サワーソップとは

サワーソップと呼ばれる果物は、その独特な風味と豊富な栄養素で世界中の健康愛好者の間で注目を集めています。熱帯地方を原産とするこのトロピカルフルーツは、甘酸っぱい味わいが特徴で、デザートやジュースに用いられることが多いです。しかし、サワーソップの魅力はその味だけにとどまりません。抗酸化物質を豊富に含み、免疫力の強化や細胞の健康維持など、数々の健康効果をもたらすとされています。

トゲのある奇妙な果実

トゲバンレイシは、バンレイシ科に属する植物で、学名はAnnona muricataです。英語でsoursopと呼ばれることから、サワーソップやシャシャップという名でも知られています。常緑性の小高木で、大きな集合果には多数の柔らかいトゲがあります。この果実は、熱帯地域で広く食料として利用されています。中米から南米北部に自生しているとされますが、現在では熱帯アフリカや南アジア、東南アジア、オーストラリア、太平洋諸島など各地で栽培されています。

呼び方

トゲバンレイシは、英語でサワーソップ、シャシャップ、あるいはササップとして知られています。また、graviolaやprickly custard appleという英名も持ちます。スペイン語ではグアナバナやsapote agrio、ポルトガル(ブラジル)語ではgraviola、フランス語ではcorossolierと呼ばれています。フィリピン語ではguayabano、インドネシア語ではsirsakやnangka belandaの名で知られるこの果物は、日本語でグアナバナやグラビオラ、シルサックと表記されることがあります。マレーシア語のdurian belandaを由来としてオランダドリアンと呼ばれることもあります。

特徴

この木は常緑性の低木で、高さは最大で10メートル程度に達することがあります。寒さや乾燥によっては葉を落とすこともあります。若い枝は褐色の毛で覆われています。葉は互い違いに生え、葉柄は5-8ミリメートル、葉身は6.5-20 × 2.5-6.5センチメートルで、表面は濃緑色で光沢があります。葉は折ると強い香りを放ちます。花は単独、あるいは束になって葉と対になる場所に咲き、時には幹にも咲きます。花柄は5-25 mmで小さな苞があります。花の直径は約3.8 cmです。萼片は3枚、やや厚く、外面には柔らかい毛があります。花弁は6枚で2層に分かれ、厚みがあります。雄しべと雌しべは多数存在し、密に集まっています。多数の雌しべから形成される集合果は心形から楕円形で、表面には小さな棘が整然と並んでいます。果実は木質の果柄を持ち、それぞれの部位に容易に分かれます。果肉は白く柔らかで繊維質が含まれています。種子は楕円形で平たく、淡い褐色から濃い褐色の間の色をしています。

生息地

この植物は中央アメリカから南アメリカ北部に自生していたとされていますが、長い歴史を通じて様々な地域に植えられてきたため、正確な原産地は不明です。現在では、西インド諸島、北アメリカ、アフリカ、南アジア、東南アジア、オーストラリア、そして太平洋諸島などで栽培されており、一部は野生化していることも見受けられます。この植物は低地に位置する熱帯雨林に生息しています。果実は通年で実をつけますが、特に夏から初秋にかけてその活動が活発になり、時折初春にもピークが見られます。石垣島における開花期は3月から6月、及び9月から10月で、果実は6月から7月、そして1月から2月にかけて収穫されます。小型の昆虫が花の芳香に引き寄せられてこの植物の送粉に関与しますが、実を結ぶ割合はあまり高くありません。特にケシキスイ科の昆虫たち(Carpophilus, Carpophilus)が主要な送粉者と考えられていますが、その存在が果実の結実に必ずしも寄与していたわけではないという研究結果もあります。この植物の果実は様々な哺乳動物によって摂食され、自然と種子が拡散されます。

育成方法

トゲバンレイシの果実は食用として利用され、世界中の熱帯地域で広く栽培されています。この作物は、人間によって新世界から旧世界に初めて移入された熱帯作物の一つとされています。果実の生産量はそれほど多くなく、通常1本の木から年間1〜20個の果実を収穫します。それぞれの果実の重さは平均して1キログラムを超えます。栽培の際には、人工授粉を行うことで結実が向上し、果実の形が整います。トゲバンレイシは種子で増やします。種子の発芽能力は時間とともに低下するため、果実から収穫した直後に速やかに播種することが重要です。新鮮な種子の場合、発芽率は85〜90%に達します。トゲバンレイシに影響を与える病虫害としては、炭疽病、青枯病、黒斑病、白斑病、果実腐敗、さび病、コバチ、ガ、カメムシ、ミバエ、カイガラムシ、ハダニなどが知られています。大きな果実と酸味を持つトゲバンレイシと、芳香と甘みを持つチェリモヤを組み合わせた品種を作ろうと交雑が試みられていますが、どちらの交雑も成功していません。これは、トゲバンレイシが食用の他のバンレイシ属の種と遺伝的に異なるためと考えられています。インドネシアやフィリピンでは、酸味が強い系統と甘みが強い系統が存在し、甘みが強い系統の果実には種子が少ない特徴があります。

食材として使用

収穫された果物は約3-5日で完熟し、冷蔵しても保持期間は2-3日程度に限られます。また、外皮が柔らかく傷つきやすいため、産地周辺での消費にとどまり、大規模な産業には発展していません。その香りはよく「イチゴとパイナップルをミックスし、バナナやココナッツを連想させるクリーミーな香りに、酸味のある柑橘系の香りが加わったもの」と言われています。甘味と爽やかな酸味が特徴で、果汁がたっぷりと含まれています。この果物は、酸味があることからサワーソップとも呼ばれます。新鮮なまま食べることも、シャーベットやアイスクリーム、ゼリー、ジャム、清涼飲料、発酵飲料などに加工されることもあります。インドネシアでは果肉を砂糖で煮込み、甘いケーキ(dodol sirsak)にします。フィリピンでは若い果実が野菜として使われることもあります。

医薬品

トゲバンレイシの種子や葉、樹皮、花、果実は、伝統医療の分野で利用されることがあります。例えば、インドやジャマイカ、ハイチ、ブラジル、ペルーなどの国々では、発熱や咳、神経過敏、潰瘍、傷、腎臓の問題、痙攣に対して処方されることがあるほか、寄生虫駆除や強壮、さらには中絶を目的とした薬としての役割も持っています。また、種子は殺虫や収斂、魚毒の材料としても使用されることがあります。

健康に対する危険性

バンレイシ科植物、特にトゲバンレイシ(Annona muricata)には、アンノナシンやイソキノリンアルカロイドといった化合物が含まれ、過剰摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性があるとされています。特に、西インド諸島の一部地域では、トゲバンレイシの摂取が非定型パーキンソン症候群の発生と関連している可能性が示唆されていますが、さらなる研究が必要です。また、英国がん研究所によると、トゲバンレイシは未承認のハーブ薬としてTriamazonという商品名で販売されています。このTriamazonは医薬品としての正式な承認を受けておらず、イギリスのある販売業者は未承認医薬品の販売に関して有罪判決を受けています。

サワーソップ