牛蒡餅
牛蒡餅は、長崎県平戸市に伝わる伝統的な菓子です。このお菓子は、大島糖や上白糖とうるち米の粉を使用した餅に、芥子の実をまぶして仕上げます。「牛蒡」という名前ですが、実際にはゴボウは使用されていません。
牛蒡餅の歴史
16世紀、平戸市では倭寇の首領、五峰王直からその製法を学んだとされています。この菓子は、その独特な色と形がゴボウに似ていることからこの名がついたと伝えられています。昔は黒砂糖だけを使って細長く作り上げ、鎮信流のお茶会で切り分けて供されていました。平戸の住宅地では、祝いや弔いの際の贈り物として広く利用され、多くの人々に親しまれてきました。今では、旅のお土産としても人気があり、上白糖を使った白い牛蒡餅やヨモギを練りこんだものなど、様々な種類が店ごとに提供されています。
ゴボウを使った牛蒡餅
江戸時代に書かれた「料理物語」などの料理書には、牛蒡餅が一般的な菓子として紹介されています。当時の作り方では、ゴボウを柔らかく煮てすりおろし、米粉や砂糖と混ぜて生地を作ります。それを丸めて形成し、熱湯で茹でた後、ゴマ油で揚げ、最後に砂糖やシロップを絡めて仕上げます。中には生地に卵を混ぜて直接揚げる方法もあり、16世紀にポルトガルから伝わった南蛮菓子「ひりょうず(フィリョーシュ)」との関係が指摘されています。