フランスのデザートといえば、真っ先に思い浮かぶのがクレームブリュレ。その何層にも重なる贅沢な味わいと、カチンと音を立てて砕けるカラメルのパリッとした食感は、食べる者を瞬時に虜にします。シンプルな材料でありながらも、その製法や提供スタイルには奥深い工夫が凝らされており、舌だけでなく心も豊かにする一品です。本記事では、クレームブリュレの歴史や調理法、そして家庭で簡単に楽しむためのポイントを徹底的に解説します。
「クレームブリュレ」の特徴と魅力について
「クレームブリュレ(フランス語:Crème brulée)」は、フランス語で「焦がしたクリーム」という意味があります。このデザートは、カスタードソース(アパレイユ)を蒸し焼きにし、その表面に砂糖をふりかけてガスバーナーなどでキャラメリゼしたもので、フランス発祥です。日本では「クリームブリュレ」とも呼ばれますが、発音に忠実な表記は「クレームブリュレ」です。
プリンは通常カップで作り、食べる際には逆さにして取り出すことがありますが、クレームブリュレは器に入れたまま提供されるのが一般的です。
「クレームブリュレ」の由来と発展
「クレームブリュレ」の正確な誕生については詳細が不明です。17世紀のフランスの料理書にレシピが見られるものの、その発祥地や時期、創始者に関しては諸説があります。イギリスでは「プディング」に焦がした砂糖をかける習慣があったようですが、それが誰によっていつ始まったのかは定かではありません。
このデザートは2001年公開のフランス映画「アメリ」で取り上げられたことでも有名です。作品中で登場し、映画の舞台でもあるパリ・モンマルトル地区の「カフェ・デ・ ドゥ ・ムーラン」では、実際に味わうことができます。
日本ではよく見かけるのは、ココットカップに入った薄いキャラメルが乗せられたブリュレですが、「カフェ・デ・ ドゥ ・ムーラン」では大きく平たい皿に盛られています。じっくり焼かれたクリームの上に厚いキャラメルが乗っており、「バリバリ!」とした食感が楽しめます。
キャラメル化で生まれる独特の風味とは?
「クレームブリュレ」によく使用される砂糖は「カソナード」です。これはフランス産のサトウキビ100%で作られたブラウンシュガーで、グラニュー糖よりもコクがあり、甘みが深いのが特徴です。
カソナードがブリュレに適している理由は、その味わいだけでなく溶けやすさにもあります。これはグラニュー糖や上白糖よりも熱で溶けやすく、バーナーで焦がした際にムラができにくく、均一に仕上げやすいのです。
グラニュー糖や上白糖でもキャラメリゼは可能ですが、カソナードより溶けにくいため、バーナーを動かしながら均等に焦がす工夫が必要です。
とろける濃厚クレーム・ブリュレ【スフレ型Sサイズ5個分】
<材料>クリーム175ml、牛乳75ml、バニラビーンズ半本、シナモンパウダー少々、卵黄60g、カソナード砂糖35g
<仕上げ>カソナード砂糖適量
<容器の下準備>陶器製スフレ小5個、バーナー1本
1.生クリームと牛乳を鍋に入れ、バニラのさやと種、シナモンパウダーを加えて沸騰直前まで温めます。
2.卵黄と砂糖を混ぜ、白っぽくなるまで撹拌します。
3.②に①を少しずつ加えながら混ぜます。
4.混ぜたものを漉して、不要なものを取り除きます。
5.スフレ型に入れ、タオルを敷いた天板に置き、湯を加えます。予熱したオーブンで45分間湯せんで焼きます。
6.焼き上がったら冷やし、表面がゼリーのように揺れるまで冷蔵します。まだ水っぽければさらに5分焼きます。
7.食べる直前にカソナードをまぶし、数回キャラメリゼします。キャラメリゼは食べる直前に行うことで、砂糖のパリパリ感を楽しめます。
一度お試しください。