スイカ 果物
夏の暑い日差しの下で、ひんやりと冷えたスイカを頬張ることほど心地よいものはありません。鮮やかな赤と緑のコントラストが目を楽しませ、甘みと爽やかな香りが口の中に広がります。スイカは果物の王様と呼ばれるのも無理はありません。この太陽の恵みを存分に味わいましょう。
スイカは野菜なの?果物なの?
夏の風物詩スイカ。その赤い果肉と黒い種は、誰もが一度は口にした思い出深い味わいです。生で食べるのはもちろん、スムージーやゼリーなど、スイーツとしても大活躍の食材ですね。
産地では皮をみそ漬けや浅漬けに加工し、一石二鳥の食文化が根付いています。海外では種を炒って食べる珍しい習慣もあり、スイカはさまざまな食べ方を楽しめる万能選手です。
そんなスイカですが、実は野菜に分類される食材なのです。その理由は、スイカがウリ科の一年草で、つる性の草本植物であること。主に土の栄養分を吸収して育つ点が、野菜の特徴に当てはまるからなのです。
果物は木の実から採れ、樹木の養分を吸収して実を付けるのが一般的です。それに対し、スイカは未熟な実の状態で収穫され食用にされます。生長過程の違いから、植物学的にはスイカは野菜の仲間なのです。
甘く果物に見える一方で、実は野菜の一種。多様な食べ方を生かしながら、夏を彩る一品として、これからも愛され続けるスイカ。その不思議な一面に、あらためて注目が集まることでしょう。
スイカは野菜であり果物でもある
夏の風物詩であるスイカは、その特性から野菜と果物の両面を併せ持つ食材です。一年草の茎から実を付けることから植物学的には野菜に分類されますが、甘みのある実の部分はフルーツのように食されることから、料理の場面では果物としても扱われます。
栄養面でも、スイカにはビタミンCが豊富で赤い色は抗酸化作用のあるリコピンによるものの、カロリーが低くさっぱりとした味わいは野菜的です。このように分類の体系によってスイカは野菜か果物かと判断が分かれる不思議な存在です。しかし、いずれにしても豊富な栄養が含まれており、夏バテ対策に最適な食べ物だと言えるでしょう。
そもそも野菜と果物の違いって?
野菜と果物は同じ植物に由来しますが、その定義と役割は異なります。農林水産省は、次のように野菜と果物を区別しています。
野菜は、草本性の食用植物で、加工を前提とせず、田畑で栽培される副食物のことを指します。一方、果物は、2年以上栽培する草本植物や木本植物の果実を食用とするものを指しています。
つまり、野菜は短期間で収穫できる草本植物の可食部(茎、根、葉、花序など)を指し、果物は長期栽培を経て実った果実を指すのが大きな違いです。例外もありますが、この基準に基づいて分類されています。
両者とも健康的な食生活に欠かせない存在ですが、野菜は食物繊維、ビタミン、ミネラルが豊富な一方、果物にはビタミンCやカロテノイドなど抗酸化物質が多く含まれるなど、栄養素の面でも違いがあります。
スイカの保存方法
夏の定番フルーツ、スイカ。その大きさから保存が難しい食材でもありますが、適切な方法を心掛ければ新鮮な味と食感を長く楽しめます。
丸ごとのスイカは、直射日光を避け風通しの良い涼しい場所に置きましょう。食べる2、3時間前に冷やすと一層おいしくなります。冷蔵庫に入らない場合は、水の張ったボウルやたらいにスイカを入れ、布巾をかぶせて流水をまわしかけて冷やすのがおすすめです。なお、収穫から時間が経つと味が落ちるので、2週間が目安です。
カットした場合は、皮付きなら切り口を乾燥から守るため全体をラップで覆い、野菜室で2、3日保存可能。皮なしは小分けにしてラップやタッパーに入れ、やはり2、3日以内に食べきりましょう。
長期保存するなら冷凍が賢明です。ひと口大に切り、皮と種を取り除いた上で軽く砂糖をまぶし、小分けしてラップ→フリーザーバッグに入れます。この状態で1、2ヶ月日持ちします。完全解凍は食感が落ちるので、凍ったままジェラート化やスムージー、半解凍のシャーベットとして活用するのがおすすめです。
夏バテ予防の味方・スイカを、上手に保存して長く楽しみましょう。
野菜として活用。スイカのおかずレシピ3選
夏の味覚王者スイカは、おいしい甘みと豊富な栄養素で人気の食材。しかし実は、フレッシュな果実感を活かした料理にもなじみます。今回は、スイカ本来の魅力を引き立てた、おかずメニューをご紹介します。
皮の苦味とかつおぶしの風味が見事に調和した、スイカの皮のおかか和え。さっと炙ることで甘みがアップする焼きスイカは、モッツァレラチーズとの相性も抜群です。さらに、スイカのさわやかな甘味をストレートに味わえる、ガスパチョスタイルのスープもおすすめ。
夏のごちそうスイカを、メインやさしあげに活用してみませんか。新鮮な味わいの数々が、食卓を彩ります。
果物として活用。スイカのスイーツレシピ3選
スイカは夏にぴったりの爽やかな味わいで、手軽に素敵なデザートが作れます。まずは、シャリシャリとした食感が楽しめるスイカのグラニテ。スイカのピューレを型に流し込み冷やし固めれば、清涼感あふれる一品の完成です。
次に、ふんわり軽いムース生地にスイカのピューレを合わせたムースケーキ。スポンジ生地の上に重ね、ミントを飾ればしっとり美味しいケーキに。
最後は手軽なスイカのスムージー。スイカの果肉とヨーグルト、はちみつを混ぜるだけで作れ、ミルクなども加えてアレンジを楽しめます。
スイカのショートケーキは、スポンジとスイカを重ね、生クリームを絞って簡単に作れます。ミントの葉を飾ればかわいい一品に。
スイカアイスは、生クリームとコンデンスミルクでまろやかな味わい。チョコチップを加えると食感のアクセントになります。
丸ごとぷるぷるスイカゼリーは、粉ゼラチンと寒天でほどよい歯ごたえに。スイカの甘みを生かした、ホームパーティーにぴったりのデザートです。
夏にはスイカをおいしく食べよう!
スイカは夏を彩る恵み豊かな贈り物です。清涼感あふれる果肉は、ほとんどが水分で構成されており、熱さに侵された体内の水分不足を補ってくれます。さらに、ビタミンCとビタミンB群、食物繊維が豊富に含まれているため、抗酸化作用や疲労回復、便秘解消にも一役買ってくれます。
楽しみ方も多彩で、そのままカットしていただくのはもちろん、ゼリーやスムージーなどの加工品にアレンジするのも格別です。種なしの品種なら、つるりとした食感が堪能できます。鮮やかな赤色は、夏の陽射しに打ち勝つ活力に満ちた気分を味わえそうです。
スイカは野菜の一種でもあり、スープや前菜としても絶品です。アイスクリームやスイーツとしても最高の逸品に仕上がります。この夏は、スイカの多彩な魅力を存分に味わい、その恩恵に預かりながら、楽しい日々を過ごしましょう。
まとめ
スイカには、夏の暑さを乗り越える力がありますね。ジューシーで甘みたっぷりの果汁が体を潤し、ビタミンCなどの栄養素が疲労回復を助けてくれます。最後の1かけらまで、幸せな滋味を味わい尽くしたくなります。子供のころの思い出とともに、今年の夏も心地よい時間を過ごせそうです。スイカ畑で太陽に向かって元気に育った実から、私たちに夏の喜びが運ばれてくるのですから。