甘美な白桃の魅力と楽しみ方

夏の訪れと共に、市場や果物店でその美しい姿を目にすることが増える白桃。その甘美な香りと口に広がるジューシーな果肉は、一度味わえば誰もが虜になることでしょう。この記事では、そんな白桃の魅力を余すところなくご紹介すると共に、より美味しく楽しむための方法やレシピもお届けします。食卓に一つ加えるだけで、日々の生活が少し贅沢になる白桃の世界を、ぜひ堪能してみてください。

白桃の持つ魅力とは?

冒頭で説明したように、桃は大きく3つに分類され、それぞれに多くの品種があります。さらに、白鳳と黄桃は白桃を基に誕生しているため、白桃は”桃のルーツ”とも言える存在です。

白桃は強い甘みと豊富な果汁、そして美しい白とピンクのグラデーションから、贈り物として非常に人気の高い品種です。上品な香りが魅力的で、完熟すると手で簡単に皮を剥けるほど柔らかく、とろける食感を楽しめるのが魅力です。桃の本質を楽しむなら、白桃がおすすめです。


白桃の魅力

「白桃」は「本白桃」として知られ、長い歴史を持つ品種です。1901年に岡山県の大久保重五郎氏が偶然発見し、その優れた品質と結実性で広まりました。親は不明ですが、「上海水蜜」の系統と考えられています。

名前が示す通り、白桃は白い果皮が特徴です。これは袋掛け栽培によって、果皮を白く成熟させる方法です。白桃の発祥地である岡山県では基本的に果皮は白ですが、地域によっては無袋栽培で日焼けさせて赤くする方法もあります。

果実の大きさは約260gで、乳白色の果肉は果汁が豊富で滑らかです。甘味の中に少し渋みがあり、上品な味わいが楽しめます。出荷のピークは8月上旬から中旬です。

また、白桃はその後の品種改良にも大きく影響を与えました。「白鳳」は「白桃×橘早生」、さらに「あかつき」は「白桃×白鳳」、そして「ゆうぞら」は「白桃×あかつき」の組み合わせで誕生しています。

白桃に含まれる栄養成分

白桃の100gあたりに含まれる主な栄養素は以下の通りです。

食物繊維が豊富で腸の健康をサポートし、カリウムによって塩分排出を助けるなど、白桃は多くの栄養に恵まれています。また、果汁が多くみずみずしいため、暑い時期の水分補給に最適です。

白桃の整腸作用

白桃には水溶性と不溶性の2種類の食物繊維が含まれており、これらはさまざまな健康効果をもたらします。水溶性の食物繊維は便を柔らかくして便通をスムーズにし、不溶性の食物繊維は便の量を増やし腸を活性化させることで、便通をサポートします。腸内環境が整うことで、体外へのコレステロールや老廃物の排出が促進され、これが動脈硬化や糖尿病の予防に寄与することが示されています。

白桃を活用した高血圧予防

白桃にはカリウムが含まれており、カリウムは体内のナトリウムバランスを調整する役割を果たします。このため、白桃を含む食事は、高血圧の予防やむくみの改善に寄与する可能性があります。ただし、白桃単独での効果を過大評価するのではなく、さまざまな果物や野菜をバランス良く摂取することが重要です。

白桃がもたらす皮膚の健康への秘訣

ナイアシン(ビタミンB3)は、粘膜や肌の健康維持に寄与し、不足すると湿疹や口内炎を引き起こすことがあります。ただし、アルコール摂取時のアセトアルデヒドの分解に関しては直接的な証拠は限られており、白桃などのフルーツとの組み合わせが二日酔い対策に効果的であるかは明確ではありません。二日酔いのメカニズムは複雑であり、ナイアシンがその解消に寄与するかどうかはさらなる研究が必要です。

厳選された白桃のおすすめ

これからは、白桃の人気品種について、その特徴や旬を詳しく探っていきます。白桃に分類される品種はそれぞれ異なる味わいや食感を持ち、個性的ですので、ぜひ興味をそそられる白桃品種を見つけてみてくださいね


加納岩の白桃

白鳳に似た味わいを楽しめる品種で、強い甘味と豊富な果汁が特徴です。果皮は黄緑色が地色で、上品なピンクがほのかにかかり、見た目も非常に美しいです。

浅間白桃の魅力

浅間白桃は赤く美しい色合いがその魅力で、形は大きく、糖度が高いことから贈答用としても評価されています。一般的に硬めですが、熟すほどに柔らかさを増し、甘さは硬い段階でも十分に楽しめるのがポイントです。

なつっこ

なつっこは、川中島白桃とあかつきを組み合わせて生まれた品種です。両者の魅力を受け継ぎ、非常に美味しいのが特徴です。果肉は緻密で締まっており、酸味はほとんどありません。

一宮の白桃

一宮白桃は果汁が豊かで、完熟すると手で簡単に皮が剥けます。果肉は適度な硬さで、しっかりとした甘さが感じられます。また、種の周りが赤く色づくのが特徴です。

白桃のあかつき

福島を代表する品種のあかつきは、白鳳と白桃を掛け合わせて生まれた、まるでサラブレッドのような桃です。ジューシーな白鳳と、しっかりした果肉の食感を持つ白桃の良さを併せ持ち、両方の魅力を堪能できます。最高品質の桃と評価されるこの品種は、低価格でも外れがないと評判で、果物選びにおいて嬉しい選択肢です。

