レイシとは

太陽の恵みをたっぷり浴びて育ったレイシ。その芳醇な香りと甘みは、一口食べれば忘れられないほど。楊貴妃が愛した果実としても知られ、古くから珍重されてきました。今回は、レイシの魅力に迫るべく、その甘さの秘密から、美と健康をサポートする豊富な栄養成分までを徹底解説。おいしい食べ方や選び方のポイントもご紹介します。レイシの奥深い世界を一緒に探求してみましょう。

レイシ

ライチ(学名:Litchi chinensis)は、ムクロジ科に属するレイシ属の唯一の種であり、その果実が食用として広く知られています。原産地は中国の嶺南地方です。なお、バンレイシはライチとは生物学的に大きく異なる植物です。

レイシ(ライチ)とは

一年を通して緑を保つ高木であり、葉は対になった小葉が2〜4組集まった偶数羽状複葉の形をしており、互い違いに生えています。春には黄緑色の花を咲かせ、夏には実が熟します。果実の表面は赤色で鱗のような模様があり、新鮮なものほど棘が鋭いです。皮を剥くと、白く半透明で水分を多く含んだ果肉が現れ、食用とされます。この果肉は厳密には仮種皮と呼ばれ、中に大きな種が一つ入っています。ライチは中国において、紀元前から温暖な南部地域で栽培されてきた果物です。その上品な甘さと香りは古くから珍重されてきましたが、日持ちがしないため、「ライチは枝から離れると、一日で色が変わってしまい、二日後には香りが失われ、三日後には色も香りも味もすべてなくなってしまう」と言われています。唐代の楊貴妃がライチを非常に好み、華南地方から都の長安まで急使を使って運ばせたという逸話は広く知られています。

ライチの呼び方について

中国語の標準語である普通話では、ライチーは「リーヂー」と発音され、この発音が学名のもとになっています。英語では、広東語や閩南語の影響を受けた「ライチー」という発音と、普通話に近い「リーチー」という発音が混在しています。

ライチの栽培について

栽培には、弱酸性で保水性と排水性のバランスがとれた土壌が適しています。生育期には十分な水やりが必要ですが、冬場は乾燥気味に管理し、ハダニやカイガラムシ対策として、葉に霧吹きで水をかけると良いでしょう。耐寒性は比較的低いので、安全に越冬させるためには、最低気温が5~10℃以上を保てる環境が理想的です。霜や積雪には弱いため、寒冷地での栽培は鉢植えにして室内で管理するのが一般的です。日当たりの良い場所を好みますが、幼苗の間は夏の強い日差しを避け、半日陰で育てると良いでしょう。開花時期は通常2~4月で、自然環境下ではハチやアリが受粉を媒介しますが、栽培環境では人工授粉が推奨されます。実を実らせるためには、ある程度の低温にさらす必要があり、品種によっては冬の間に5~10℃の環境で100~200時間程度管理することが重要です。商業規模での栽培には、生育期である春から夏にかけて高温多湿で降水量が多く、短い冬季があり、霜が降りない地域が適しています。具体的には、年間最低気温が氷点下にならないことが条件となります。これらの条件を満たす地域として、中国南部の華南地域から四川省南部、雲南省にかけての地域、台湾、タイやベトナムなどの東南アジア、オーストラリア北部、アメリカのフロリダ州、ハワイ、レユニオン、マダガスカルなどが挙げられます。日本国内では、沖縄県や鹿児島県、宮崎県などで、小規模ながら栽培が行われています。

ライチの流通について

店頭に並ぶライチの多くは、中国や台湾からの輸入品です。国産ライチは希少で、主に九州以南の温暖な地域でわずかに栽培されています。生のライチが出回るのは7月から8月頃ですが、冷凍のものも利用できます。中国産の食品と同様に、ライチの安全性も懸念されており、輸入時に検査が実施されています。過去には、基準値を超える農薬が検出された事例もあり、廃棄や積み戻しなどの措置が取られました。

ライチの利用方法について

ライチは、半透明でみずみずしい果肉が特徴です。その甘酸っぱい風味は、そのまま食べるのはもちろん、シロップに漬けても美味しくいただけます。また、お酒の香りづけにも利用され、ライチリキュールは特に人気があります。

ライチの毒性について

果実が熟していない状態に含まれるヒポグリシンという物質は、人の体内で糖が作られるのを妨げるため、低血糖を引き起こす原因となります。インドの貧しい地域では、子供たちが空腹を満たすために未熟なライチを食べ、その結果、低血糖から脳炎を発症し、命を落とす事例が多発しています。かつて、この症状は感染症と非常によく似ていたため、未知の病原体による地域特有の病気だと考えられていました。

レイシ