ヴィクトリアケーキとは?女王も愛した英国伝統菓子の魅力

ふんわりとしたスポンジに、甘酸っぱいジャムと上品なクリーム。ヴィクトリアケーキは、シンプルながらも奥深い味わいで、多くの人々を魅了する英国伝統の焼き菓子です。19世紀にヴィクトリア女王が愛したことからその名がつけられ、今ではイギリスを代表するケーキとして世界中で親しまれています。この記事では、ヴィクトリアケーキの歴史や特徴、そしてその魅力に迫ります。

ヴィクトリアケーキとは

ヴィクトリアケーキは、1800年代のイギリスで生まれた、昔ながらの焼き菓子です。ヴィクトリア女王が好んで食し、お茶会でよく供されたことから、その名が広まりました。英国式アフタヌーンティーには欠かせない存在として親しまれており、シンプルな材料で作られる、飾らない美味しさが魅力です。

ヴィクトリアケーキの特徴:飾らない素材が生み出す風味

ヴィクトリアケーキは、バター、砂糖、卵、薄力粉といった基本的な材料を用いて作られます。ふっくらとした生地で甘酸っぱいジャムを挟み、表面に粉砂糖を軽く振りかけるのが特徴です。シンプルな作り方だからこそ、素材本来の味が引き立ちます。近年では、人気の焼き菓子店で見かけることも増え、そのシンプルながらも豊かな風味が注目を集めています。

イギリスのスポンジケーキと日本のスポンジケーキの違い

ヴィクトリアケーキと日本のスポンジケーキの大きな違いは、食感と材料の使い方です。日本のスポンジケーキは、口の中で溶けるような軽い食感を重視して作られますが、ヴィクトリアケーキはバターをふんだんに使用し、密度が高く、しっかりとした食べ応えのある生地が特徴です。また、日本のケーキは生クリームや色とりどりのフルーツでデコレーションされることが多いですが、ヴィクトリアケーキはシンプルにジャムだけを挟むのが一般的です。本場イギリスのヴィクトリアケーキは、どっしりとした重みがあり、製法もパウンドケーキによく似ています。材料を混ぜ合わせる際、日本のケーキのように空気を含ませるのではなく、木べらなどでざっくりと混ぜて焼き上げるのが特徴です。これは、イギリスの小麦粉はタンパク質を多く含み、グルテンが出やすいため、必然的に重めの食感になりやすいという理由も挙げられます。

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ヴィクトリアケーキの基本的な作り方

イギリス生まれのヴィクトリアケーキは、ご家庭でも手軽に作ることができます。ここでは、基本となるヴィクトリアケーキのレシピをご紹介します。本場の風味に近づけるためのポイントは、材料の温度管理と混ぜ方です。バターと卵は冷蔵庫から出して室温に戻してから使用し、混ぜすぎないように注意することで、しっとりとした理想の食感に仕上がります。

材料 【18cm丸型1台分】

小麦粉:200g、膨張剤:小さじ1、無塩バター:150g、グラニュー糖:150g、鶏卵:3個、イチゴジャム:150g、塩:少々、粉糖:適量

手順

①小麦粉と膨張剤を混ぜ合わせ、ふるいにかける。②バターをボウルに入れ、なめらかになるまで混ぜる。グラニュー糖と塩を加え、白っぽく空気を含んだ状態になるまでよく混ぜる。※バターと卵は、事前に室温に戻しておくことが重要です。③溶き卵を少量ずつ加え、その都度よく混ぜる。ふるっておいた粉類を数回に分けて加え、さっくりと混ぜ合わせる。④オーブンシートを敷いたケーキ型に生地を流し込み、表面を平らにならす。型を軽く数回落とし、生地の中の空気を抜く。170℃に予熱しておいたオーブンで50〜60分焼き、粗熱を取って冷ます。⑤ケーキを水平に半分にカットし、下側の生地にイチゴジャムをたっぷりと塗る。上側の生地を重ねて軽く押さえ、仕上げに粉糖をふりかければ完成。

おすすめのアレンジ方法

ヴィクトリアケーキは、そのシンプルさが魅力であり、様々な工夫を凝らすことができます。例えば、紅茶風味にしたり、カシスジャムを使って彩り豊かなミニケーキにアレンジすれば、午後のティータイムがより特別な時間になるでしょう。また、マフィン型に入れて小さく焼き上げれば、分けやすく、ちょっとした集まりにも最適です。挟むフィリングは、ジャムだけでなく、新鮮なイチゴや生クリームなど、色々な食材を試して、自分だけのオリジナルレシピを見つけてみましょう。

都内でヴィクトリアケーキが楽しめる名店

東京には、独自のこだわりを持って丁寧に作られたヴィクトリアケーキを味わえるお店がたくさんあります。その中でも特におすすめしたい3店をご紹介します。各店それぞれが厳選した材料を使用し、独自の製法で他にはないヴィクトリアケーキを提供しています。

幡ヶ谷の人気ベイクショップ『Sunday Bake Shop』

幡ヶ谷駅のほど近く、活気ある商店街に店を構える『Sunday Bake Shop』は、朝早くから開いていることで知られています。オーナーの嶋崎かづこさんがイギリスを旅した際に感銘を受けたヴィクトリアケーキは、開店当初から変わらぬ人気メニューです。ラズベリーやブルーベリーを贅沢に使った自家製ジャムは、格別な香りを放ちます。旬の素材を大切にしており、「たくさんのベリー」の他に、季節限定のヴィクトリアケーキも店頭に並びます。私が訪れた際には、「ビクトリアスポンジ:ルバーブ」が販売されていました。

