秋の訪れとともに、果物好きの心を捉えて離さない「ポポー」──その独特の風味と栄養価の高さで、多くの人々を魅了しています。まるで南国の香りを思わせるポポーは、そのクリーミーな果肉と豊かなアロマで、まさに「北のマンゴー」とも称される逸品です。本記事では、まだあまり知られていないこの神秘的な果実の魅力に迫り、あなたの果物ライフに新たな一ページを加えるお手伝いをいたします。
ポポーとは
ポポーは、バンレイシ科に属するポポー属の樹木、またはその食用果実を指します。地方によってはポーポーやパポー、ポポーノキ、ポポと呼ばれたり、アケビガキとも称されることがあります。これは果実の形状がアケビに似ており、果肉の色合いや味わい、食感がカキノキに類似するためです。
果実は楕円形の液果で、その果肉は黄色く、柔らかく、粘質で香り高く、甘味があります。この特徴から「森のカスタードクリーム」とも呼ばれます。北米東部原産であり、バンレイシ科の中では特に耐寒性に優れています。明治時代に日本に紹介されたものの、果実が長持ちせず、大規模な商業栽培は行われていません。
分布・生息環境
この植物は、背の低いものから高木まで存在し、主幹の直径が最大30センチに達します。高さはおおよそ1.5メートルから14メートルまで成長し、日光を浴びる場所では密集した細かい枝が円錐形を形成しますが、日陰では横に広がります。樹皮は滑らかで暗褐色、古くなると灰色の斑点が現れることがあります。若枝には黄色の細かい毛が生えるが、最終的に無毛になります。また、根は地表近くを横に走り、新たな芽を生じさせ、群生を形成しやすい特徴を持っています。
葉は互い違いに配置され、楕円形から倒卵形で基部がくさび形、縁は滑らかです。長さは15から30センチ、幅は約10センチです。揉むとトマトやピーマンのような香りがします。葉の裏には密集した毛があり、古くなると葉脈を残して落ちます。葉柄の長さは0.5から1センチです。
2月から5月にかけて開花し、葉が展開する前または同時に、ひとつの花が昨年の枝に咲きます。この花は直径2から5センチで、独特な匂いを放ち、釣鐘状に咲きます。小さな苞葉は1〜2枚あり、卵形から三角形で毛があります。萼片は緑色で3枚あり、長さ8〜12ミリで密に毛が存在します。花弁は最初は緑ですが、後に暗紫色になり、外側の花弁は長く湾曲し、内側の花弁は小振りで直立します。中心には雌しべが約3〜7個、雄しべはこれを取り囲みます。
果実は7月から10月に見られ、楕円形の液果で、通常はひとつの花から2~3個がまとまって成ります。果実は最初は緑色で、熟すと黄緑色に変わります。果肉は白からオレンジ色で粘りがあり、強い香りを放ちます。種子は黒褐色で、直径1.5〜2.5センチ、2列に並んでいます。
ポポーの食べ方
①ポポーのヘタの部分に包丁を入れ、皮は厚めに剥きましょう。
表面が黒くても、中身は鮮やかな黄色で、美味しさを楽しめます。甘い香りがしてきて柔らかくなったら食べごろです。
②ポポーを輪切りにします
ポポーは数個の種が入っています。種を避けながら、約2㎝幅で食べやすい輪切りにします。フォークなどで刺して食べても良いですが、柔らかい場合はスプーンを使ってください。