘類の種類に巡り合える可能性がありますね。
柑橘類の種類:ポンカン
起源ははっきりしていないものの、ミカンとオレンジの交配種とされ、明治時代に山口県萩市で発見されました。その後、愛媛県で本格的な栽培が始まり、地名の「伊予」にちなんで名付けられました。現在では愛媛を中心に、山口や和歌山でも栽培されています。果皮は厚めながらも剥きやすく、果肉はジューシーで甘みと酸味が程よいバランスです。旬は1月から3月とされています。現在市場に出回っているいよかんの大部分は「宮内いよかん」という品種で、これを3月までしっかり熟成させたものは「弥生紅(やよいべに)」として高品質で販売されています。
柑橘類の一種、いよかん(伊予柑)
「宮川早生」と「トロビタオレンジ」を掛け合わせたこの柑橘類は、1979年に登録されました。重さは約200~250gほどで、果肉はとても柔らかく、果汁が豊富です。甘味はみかん風味で、オレンジの香りが特徴。果皮は温州みかんよりやや厚めですが、薄いじょうのう膜のおかげで果肉を袋ごと食べられます。市場に出るのは2~4月の間で、派生品種の「サマー清見(別名かがやき)」は清見よりも糖度が高く、やや黄色がかった色合いを持っています。
清見オレンジ(きよみ)
「清見」と「ポンカン(中野3号)」の交雑種であり、頭が出っ張っているのが特徴的です。重さは約230gで、見た目はころんとしているものの、甘みが強くそのまま袋ごと食べられる手軽さが人気を集めています。また、「デコポン」は「熊本果実連」が登録した商標であり、正式な品種名は「不知火(しらぬひ)」です。不知火の中で、糖度が13度以上、クエン酸が1%以下のものが「デコポン」として流通し、12月から4月にかけて店頭に並びます。
柑橘類の一種であるデコポン(不知火)
「清見」と「アンコール」を掛け合わせた「マーコット」が2001年に誕生した品種です。重さは200~270gで、収穫は2月頃に行われます。果肉は柔らかく、多汁でありながら甘味がしっかりと濃いのが特徴です。温州みかんのように袋ごと食べられるため、多くの支持を得ています。姉妹品種として「麗紅」があり、2~3月が旬です。
柑橘類の一種「せとか」
1999年(平成11年)に登録された「清見」と「ポンカン(F2432)」を組み合わせた品種です。平均200gのサイズで、果肉は柔らかく糖度は平均13度と質の良い味わいです。皮が簡単にむけ、じょうのう膜が薄いので袋ごと食べられる点が特徴です。収穫は1月頃から始まります。
柑橘類の種類、はるみ
タンカンは中国を原産とする柑橘類で、「ポンカン」と「オレンジ類」の自然交雑に由来するとされています。重さは約150gで、中国南部や台湾で多く栽培され、国内では鹿児島や沖縄などの温暖な地域で育てられています。豊富な果汁と強い甘味、かすかな酸味が特徴で、風味が豊かです。皮は少しむきにくいですが、じょうのう膜が薄く、袋ごと食べられます。旬は2月から4月頃です。
たんかん(桶柑)について
この柑橘類は具体的な起源は不明ですが、大正時代にアメリカで開発された品種で、「スイートオレンジ」とミカン類の交配種とされています。日本には昭和中頃に持ち込まれました。果実の重さは約150gで、高い糖度を持ち、濃厚な甘さとバランスの良い酸味が特徴です。果皮は薄めですが皮をむくのが少し難しく、種が多めです。国内では2~4月ごろに流通し、秋にはオーストラリアからの輸入品が市場に出回ります。国内の主要な生産地には長崎県、熊本県、佐賀県が含まれます。
マーコット: 柑橘類の一種
「キングマンダリン」と「地中海マンダリン」の交配種として1954年にカリフォルニアで誕生しました。日本には1969年頃に導入されました。果実は小さめで100~150g、濃いオレンジ色の果肉は糖度が13~15度と高く、味に深みがあります。種がやや多いものの、果皮は簡単にむけて袋ごと食べられます。出荷時期は2~4月頃です。「アンコール」という名前は「一回食べるともう一度食べたくなる」という感想に由来するそうです。主な産地は愛媛県や大分県です。
多様な柑橘類の魅力