白桃の暁星

1986年に登録された暁星の品種は、あかつきの枝変わりとして誕生しました。この品種は小玉〜中玉程度の大きさですが、甘さが際立ち、しっかりとした緻密な果肉が特徴です。

川中島の白桃

桃の王と称される川中島白桃。この品種は一玉が非常に大きく、贈答用にぴったりです。しっかりとした食感と滑らかな舌触りが特徴で、ジャムやスイーツなどに加工しても美味しく楽しめます。

さくら白桃

さくら白桃は「カリッ」とした食感が魅力です。大玉で粒が揃い、甘さと香りがしっかり堪能できます。返礼品や贈答用としても評価が高く、硬めの桃を好む方におすすめの品種です。

白桃のゆうぞら

ゆうぞらは豊かな甘みと、緻密な果肉、ジューシーさが際立ち、口に含むと滑らかな食感が楽しめます。また、生産者が限られているため、見かける機会が少ない希少な品種です。


白桃と黄桃の違いとは

果皮と果肉の色の差から主に分けられる白桃と黄桃ですが、基本的に桃は白肉種と呼ばれる白桃と、黄肉種と呼ばれる黄桃に分類されます。簡単に言えば、黄桃と白桃は品種の違いによるものです。

どちらも桃の一種ですが、品種により味や外見が異なります。その他の違いとしては、果汁が豊富でジューシーな味を楽しめるのが白桃であり、黄桃は少し固めで実が締まっているため、加工品用に適してきた経緯があります。しかし、現在では美味しい黄桃の品種も登場し、生食としても利用されています。

つまり、缶詰として使われてきたのは主に黄肉種で、ギフトやお見舞い用の果物籠、生食用として販売される多くは白肉種であると考えられます。その端正な姿とジューシーで甘い味わいから、果樹の女王とも称されることがあります。

白桃はマンゴーのような食感で人気に

白桃は、その美しいピンク色のグラデーションが魅力的な果物で、視覚的にも楽しめます。川中島白桃などの品種は、味わいも格別で濃厚です。

しかし、最近では黄桃の品種改良が進み、生食用としての人気が高まっています。特に、マンゴーのような香りと滑らかな食感の黄金桃が注目されています。

いずれにしても、桃はデリケートな果物であり、発送には慎重な対応が求められます。新しいパッケージのおかげで、熟していない状態でも適度な硬さを保てるため、輸送にも適しています。

白桃と黄桃の違いは、食感にあります。白桃はジューシーで柔らかいのに対し、黄桃はしっかりとした濃厚な味わいがあります。近年では、用途の違いも減少しています。

人気の高い黄桃は、山形でも多く栽培されるようになりました。

山形県の白桃の収穫は、あまとう(8月上旬~)、あかつき(8月中旬~)、川中島(8月下旬~)など多数です。

代表的な白桃の品種には、川中島白桃(8月下旬〜)、だて白桃(9月上旬〜)、幸茜(9月下旬〜)、西王母(9月中旬〜)があります。

山形の黄桃の収穫は、光黄(8月下旬〜)、滝ノ沢ゴールド(8月下旬〜)、黄金桃(9月上旬〜)などが楽しめます。

代表的な黄桃の品種には、黄貴妃(10月上旬〜)、光黄(8月下旬〜)、黄金桃(9月上旬〜)、光月(10月上旬〜)などがあります。

最適な白桃の選び方とは?

白桃は果皮が白く、熟しても色が変わらないので、張りがあり甘い香りのものを選びましょう。

縦の筋(縫合線)が真ん中にあり、左右対称かどうかや傷の有無も確認してください。

白桃は非常に繊細で、指や爪が当たるとすぐ黒くなります。購入時には注意して取り扱いましょう。

白桃を新鮮に保つ方法

新聞で包み、直射日光を避け涼しい場所に保存します。柔らかくなり甘い香りがしたら、ポリ袋に入れ冷蔵庫の野菜室で保管し、早めに白桃を楽しみましょう。

白桃の楽しみ方

白桃は、食べる1~2時間前に冷やすのが理想的です。糖度が高いお尻の部分を活かすためには、へた側ではなく縦にくし形にカットすると効果的です。時間がない場合は、氷水にさっとさらすだけでも適度に冷たくなります。

白桃が市場に出回る季節

白桃の旬は8月初旬から中旬にかけてです。

白桃の主要な産地について

岡山県は白桃の主要産地で、作付面積は約4.5ヘクタールであり、全国シェアの約43%を誇ります。続く福島県は約2.5ヘクタールで、全体の約24%を占めています。青森県が3位で、約2.2ヘクタールの面積です。

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出典:農林水産省統計

完璧な白桃を見つけ出す方法

白桃には、品種ごとに異なる見た目や風味があり、出回る時期も多種多様です。中には生産量が限られている品種もあるため、その瞬間の出会いを大事にして、様々な白桃を楽しんでみましょう。桃を愛する方は、「桃のルーツ」とされる白桃をぜひもう一度堪能してみてください!

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