秋の味覚といえば栗。特に「渋皮煮」は、その深い風味と滑らかな舌触りで、多くの人々を魅了しています。その名の通り、渋皮付きのまま煮込むことで栗本来の旨味を逃さずに味わえるこの料理は、手間暇をかけただけの価値がある一品です。今回は、栗の渋皮煮の魅力を詳しく紹介します。
渋皮煮と甘露煮とは
渋皮煮と甘露煮の大きな違いは、渋皮を残すか剥くかにあります。渋皮は、栗の一番外側の硬く輝く皮の下に隠れた繊維状の皮です。
渋皮を残して煮た「渋皮煮」は見た目が茶色になります。渋皮煮は、下準備に多くの時間がかかります。栗を一晩水に浸けてアクを抜き、何度も茹でて冷ます工程を繰り返します。最後に砂糖を加えて風味を染み込ませます。好みに応じて塩やレモン汁、しょうゆやみりんを加えることもあります。
一方の「甘露煮」は、渋皮を剥いてから煮るため、鮮やかな黄色が特徴です。甘露煮の手順は比較的簡単です。渋皮を剥いた栗を一晩水に浸けてアクを抜き、柔らかく茹でます。その後、砂糖やみりん、酒、塩などを加えた水で煮込んで完成です。
渋皮煮と甘露煮は、調理工程が似ていますが、渋皮の有無で味と風味が大きく変わります。お店や作り手によっても変わるので、自分好みの味を見つけるのが楽しいでしょう。
栗の自然な香りを楽しみたいなら渋皮煮を、なめらかな食感や鮮やかな色を活かしたいなら甘露煮を、料理のシーンに合わせ使い分けてみてください。
マロングラッセとは
マロングラッセは、ルイ14世時代にフランスのアルデシュ地方で誕生したお菓子です。クリスマスや新年の定番として楽しまれるだけでなく、贈答品としても非常に人気があります。
この菓子の作り方は、渋皮を剥いた栗に濃度を徐々に上げたシロップを染み込ませ、グラッセ加工(砂糖やシロップで煮る技法)を施すというものです。複数回にわたりシロップで煮沸し、冷まして砂糖を加えるという繰り返しの作業を経て、ついに完成するという手間のかかる一品です。
とはいえ、自宅で手軽に試したい方には、工程を簡略化した“即席マロングラッセ”がオススメです。シロップで煮た栗を一度冷まし、砂糖衣にくぐらせれば完成です。十分に美味しい仕上がりになりますよ。