豊かな果汁を持つセミノールは、赤褐色でなめらかな果皮が魅力の柑橘類で、「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンジェリン」を組み合わせてアメリカで生まれた品種です。1955年(昭和30年)に日本に導入され、適度な甘みと酸味が特徴。種は多めですが、温州みかんのように袋ごと食べられます。重さは150~200g程度で、4~5月がシーズン。地域によっては「サンクイーン」とも呼ばれています。
柑橘類の一種、セミノール
2kgにもなる大きな果実で「オクテシロザボン」とも呼ばれる柑橘類があり、原産はマレー半島です。昭和初期に日本に入ってきて、現在では熊本県八代市の特産品として知られています。この果実の果皮は黄色でかなり厚く、白いアルベド部分は1~2cmの厚さがあります。ブンタンと同様に、砂糖で煮た晩白柚漬けとして美味しく食べられます。果肉は柔らかく、果汁がたっぷりで、爽やかな甘さと適度な酸味が特徴です。また、その香りも良く、常温で1か月ほど持つことからも人気です。購入後はしばらく観賞用としても楽しめます。市場に出回るのは2~4月頃です。
柑橘類の一種、晩白柚(ばんぺいゆ)
江戸時代に広島で発見された柑橘類の一種、ブンタンの雑種について。甘みと酸味がほどよく、中には少し苦味を感じるものもあります。果肉はやや硬く、香りと風味は優れています。果皮は厚めですが、じょうのう膜が剥がれやすいので食べやすくなっています。サイズは300~400g程度で、1~4月頃に市場に出回ります。「八朔」という名前は旧暦の8月1日(9月頃)に由来し、この日から食べ始めたことが由来とされています。しかし、実際のところはこの時期に食べるよりも、冬まで待つ方が美味しく味わえます。
はっさく(八朔)
「夏橙(ナツダイダイ)」としても知られるこの柑橘類は、ブンタンとの雑種として江戸時代に山口県で誕生しました。明治時代から栽培されていましたが、「甘夏」や「グレープフルーツ」に押され、昭和40年代頃から生産量が減少しました。それでも現在、山口県や和歌山県で少量が生産されています。酸味が強いため、生食として市場に出回ることはほとんどなく、ゼリーやマーマレード、菓子として加工されるのが一般的です。この実は冬に生り、熟するのは4月から6月頃です。「夏みかん」という名前の由来は「夏まで実が持つ」ことや「夏になると酸味がやわらいで食べ頃になる」などの理由から来ています。
柑橘類の一種である夏みかん
「ザボン」や「ボンタン」としても知られる大型の柑橘類で、インド東部から中国南部にかけてが原産地です。香りが芳醇で、甘みと酸味のバランスが取れた上品な風味を持ちます。果重は約400gで、黄色い厚い果皮が特徴で、果肉は通常淡黄色ですが赤い果肉のものもあります。日本国内では「土佐ブンタン」がそのしっかりした歯ごたえと爽やかな食感で有名です。柔らかく多汁な「水晶ブンタン」も人気で、どちらも高知県の特産品です。収穫は10~12月ですが、酸味を和らげるために一定期間貯蔵されるため、2~5月頃に店頭で見かけます。また、白い果皮を使った「ザボン漬け(砂糖煮)」も絶品です。「ポメロ」は文旦の英名で、巨大で果肉が濃いピンク色の「チャンドラポメロ」などもあります。
文旦(ブンタン)「ニューサマーオレンジ」や「小夏みかん」「土佐小夏」などの名で知られるこの柑橘類は、1820年代に宮崎県で偶然に見つけられたものです。「ゆず」の系統と推測されていますが、正確な起源は不明です。黄色い皮はやや厚めで、白い部分を残しつつナイフでむき、カットして食されることが一般的。果肉は多くの果汁を含み、爽やかな甘酸っぱさを楽しめます。重さは120~200g程度で、旬は3~5月です。
柑橘類の一種、日向夏(ひゅうがなつ)
「夏みかん」の枝変わりであるこの柑橘類は、夏みかんよりも酸味が少なく甘みがあるのが特徴です。いくつかの種類がありますが、1935年(昭和10年)頃に大分県で発見され品種登録された「川野なつだいだい(夏橙)」が主要品種として広く栽培されています。川野夏橙の重さは300gから400g程度で、市場に並ぶのは2月から5月頃です。これ以外にも、甘夏の枝変わりである「新甘夏(サンフルーツ)」や、色鮮やかなオレンジの「紅甘夏」、甘夏と文旦を掛け合わせた「スルガエレガント」などの種類があります。