ベイクショップの激戦区・西荻窪の『Kies』

アンティークショップが軒を連ねる西荻窪の“骨董通り”にある『Kies(キーズ)』。日々の生活に寄り添うようなお菓子作りを目指すこちらでは、夏季限定でバタークリームを使わない“ジャムサンド”タイプのヴィクトリアケーキを提供しています。バタークリームがないことで、よりさっぱりとした味わいになり、ジャム本来のフレッシュな風味を存分に堪能できます。春には、愛らしい『さくらクリーム』を使用したヴィクトリアケーキも登場します。

人形町の名店『Tiny Toria Tearoom』

人形町にひっそりと佇む英国式ティールーム『Tiny Toria Tearoom』のヴィクトリアスポンジは、今回ご紹介する中でも特に伝統的な製法にこだわっています。日本の小麦粉では生地が軽くなりすぎるため、本場の食感を再現するため、秋田県産の中力粉を使用しているのが特徴です。サンドされているのは、夏にぴったりのルバーブジャム。ルバーブならではの爽やかな酸味と、独特の繊維感が生み出す食感が楽しめます。季節ごとに、いちご、ラズベリー、レモンカードを使ったヴィクトリアスポンジも登場します。

ヴィクトリアケーキの歴史的背景

ヴィクトリアケーキは、19世紀にヴィクトリア女王が愛したことがきっかけで広く知られるようになりました。最愛の夫であるアルバート公を亡くし、悲しみに沈んでいた女王が、その風味を大変気に入ったと伝えられています。女王の心を慰めたケーキとして、その名を冠し、今日に至るまでイギリスで愛され続けているのです。

名前の由来:ヴィクトリア女王とケーキの物語

ヴィクトリアケーキという愛らしい名前は、イギリスのヴィクトリア女王に敬意を表して名付けられました。女王自身がこのケーキをこよなく愛したことが、その名の由来となっています。午後のティータイムには欠かせない存在として、ヴィクトリアケーキはまさに英国らしさを象徴するお菓子です。アフタヌーンティーを愛したヴィクトリア女王にちなんで名付けられたという事実は、このケーキに特別な趣を与えています。

現代に息づくヴィクトリアケーキ

伝統的なヴィクトリアケーキは、バター、砂糖、卵、小麦粉をそれぞれ同じ分量で使用し、2枚のスポンジ生地を焼き上げ、ラズベリージャムを挟んで仕上げます。しかし、現代では、旬の素材を活かした自家製ジャムを使用したり、濃厚なバタークリームや軽やかな生クリームを添えるなど、様々なアレンジが楽しまれています。

本場の味を楽しむ秘訣

本場のヴィクトリアケーキを堪能する上で重要なのは、スポンジの独特な食感と奥深い風味、そしてジャムとの絶妙なハーモニーに意識を向けることです。イギリスでは、「ヴィクトリアスポンジ」あるいは「ヴィクトリアサンドイッチ」という名前で親しまれており、ほとんどのティールームで定番メニューとして提供されています。ぜひ、お好みの紅茶との組み合わせを試してみてください。

手作りする際のコツ

ご家庭でヴィクトリアケーキを作る際には、材料の正確な配合とオーブンの温度管理に細心の注意を払いましょう。バターと砂糖を丁寧に混ぜ合わせることで、ふっくらとした理想的な生地が生まれます。また、オーブンの温度が高すぎると、ケーキが乾燥してしまう可能性があるため、焼き加減をこまめに確認することが大切です。

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ヴィクトリアケーキの別名

ヴィクトリアケーキは、本場イギリスでは「ヴィクトリアスポンジ」や「ヴィクトリアサンドイッチ」という名前で親しまれています。これらの呼び名を知っておくと、海外のレシピサイトなどを検索する際に便利です。

ヴィクトリアケーキを通して知るイギリス文化

ヴィクトリアケーキは、イギリスの豊かな食文化を象徴するケーキの一つと言えるでしょう。その飾らない味わいは、世代を超えて多くの人々を魅了し続けています。ヴィクトリアケーキを味わうことを通して、イギリスの食文化に興味を持ってみるのもおすすめです。

結び

ヴィクトリアケーキは、英国の伝統と文化が息づく、飾り気のない見た目ながらも深い味わいを持つお菓子です。ご自身で手作りするのはもちろん、評判の高いお店を探し歩くのも楽しいでしょう。この機会に、ヴィクトリアケーキの魅力を改めて見つめ直し、優雅なティータイムを満喫してみてはいかがでしょうか。飾らない味わいだからこそ、何気ない時にふと「食べたい」と思わせるのが、ヴィクトリアケーキの魅力かもしれません。

質問1:ヴィクトリアケーキの主な材料は何ですか?

回答:ヴィクトリアケーキの基本材料は、バター、砂糖、卵、そして小麦粉です。通常、ジャムを挟んで、仕上げに粉砂糖を振りかけます。

質問2:ヴィクトリアケーキはどこで手に入れることができますか?

回答:都内にある焼き菓子店や、本格的な英国式ティールームで見つけることができます。記事の中では、『Sunday Bake Shop』、『Kies』、『Tiny Toria Tearoom』といった人気店をご紹介しています。

質問3:自宅でヴィクトリアケーキを作る際の注意点は?

回答:材料の分量と焼き加減が重要です。バターと砂糖は丁寧に混ぜ合わせ、オーブンの温度を適切に管理することが成功の鍵となります。

ヴィクトリアケーキ