桃といえば白桃を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、果肉が黄色い「黄桃（おうとう）」も魅力的な存在です。黄色く輝く見た目としっかりとした果肉の食感、さっぱりとした甘さが特徴で、生食だけでなく加工用としても重宝されています。本記事では、黄桃の特徴や旬、品種の違い、選び方から保存方法まで詳しく解説します。

黄桃と白桃には見た目や味、用途などに明確な違いがあります。白桃は果肉が白く、やわらかくて甘みが強いのが特徴で、主に生食用として人気です。これに対して黄桃は果肉が黄色く、しっかりとした歯ごたえがあり、さっぱりとした甘さが特徴です。追熟してもある程度の固さが残るため、缶詰など加工品にもよく使われます。

白桃は収穫後の追熟でさらに甘みとやわらかさが増し、口当たりのよさが魅力です。一方、黄桃は果肉にツヤがあり、ジューシーさがありながらも硬めの食感を楽しめるため、好みによって選ぶ楽しさがあります。

黄桃にはさまざまな品種があります。代表的なものをいくつかご紹介します。

黄金桃（おうごんとう）：美しい黄色い果肉が特徴で、甘みと酸味のバランスが良く、生食用に人気があります。主に長野、山梨、福島などで栽培され、8月から9月に旬を迎えます。

黄貴妃（おうきひ）：福島県で誕生した品種で、果汁が豊富でジューシーな味わい。濃厚な甘さがあり、ジュースにも向いています。

光黄（こうき）：白桃品種との交配から誕生した黄桃で、サイズが大きめ。柔らかさと歯ごたえを兼ね備えた品種で、甘みも十分。山梨や山形で栽培されます。

きららのきわみ：白桃との交配によって生まれた黄桃で、果汁が多く柔らかめ。9月上旬〜10月が旬で、福島や山形での生産が中心です。

黄桃を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。まず、見た目にツヤがあり、果皮に張りがあるものを選びましょう。手に持ってずっしりと重みを感じるものは果汁が豊富で美味しい証拠です。

また、縫合線（果実の縦の割れ目）を中心に、左右対称で整った形をしているものが理想的です。果皮に傷があるものや、極端に柔らかいものは避け、購入時には優しく手に取って状態を確認してください。

黄桃の食べ頃は香りと柔らかさで判断できます。完熟に近づくと甘い香りが強くなり、ヘタの周りを軽く押したときに少し弾力が感じられれば食べ頃です。ただし、強く押しすぎると果肉が傷んでしまうため、やさしく確認しましょう。

追熟させたい場合は常温で保存し、様子を見ながら数日待つのがおすすめです。香りが強くなり、適度な柔らかさを感じたら冷やして食べると、より甘みが引き立ちます。

洗い方：黄桃には白桃と同じようにうぶ毛があるため、流水でやさしく洗って落としましょう。洗ったあとはキッチンペーパーなどで軽く水気を拭き取ります。

むき方：皮は包丁の背でなでてから、縫合線に沿って切れ目を入れるとむきやすくなります。手で皮をつまんで引くとスルリとむけることもあります。種が硬い場合は、包丁を沿わせて切り分けると扱いやすくなります。

黄桃は常温・冷凍の両方で保存できます。

常温保存：新聞紙で包み、風通しのよい涼しい場所に置きます。2〜3日以内に食べるのがベストで、食べる直前に冷やすとより美味しくいただけます。

冷凍保存：丸ごとの場合はラップで包み、保護キャップをかぶせて保存します。カットしてから冷凍する場合は、変色防止にレモン水にくぐらせてから水気を拭き取り、保存用袋に入れて冷凍します。冷凍すると約4週間保存可能ですが、風味が落ちるため早めの消費がおすすめです。

黄桃は、近年では加工品だけでなく、生で食べても美味しい品種が増えています。白桃とは異なる鮮やかな見た目と、しっかりした果肉、さっぱりとした甘みが魅力です。

今まで白桃ばかり選んでいた方も、ぜひこの夏は黄桃にも注目してみてください。ご紹介した品種や選び方を参考に、旬の黄桃を味わってみましょう。