みかん の種類

甘くジューシーなみかんは、日本人にとって冬の風物詩とも言える果物です。しかし、ひとくちにみかんといっても、その種類は豊富で、一つひとつに異なる魅力があります。品種ごとに甘みや酸味、香りや形状が異なるため、自分の好みに合ったみかんを見つける楽しみも広がります。本記事では、代表的なみかんの種類とその特徴を徹底解説し、どのように選ぶべきかのヒントを提供します。これを読めば、あなたもみかん通になれること間違いなしです。

温州みかん

私たちが日常的に「みかん」として親しまれているのが温州みかんです。このみかんは皮を簡単に剥けて食べやすいのが特徴で、主に和歌山県、愛媛県、静岡県で盛んに栽培されています。温州みかんには収穫時期や育て方に応じて多くの品種があります。通常、みかんの旬は冬ですが、「ハウスみかん」は春から夏にかけてが食べ頃となります。

伊予柑(いよかん)

この柑橘は、山口県で初めて発見され、その後愛媛県の地で広く栽培されるようになったことに由来して名づけられました。外皮がやや厚いものの、手で簡単にむけて、みずみずしく甘い味わいが特長です。12月末から市場に出回り始め、最も美味しい旬は1月から3月にかけて訪れます。

清見(きよみ)

オレンジと温州みかんを掛け合わせたユニークな品種です。豊富な果汁が魅力で、甘さと酸味が絶妙に調和しています。皮の質感はオレンジに似ており、手で皮をむくのは少し難しいため、ナイフで切って食べることをお勧めします。主に和歌山県や愛媛県で栽培され、2月から4月にかけて市場に出回ります。

土佐文旦(ぶんたん)

東南アジアに起源を持つ「文旦」は、見た目や味わいがグレープフルーツと非常に似ています。その特徴としてとても大きなサイズがあります。日本では多くの種類が栽培され、中でも高知県の特産品として知られる土佐文旦が有名です。1個あたり400~600g程度で、皮が非常に厚いためむくのが難しいですが、その分満足感があります。ザクザクした食感と、甘さとほろ苦さの絶妙なバランスが魅力です。収穫は2月から1月にかけて行われ、1ヶ月ほど熟成させた後、2月から3月に市場に出回ります。

不知火(シラヌイ)

「不知火」は清見とぽんかんを交配して誕生した柑橘類で、独特の外観を持ちます。特徴的なのは凸凹のある外皮と茎の部分の突起です。手で簡単に皮をむくことができ、中身は非常に甘くてジューシーです。主に熊本県や愛媛県で栽培され、2月から4月にかけて市場に多く出回ります。「デコポン」として知られることもありますが、この名称は熊本県果実農業協同組合連合会(JA熊本果実連)によって商標登録されています。デコポンという名前で出荷するには、特定の基準を満たす必要があります。

ぽんかん

インドが起源でアジアの多くの地域で栽培されている果物ですが、日本においても愛媛県や鹿児島県、高知県で盛んに生産されています。特徴としては、ヘタの部分が少し突き出ていて、底の部分がくぼんでいる形状が挙げられます。不知火の親として広く知られています。ぽんかんは酸味が控えめで甘味が強く、手で簡単に皮がむける品種です。成熟させるための追熟が必要で、11月から12月にかけて収穫され、約1ヶ月の貯蔵を経て、1月から2月に市場に出回ることが一般的です。

河内晩柑(かわちばんかん)

「和製グレープフルーツ」として知られるこの柑橘は熊本県河内町で見つかり、その地名がそのまま名前になっています。皮や果汁の袋は厚いですが、ジューシーで柔らかい果肉が際立ちます。4月から7月の間に旬を迎え、この時期により味が変わるのが魅力です。河内晩柑は地域によって異なる名称で親しまれ、熊本県では「ジューシーオレンジ」、愛媛県では「愛南ゴールド」として流通しています。

日向夏(ひゅうがなつ)

宮崎県が主要な生産地ですが、高知県では「土佐小夏」や「小夏みかん」、また愛媛県や静岡県では「ニューサマーオレンジ」として知られています。日向夏のユニークなポイントは、白い内側の皮を残して味わうことにあります。この白い部分は甘く、果肉のさわやかな味わいとの絶妙なハーモニーを楽しめます。市場には4月から5月にかけて多く出回ります。

