バームクーヘンとは
バームクーヘンといえば、その特徴的なリング状のフォルムと甘くてバニラの香りが思い浮かぶかもしれません。長年多くの人々を魅了し続けているこの洋菓子は、どのようにして現代の私たちのテーブルにまで届いたのでしょうか?今回は美味しさの裏側に隠された、バームクーヘンの魅力深い物語を紐解いていきます。
バウムクーヘンとは?バームクーヘンとも違う?定義や美味しさの秘密
バウムクーヘン、その名はドイツ語で「木の年輪」を表し、その名の通り、木の年輪状に仕上がるこのドイツ生まれのスイーツは、一枚一枚丁寧に焼き重ねられるその層の歯応えと、口の中に広がるバニラの淡い香りと上品な甘さが魅力です。
また、「バームクーヘン」の名前で知られることもあり、この表記が混乱を招くこともあります。これは、実は日本独特の表記であり、本場ドイツでは「Baumkuchen」が正式な名称です。
それぞれの層ごとにシロップを塗りたくることで風味が加わり、一つ一つの層を飽きずに重ねて食べられるのが、バウムクーヘンの特徴です。日本では贈り物やお土産としても人気があり、その美しい見た目も評価の対象となっています。
しかし、その製造過程は手間がかかり、一層一層丁寧に焼き上げる作業は大量生産には適していません。それは、バウムクーヘンが高級なイメージを持つ一因ともなっているのです。
バウムクーヘンもバームクーヘンも、その見た目、食感、味、製造工程、全てがこのスイーツを魅力的なものにしています。
バウムクーヘンにはどんな歴史がある?
バウムクーヘンという、美味しさと特異な形状が際立つヨーロッパ生まれの伝統菓子についてお話しします。この名前は、その形が木の年輪に似ていることから「木の菓子」を意味する、ドイツ語で「Baum(木)」と「Kuchen(菓子)」を組み合わせたものです。バウムクーヘンの起源は16世紀のドイツとされていますが、その製法が口伝で受け継がれてきました。
日本で初めてバウムクーヘンを味わったのは、20世紀初頭のことです。日本で最初にバウムクーヘンを製造・販売したのは製菓会社「ユーハイム」の創始者で、日本に捕虜として連れて来られたカール・ユーハイムです。彼は広島県の物産陳列館でバウムクーヘンを焼き、日本人に紹介しました。
この美味しい菓子を試した一部の日本人は、すぐにその虜となり、その人口は着実に増えていきました。その結果、大正時代には日本で初のバウムクーヘンの専門店が誕生しました。これが火付け役となり、バウムクーヘンは全国に広がり、現在ではウェディングケーキや贈り物としても人気があります。
ドイツでは専用のオーブンと熟練した職人が必要なため、バウムクーヘンは高級菓子として取り扱われています。ところが日本では、その美味しさから一般的な菓子となりました。バウムクーヘンは、味わいだけでなく、その独特な歴史的背景からも魅力を感じることができる、非常に特別なケーキなのです。
バウムクーヘンとはドイツ発祥の焼き菓子。日本ではさまざまなアレンジも
ドイツでのバウムクーヘンは、「ベーキングパウダーは使わない」「バター、小麦粉、砂糖に対して卵の使用量は2倍」「ひとつひとつ職人の手で作る」など、一定の厳格な基準を満たすものでなければ、法的にバウムクーヘンと称することが許されないということです。
そんなバウムクーヘンも、日本では多種多様なアレンジが加えられ、地元の菓子店からスーパーやコンビニで気軽に手に入る身近な存在となっています。その幾重にも重なる年輪のような姿からは、懐かしさと新鮮さが同時に感じられ、常に新しい美味しさを広げてくれる、日本人にとっては欠かせないお菓子の一つと言えるでしょう。
まとめ
バームクーヘンの起源はドイツとされています。時代と共に進化を遂げ、現在では多様な風味や形状のものが楽しまれています。じっくりと焼き上げられた層からなるその独特の食感と共に、バームクーヘンが秘めている長い歴史と文化を味わいながら一口食べれば、その深い魅力にきっと虜になるでしょう。