近年、健康意識の高まりとともに、食生活の見直しが注目されています。その中で注目を集めているのが「胚芽パン」です。通常のパンと比べ、豊富な栄養素を含む胚芽パンは、食事に美味しさと健康を兼ね備えた選択肢として人気を得ています。本記事では、胚芽パンの魅力とその健康効果について詳しく解説します。これを機に、健康志向の新定番として、胚芽パンを食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
胚芽とは
胚芽は植物の種子の内部にあり、将来的に芽を出す部分を担っています。以前は小麦の製粉過程で取り除かれる部分でした。
しかし、この胚芽は脂質、タンパク質、ミネラル、ビタミンといった多くの栄養素を豊富に含んでおり、小麦の最も栄養価の高い部分として注目を集めるようになりました。このため、最近では健康食品として利用されることが増えています。
胚芽の健康への効果としては、疲労回復や血液循環の促進、貧血の改善、肌の改善、便秘の解消などが期待されています。
胚芽を用いたパンは栄養価が高いうえに、血糖値の上昇を示すグリセミック・インデックス(GI)が一般的な食パンやロールパンよりも低く、ダイエット中の方や美容や健康を意識する人々から注目されています。
小麦に含まれる栄養素とは?
国内の小麦生産量は他国に比べ少量ですが、日本においても日常的な食品として欠かせない存在です。
「人類最古の作物」とされる小麦の歴史は約1万年前にまでさかのぼります。小麦を石でつぶして加工し、小麦粉として食す文化が誕生しました。日本では弥生時代すでに栽培が開始されていたと考えられています。
小麦は主食として使われるため、その大部分は炭水化物で構成されています。これは重要なエネルギー源として、人間の生命維持に欠かせません。
さらに重要なのが、良質な植物性タンパク質を含んでいる点です。タンパク質は筋肉や内臓、肌、爪、髪といった体の主要成分を作るために必要な栄養素です。動物性タンパク質と組み合わせてバランスよく摂取することが推奨されます。
小麦には炭水化物やタンパク質のほか、脂質も含まれており、これらは三大栄養素とされています。また、ビタミンB1、B2、ナイアシン、ビタミンE、パントテン酸などのビタミン類やカリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛のようなミネラルも含んでいます。ただし、加工の過程でこれらの栄養素が減少する可能性もあります。
小麦粉と小麦胚芽の違いとは?
小麦の粒は、発芽に必要な栄養を備える「胚乳」、種子の外側を覆う「外皮」、芽になる部分の「胚芽」から構成されています。最も割合を占めるのが胚乳で、小麦粒の約83%を形成しています。外皮は約15%、胚芽は約2%です。
通常の小麦粉は、小麦粒の胚乳を用いて作られます。これは炭水化物やタンパク質が豊富で、多様な食品へと加工されます。一方、外皮は「ふすま」としておもに家畜の飼料として使われます。
近年注目を集めているのが、小麦の胚芽部分です。豊富な栄養素が詰まっているため、健康意識の高い人々の間で人気が高まっています。
全粒粉や小麦胚芽を摂取することの利点とは?
小麦胚芽が注目を集める理由は、その豊富な栄養にあります。特に小麦胚芽は小麦の中でも栄養価が高い部分で、希少性からも非常に貴重とされています。フランスでは、小麦を日常的に食べる影響もあり、小麦胚芽は「栄養の宝石」とも称されるほどです。
小麦胚芽には、タンパク質や脂質、食物繊維に加え、カリウムやリンといった通常は加工で失われがちなミネラルが豊富に含まれています。
さらに注目すべき点は、ビタミンEの豊富さです。ビタミンEは抗酸化作用を持ち、体内の脂質の酸化を防ぎ、細胞を健康に保つ役割を担っています。
小麦胚芽を摂取する方法として、全粒粉を使用した製品がおすすめです。全粒粉は、小麦の胚乳だけでなく外皮や胚芽も含む状態で加工されるため、栄養を丸ごと摂ることができ、通常の小麦粉よりも栄養価が高いのが特徴です。
全粒粉の健康への影響とは
通常の小麦粉は製粉過程で胚芽や表皮(ふすま)が除かれたものですが、全粒粉はこれらを含んでいます。全粒粉を使用したパンは、茶色で少し苦味があることがあります。
全粒粉にはビタミンB群、ビタミンE、ミネラルが豊富に含まれており、特に食物繊維が多く含まれます。そのため、一般的な小麦粉のパンに比べて満腹感を与えるとされています。また、全粒粉はコレステロールの低下や血糖値の急上昇を抑える可能性、さらに心臓発作やがんなどの重大な病気のリスクを減少させると期待されています。
主食としてパンを多く摂取する欧米では、長寿の人々の多くが一般的な小麦粉製のパンではなく、全粒粉のパンを選んで食べているとされています。健康を気にする方には見逃せない情報ですね。
「ふすま」はダイエットをサポートする?
ふすまは小麦の外層で、胚芽と同様に製粉過程で捨てられることが一般的です。しかし、全粒粉と同様に繊維質が豊富で、低糖質かつ低カロリーである点が注目を集めており、特にダイエット志向の方々に支持されています。
ふすまを使用したパンは「ブランパン」と呼ばれ、その見た目は黒糖パンのように少し茶色がかった色合いが特徴です。現在では、多くのパン屋やコンビニエンスストアでブランパンを見かけることが増えてきました。
ふすまには、カルシウムやマグネシウム、鉄分、亜鉛といった身体にとって重要な栄養素が多く含まれています。
ブランパンは少しパサつきがあると言われますが、低糖質・低カロリーで、適度な甘さや満腹感が得られるため、ちょっとした空腹時に手軽に楽しめるパンでもあります。
さらに、パンだけでなく洋菓子の製作にも活用されることがあります。ダイエットを始めたばかりの方で、甘いものを完全にやめるのが難しい方にとって、心強い味方と言えるでしょう。