八朔(はっさく)

この柑橘類は広島県のあるお寺で発見されたと言われています。その名の由来は、住職が「八朔の頃」に食べられると語ったことに由来します。この果物は、外側の固い皮をナイフで剥き、中の膜を取り除いて食べると美味しくいただけます。果肉の特徴は、シャキシャキとした食感に加えて、甘み、酸味、苦みのバランスが絶妙な点です。和歌山県で多く栽培されており、旬の時期は「八朔の頃」よりかなり遅く、1月中旬から4月頃です。

甘夏

“川野夏橙”(かわのなつだいだい)という正式名称で知られる甘夏は、夏みかんを親に持つ果物です。シャキッとした食感と、ほどよい酸味に加え、爽やかな甘さが特徴です。熊本県、鹿児島県、愛媛県などが主な産地で、2月から6月の間と比較的長い期間にわたって旬を迎えます。

天草(あまくさ)

天草は、清見と温州みかんの「興津早生(おきつわせ)みかん」を掛け合わせ、さらに「ページオレンジ」を加えた品種です。鮮やかなオレンジ色の外皮に包まれ、ジューシーな果肉と豊かな甘味、香りが魅力です。皮が薄く、剝きにくいのでスマイルカットで食べるのがおすすめです。主に大分県や長崎県、愛媛県で栽培され、旬は12月末から2月頃です。

せとか

せとかは、清見にアメリカで誕生した柑橘類、アンコールとマーコットを交配し、2001年に正式に品種登録された新しいカテゴリーのフルーツです。清見、アンコール、マーコットには、温州みかんやオレンジ、マンダリンといった様々な柑橘類が掛け合わされており、これらの品種の魅力を兼ね備えたのがせとかです。口当たりがなめらかで、濃厚な味わいとともにジューシーさが広がり、香りも非常に素晴らしいのが特徴です。主に愛媛県で栽培されており、主に2月から3月に市場に出回ります。

はるみ

不知火と同じように、清見とぽんかんを交配して生まれた品種で、手で簡単にむけることや味わいが温州みかんに似ています。プチプチした食感とプリプリしたジューシーな果肉、そして高い糖度が特徴となっています。はるみは初めは静岡県で栽培されましたが、現在の主な生産地は愛媛県です。また、広島県や和歌山県などでも育てられています。2月から4月頃にかけてが食べごろですが、市場には滅多に出回らない珍しい柑橘としても知られています。

スイートスプリング

「上田温州」と八朔を交配して生まれた新しい柑橘類です。育てるのが難しく生産量が非常に少ないため、市場ではまだ珍しい品種とされています。外観は八朔に似たゴツゴツとした見た目です。しかし、八朔から受け継いだのは食感だけで、味わいには苦みや酸味がなく、繊細な甘さが広がります。主に熊本県で栽培され、1月から2月が旬の時期です。

あすみ

2014年に新たに登録された柑橘の品種です。この果実はスイートスプリングとオレンジを交配し、さらに「はるみ」を取り入れて作られました。果汁がたっぷり含まれ、独特のプチプチした食感が際立っています。外観は温州みかんに似ており、中身の袋もそのまま食べられるのが特徴です。ただし、皮が薄いため少しむきにくいと感じるかもしれません。収穫期は1月下旬から2月上旬ですが、この新品種はまだ流通が限られており、希少性が高いです。

せとみ

不知火やはるみと似たように、清見とぽんかんを交配して作られた山口県独自の品種です。温州みかんよりもやや大きめで、甘さが際立ち、ほどよい酸味と独特の食感が楽しめます。山口県では、せとみの中でも特に糖度や酸度の基準を満たしたものを「ゆめほっぺ」というブランドで提供しています。このブランドの果実は2月下旬から4月にかけて市場に出されます。