柑橘類の一種、甘夏(甘夏みかん)
「温州みかん」と「キングマンダリン」が交配され、1935年(昭和10年)にカリフォルニアで誕生しました。1955年(昭和30年)に日本に導入されたものの、生産はあまり盛んではありませんでしたが、近年増加傾向にあります。4~5月頃が旬で、豊かな甘酸っぱさが人気です。主に三重県、愛媛県、和歌山県で生産されています。
カラ(カラマンダリン)
1995年に品種登録された「清見×興津早生」と「ページ」の掛け合わせは、果皮が濃いだいだい色で、やわらかくジューシーな果肉が特徴です。甘みがたっぷりで、サイズは約200g。12月下旬から2月頃にかけて市場に出回り、主な生産地は愛媛県、大分県、沖縄県などです。
天草:多彩な味わいを持つ柑橘類の一種
1982年に品種登録された柑橘類で、親は「上田温州」と「ハッサク」から生まれました。果皮は黄色で、緑が残っていても食べられます。1個あたりの重さは約250gで、皮は少し厚めです。果汁が多く、酸味は控えめでさわやかな甘さが特徴です。収穫の旬は1~2月頃で、主な産地は熊本県、香川県、宮崎県、鹿児島県、長崎県などです。
スイートスプリング
「日向夏」の自然交雑から誕生し、1996年に品種登録されたこの柑橘類は2~3月頃に市場に出回ります。重さは約200gで、果頂部が環状にへこんでいることが多いのが特徴です(例外もあります)。果皮は黄色で厚く、じょうのう膜は少し固め。酸味が控えめで、爽やかな甘さを持っています。主要な産地は愛媛県や広島県です。
柑橘類の種類:はるか
「カラマンダリン」と「ポンカン」の交配で生まれた山口県産の柑橘です。市場に出回るのは4~5月頃で、甘味が豊かでジューシーさがあり、薄皮ごと食べられます。主な産地は山口県、愛媛県、広島県です。
南津海(なつみ)
「清見×オセオラ」と「宮川早生」から生まれた品種で、2004年に品種登録されました。豊富な果汁と控えめな酸味が特徴で、風味の良い甘さを楽しめます。重さは約200gで、そのまま食べられます。旬は12月から1月で、主に愛媛県や佐賀県で栽培されています。
柑橘類の一種「はれひめ」
「クレメンタイン(クレメンティン)」と「南柑20号」を交配して愛媛県で開発されたこの品種は、2005年(平成17年)に公式に登録されました。重さは200~250gで、手で簡単に皮をむくことが可能です。糖度が高く、じょうのうまで食べられることが特徴です。旬は12月下旬からで、愛媛県で生産されています。
まりひめオレンジ
「ゴールデンオレンジ」としても知られるこの柑橘類の品種は、明治時代に鹿児島県で発見されましたが、親の詳細は不明です。果皮は鮮やかな黄色で、重さは約70gと小ぶりです。香りが豊かで、甘さと爽やかな酸味が絶妙に調和しています。旬は3月から5月で、主な産地には神奈川県や静岡県があります。
柑橘類の一種、黄金柑
大正時代に熊本県河内町で見つかった柑橘で、ブンタン系の自然交配種。地域によっては「美生柑(みしょうかん)」や「宇和ゴールド」、「ジューシーフルーツ」とも呼ばれます。果汁がたっぷりで、果肉は柔らかく、さわやかな甘さが特徴です。その外観から「和製グレープフルーツ」とも言われますが、グレープフルーツ特有の苦みや酸味はありません。重さは250~450g程度で、3月下旬から6月頃に出回ります。
柑橘類の一種、河内晩柑(美生柑)
愛媛果試28号は、柑橘類の一種で、「南香」と「天草」が交配して作られ、2005年に品種登録されました。この柑橘は濃い紅色の果皮を持ち、大きさはおおよそ250gです。酸味が少なく、甘さが豊富なのが特徴です。皮は少しむきにくいですが、じょうのう膜が薄いため袋ごと食べることができます。旬は11月下旬から1月頃で、主に愛媛県で栽培されています。
柑橘類の一種、紅まどんな
2006年に品種登録された「アンコール」と「日向夏」の交配種で、重さは150~200gほど。香り豊かで酸味が少なく甘味が強い柑橘類です。皮は手で簡単に剥け、じょうのうごと食べられます。旬は2~3月頃で、愛媛県で栽培されています。
柑橘類の一種、ひめのつき
