バレンタインデー、それは愛とロマンスの象徴として世界中で祝われる特別な日。しかし、その華やかなイメージの裏には、古代ローマ時代にまで遡る意外な歴史が隠されています。実は、バレンタインデーの起源は、愛の女神ではなく、殉教した聖人に由来するとも言われているのです。この記事では、バレンタインデーの起源を深く掘り下げ、この愛の祭典がどのようにして今日の形になったのか、その変遷を辿ります。甘いチョコレートやバラの花に隠された、興味深い物語を一緒に紐解いていきましょう。
バレンタインデーの起源
バレンタインデーの始まりには諸説ありますが、中でも有名なのは、聖バレンタインという名のキリスト教司祭にまつわる物語でしょう。彼は、時の皇帝の禁令を破り、密かに恋人たちの結婚を執り行った罪で処刑されました。その聖バレンタインが命を落とした日が2月14日であり、この日がバレンタインデーとして今日に伝えられています。
イベント化したのは14世紀以降です
バレンタインデーは、もともと聖バレンタインの命日を悼む、宗教的な意味合いを持つ静かな日でした。それがどのようにして恋人たちの守護聖人の日となり、今日のような「愛の日」として祝われるようになったのか、その正確な経緯は明らかではありません。時が経つにつれて、聖バレンタインは愛の象徴として崇められ、恋人たちの間で特別な存在となりました。14世紀の中世ヨーロッパでは、2月14日に恋人たちが贈り物を交換する習慣が広まったと考えられています。さらに、ヨーロッパからの移民によってアメリカにもこの習慣が持ち込まれ、恋人たちが互いにプレゼントを贈り合うという文化が根付いていったとされています。
日本におけるバレンタインデーの歴史
日本では、バレンタインデーは女性から男性へチョコレートを贈る、愛の告白の日として定着しています。バレンタインシーズンが近づくと、店頭には多種多様なチョコレートが並び、プレゼントを選ぶ女性たちの姿で賑わいます。この日本独自のバレンタインデー文化は、どのようにして生まれたのでしょうか。
バレンタインデーの文化は、戦後から始まった
バレンタインデーが日本に登場したのは、第二次世界大戦後の昭和30年代頃のことです。百貨店が「バレンタインセール」と題した広告を新聞に掲載したのが、その始まりとされています。当初の目的は、海外のように恋人や家族、親しい人々が贈り物を交換する習慣を日本に根付かせることでした。しかし、当時はチョコレートではなく、衣服や化粧品などが主な贈り物として想定されていました。また、女性から男性へ贈るという概念もまだ薄かったようです。チョコレートを贈る習慣は、昭和30年代後半から徐々に広まっていきました。この習慣を最初に提唱したとされる企業は複数存在します。特に子供や学生の間で、チョコレートを贈って告白するという習慣が広まったとされています。そして、昭和40年代には、女性が男性にチョコレートを贈るという習慣が確立しました。
ホワイトデーは日本発祥
バレンタインのお返しとして知られるホワイトデーは、欧米には存在しない日本発祥のイベントです。欧米ではバレンタインデーに贈り物を交換する習慣があるため、ホワイトデーのようなお返しの文化はありません。「贈り物にはお返しをする」という日本特有の考え方が、ホワイトデー誕生の背景にあります。洋菓子メーカーが販売促進のためにキャンペーンを展開したことが、ホワイトデーが広まるきっかけになったと言われています。近年では、日本以外にも韓国、中国、台湾といったアジアの一部の国々でもホワイトデーが祝われるようになっています。
日本におけるバレンタインデーの歴史、2000年以降
インターネットの普及は、バレンタインデーの在り方にも変化をもたらしました。海外の習慣が浸透し、今やバレンタインは多様な贈り方をする日へと変わりつつあります。かつては女性から男性へ贈るのが主流でしたが、現在では男性から女性へ、また友人同士で贈り合う「友チョコ」も一般的になりました。海外のように花やジュエリーを贈る人もいますが、日本では依然としてチョコレートがバレンタインの定番ギフトとして高い人気を誇ります。また、オンラインショップの登場により、高級チョコレートも手軽に購入できるようになり、ギフトとしての選択肢も広がっています。