はるか

日向夏から自然に交配されて誕生したこの品種は、特に愛媛県や広島県で盛んに生産されています。レモンに似た黄色の外皮を持ち、酸味が少なく、さわやかな甘さが際立ちます。果肉のプリッとした食感と、おしりの部分に見られる独特の環状のへこみが特徴です。半分に切ってスプーンですくって食べたり、ナイフで切れ目を入れてから手軽に皮をむいたりすると、簡単に食べられます。市場には主に2月から3月にかけて出回ります。

西之香(にしのかおり)

西之香は、特別な風味を持つ希少な品種です。その独特の香りと味わいが、多くの人々に愛されています。清見とオレンジを組み合わせたこの種類のフルーツは、オレンジに似た香りと風味があり、上品な甘さが魅力的です。しかし、最も際立つ特徴は、たっぷりとあふれる果汁です。果肉の袋が薄いため、そのまま食べることができます。外皮は手でむくことが可能ですが、もしむきにくい場合は、スマイルカットや半分にカットしてスプーンで楽しむのが推奨されます。主に広島県で栽培され、12月下旬から1月上旬にかけて旬を迎えますが、生産量が少ないため、手に入れるのは難しいでしょう。

甘平(かんぺい)

西之香とぽんかんをかけ合わせて生まれた、新しい柑橘の品種です。この品種は愛媛県のオリジナルであり、他県では栽培されていません。甘平の特徴は、シャキッとした食感と高い糖度にあります。その甘さは、とろけるような濃厚な甘みを持つ「せとか」と並び称されます。皮は手で簡単にむくことができ、薄皮もそのまま食べられるため、とても食べやすいです。旬は2月頃です。

はれひめ

清見とオレンジを掛け合わせた果物に、温州みかんの「宮川早生」を交配した品種です。その外皮はオレンジに似ているため、一見むきにくそうに思われますが、実は簡単にむけて、薄皮もそのまま食べることができます。糖度はそれほど高くはありませんが、酸味が少なく、上品な甘さが特徴です。主に愛媛県で生産されており、旬は12月中旬から1月下旬です。

みかんのバリエーション

「とびきり甘いみかんを味わいたい!」という人には、次のみかんを選ぶのがおすすめです。・温州みかん(ハウスみかん)・あすみ・甘平・せとか・不知火これらのみかんは、糖度が13~14度ほどあります。一般的な温州みかんは糖度が10~11度くらいとされているので、13度を超えるこれらの品種は特別甘いといえるでしょう。

爽やかな風味のバリエーション

甘いみかんの魅力もありますが、さっぱりした風味を好む方もいるでしょう。そのような方には次のみかんをおすすめします。・甘夏・はっさく・文旦これらは温州みかんと似た糖度ですが、酸味も含むため爽やかな味わいが楽しめます。酸味と甘みのバランスが優れているからこそ、特に美味しく感じられるのです。

簡単に皮がむけるタイプ

手軽に食べたいみかんを選ぶ際には、味だけでなくその皮のむきやすさも考慮に入れることが重要です。むきやすいみかんの種類は以下のようになります。・温州みかん・はるみ・はれひめ・甘平・不知火皮が簡単にむけると、ナイフやまな板といった調理器具を使わずに済み、洗い物の手間が省けるだけでなく、手を汚すことも少なくなりますね。

みかんの主要生産地と人気ブランド

日本各地には、和歌山、愛媛、静岡、熊本、長崎などを代表とするみかんの一大生産地があります。これらの地域では、名高いブランドのみかんが育てられているのです。・和歌山県では有田みかん、木熟みかん、下津蔵出しみかんが有名です。・愛媛県は愛媛みかんや西宇和みかん、そして甘平が特に知られています。・静岡県では三ヶ日みかんが主力です。・熊本県からは河内みかんや夢の恵、デコポンが供給されています。・長崎県からは出島の華や味っ子、味まるといった名品があります。ぜひ、このような高品質のみかんを一度手に取ってみることをお勧めします。

様々な品種のみかんを楽しもう

温州みかんを含む多様なみかんは、数多くの品種が存在しています。生産地では、さらに美味しくて食べやすいみかんを作るために、絶え間ない研究が行われています。新しい品種については、入手が難しいものもありますが、いくつかの種類を試してその美味しさをぜひ体験してみてください。

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