愛媛県が開発し、2007年に品種登録されたオリジナルの柑橘類で、「西之香」と「ポンカン」の掛け合わせによって誕生しました。温州みかんのように平たく、手で簡単に皮をむくことができ、重さは220~250gです。口当たりは強い甘さと穏やかな酸味が特徴で、果肉は柔らかく、薄皮も非常に薄く、果汁がたっぷり含まれています。収穫の時期は1月下旬から3月頃で、2016年からは最高品質のものが「愛媛Queenスプラッシュ」というブランドで販売されています。
甘平(かんぺい):柑橘類の一種
濃いオレンジ色の麗紅は、「清見×アンコール」と「マーコット」の交配によって生み出されました。2005年(平成17年)に品種登録が完了し、「せとか」とは姉妹品種であることが特徴です。甘みが強く、適度な酸味と心地よい香り、そして深みのある味わいが楽しめます。じょうのう膜が薄いため、袋ごと食べることができます。収穫期は1月中旬から3月頃までが目安で、佐賀県産は「はまさき」というブランドでも知られています。
柑橘類の種類:麗紅(れいこう)
「クレメンティン」や「クレメンチン」とも知られるこの柑橘は、甘酸っぱく香り高い特徴を持っています。外見は温州みかんに似ており、手で簡単に皮がむけ、そのまま袋ごと食べられます。その起源については、アルジェリアで誕生したという説や、長い間中国で栽培されてきたマンダリンと同一だとする説があります。日本では主にチリから輸入され、6~7月頃に店頭に並びます。生産量は限られていますが、12月~1月には国内産のクレメンタインも市場に出回ります。
柑橘類の一種、クレメンタイン
「カクテルグレープフルーツ」とも呼ばれ、「ポメロ」と「マンダリン」を親に持つ、アメリカ生まれの柑橘類です。酸味が少なく、ジューシーで甘さが程よいのが特徴です。主にカリフォルニアで栽培され、12月から2月にかけて輸入されています。
柑橘類のさまざまな種類
「ダンカングレープフルーツ」と「ダンシータンジェリン」を掛け合わせた品種で、セミノールと同じく「タンゼロ」に分類されます。頭の部分が出っ張っている「デコポン」と見た目が似ていますが、別種です。サイズは100~150gで、セミノールと同様にジューシーで香りが豊か、そして濃厚な味わいを堪能できます。果皮は濃いオレンジ色で、種は少ないです。主にカリフォルニアから輸入され、2~5月頃に市場に出回ります。
ミネオラ:柑橘類の種類
2021年におけるいよかんの主な生産地は愛媛県で、その収穫量はおよそ2万1,611トンです。続くのが佐賀県で約632トン、3位は和歌山県で約469トンの収穫量を記録しています。
出典:農林水産省統計
各地域のいよかん年間収穫量
2021年度のいよかん栽培はおよそ1,709ヘクタールで行われ、収穫高は約23,575トン、出荷数は約21,815トンに達しました。
出典:農林水産省統計
柑橘類の種類別に見た栽培面積と収穫量の推移
柑橘類は世界の10か国から輸入されており、最も多いのはアメリカからの輸入で、その量はおよそ5,912トンで、全体の40%以上を占めています。次に多いのはオーストラリアで約3,717トン、全体の20%以上を占めています。3番目はペルーの約2,677トンで、続いてトルコからは約1,457トン輸入されています。
出典:財務省統計
柑橘類の主要輸入国とその輸入量
2022年において、柑橘類は10か国に向けて輸出され、最大の輸出先は約110トンの香港です。2番目は約21.6トンのシンガポール、3番目は約4.7トンの台湾となっています。
出典:財務省統計
柑橘類の輸出先と輸出量
柑橘類は輸入と輸出が活発に行われています。2022年の輸入量は約1万4,519トンで、輸入額は約34億1,781万円でした。これは前年から輸入量が7,985トン(約35%)減少したことを示しています。一方で、輸出量は約145トン、輸出額は約1億3,125万円であり、輸出量は前年より9.9トン(約7%)増加しました。
出典:財務省統計
年度ごとの柑橘類の種類別輸出入量
柑橘類の主な生産国として、中国、ナイジェリア、イラン、コロンビア、インドが上位に挙げられます。中国は年間およそ588万5,146トンを生産し、世界の約42%を占めています。続くナイジェリアは年間約411万2,301トンで約30%、イランは年間およそ62万7,408トンで約5%のシェアを持っています。