焼く、煮る、炒める、揚げるなど、多彩な調理法で楽しめる万能野菜「ナス」。毎日の食卓に欠かせない存在、というご家庭も多いのではないでしょうか。この記事では、身近な野菜「ナス」について、意外と知らない特徴や品種、さらに美味しく食べるための方法や保存方法まで、詳しく解説していきます。家庭料理で活躍する代表的なナスから、地域で愛される特産ナスまで、それぞれの特徴、産地、おすすめの食べ方を徹底的にご紹介。ナスの新たな魅力を発見できるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
改めて知る「ナス」という野菜
ナスは、ナス科ナス属に分類される一年生の植物で、原産地はインドです。その特徴は、何と言っても水分をたっぷり含んだ、みずみずしい食感。日本へは奈良時代に伝わったとされ、当時は「なすび」と呼ばれていたそうです。この呼び名は、今でも地域によっては使われていますね。
旬は夏ですが、現在では一般的な品種を中心にハウス栽培が盛んに行われており、産地をリレーしながら一年を通して市場に出回ります。いつでも手軽に楽しめるのが嬉しいポイントです。
ちなみに、日本でよく見かけるのは濃い紫色のナスですが、原産地のインド周辺、東南アジアなどでは、白や緑色のナスが一般的です。近年、日本でも様々な品種のナスが栽培されるようになり、珍しい色合いのナスも目にすることが増えてきました。

バラエティ豊かなナスの世界
ナスは世界中で広く栽培されており、その品種は非常に多彩です。日本国内にも地域に根ざした在来種や伝統野菜が数多く存在し、少なくとも20種類以上の長ナス系品種が各地で受け継がれています。特に新潟県では、地域ごとに異なる品種が20種以上記録されている例もあるなど、地方ごとに特徴的なナスが育まれてきました。
世界に目を向けると、ナス類の遺伝資源として約1万9,000件もの系統が国際的な植物遺伝資源機関などに保存されており、品種や系統の多様性がうかがえます。これらは食文化や栽培環境に応じて、それぞれ異なる形状や色、風味を持って進化してきました。
市場でよく見かける品種
日本の市場では、形や大きさ、色合いの違いによってさまざまなナスが流通しています。ここでは、特に代表的な品種をご紹介します。
賀茂なす
京野菜として知られ、直径10cmを超える丸い形が特徴です。手に持つとずっしりとした重みがあり、煮崩れしにくいのも魅力。なめらかな舌触りと、しっかりした食感、上品な甘みとコクが楽しめます。京都では味噌田楽として親しまれていますが、揚げ物や煮物など、幅広い料理に活用できます。
泉州水なす
大阪・泉州地域の特産で、ふっくらとした丸みのある見た目が印象的。薄くやわらかな皮と、あふれるほどの水分量が特徴で、ほんのり甘みのあるみずみずしさを楽しめます。アクが少なく、生でも美味しく食べられるため、浅漬けやサラダにもぴったりです。 ※『泉州水なす』は「大阪泉州農業協同組合」「いずみの農業協同組合」の登録商標です。
熊本赤なす(ヒゴムラサキ)
宮崎県の伝統品種「佐土原なす」をルーツに持ち、「熊本長なす」とも呼ばれています。改良品種「ヒゴムラサキ」は、30cmを超える長さや300gを超える重さに成長することも。水分を豊富に含み、焼きなすなどシンプルな調理で素材の味を引き立てるのが最適です。
青なす
緑色の果皮を持つナスの総称で、全国各地で栽培されています。紫色のナスに含まれるアントシアニン色素(ナスニン)をほとんど含まないため、見た目が大きく異なります。「翡翠なす」「緑なす」などの別名もあります。皮はややしっかりしていますが、加熱すると果肉がとろけるようにやわらかくなり、田楽やグラタンなどの加熱料理に適しています。漬物にはあまり向きません。
白なす
アントシアニンを含まず、果皮が白く、ヘタは緑色をしています。主にヨーロッパ系の品種で、「越後白なす」「ホワイトベル」「味しらかわ」などが代表的。加熱するととろけるような舌触りになるため、揚げ物や煮物におすすめです。その食感から「とろなす」とも呼ばれることがあります。
ゼブラなす
イタリア生まれのナスで、紫と白の縞模様が特徴的。「カプリス」や「フェアリーテイル」など、サイズや形状の異なる品種があります。皮と果肉がしっかりしていて、煮崩れしにくいのが特長。生食や漬物には向きませんが、ラタトゥイユや焼きなすなど、煮込み料理や加熱調理にぴったりです。
ローザビアンカ
イタリア原産の丸なすで、「ロッサビアンカ」とも呼ばれます。淡い紫と白が混ざったやわらかな色合いと、縦に入る筋模様が特徴。厚めに輪切りして焼いたり、フライにしたりすると、加熱後にはとろけるようななめらかな食感に。漬物よりも、加熱して楽しむのがおすすめです。
なすはアク抜きは必須?
なすにはアクが含まれていますが、これはポリフェノールの一種であり、体に害のあるものではありません。そのため、必ずしもアク抜きをする必要はありません。また、加熱調理する際は、水にさらさなくてもアク特有の渋みを抑えることができます。油を使わない調理の場合や、切った後すぐに調理しない場合は、渋みや変色を抑えるために水にさらすと良いでしょう。アクの少ない品種もあるため、仕上がりの色味を重視する場合は、そのような品種を選ぶのもおすすめです。
おすすめの保存方法
ナスを長持ちさせるには、適切な保存方法が重要です。新聞紙やキッチンペーパーなどで丁寧に包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管しましょう。ナスは冷気に弱いため、冷蔵庫の冷気が直接当たらないようにするのがポイントです。原産地のインドに由来するナスの性質として、高温多湿には強い一方、低温や乾燥には弱いという特徴があります。冷蔵庫内は一般的に5℃以下に設定されているため、ナスを保存すると低温障害を起こす可能性があります。野菜室で保存し、できるだけ早く使い切るようにしましょう。
なすのおいしい食べ方
ナスは調理法によって様々な食感を楽しめる野菜です。水分を多く含むため、グリルやオーブンで焼くと、とろけるような食感になります。麻婆茄子のような炒め物もおすすめです。また、ラタトゥイユやカレーなどの煮込み料理にも適しています。油との相性が非常に良く、天ぷらや揚げ浸しなどの揚げ物も絶品です。特に水ナスは、手で割いて生のまま味噌を付けても美味しくいただけます。この後、おすすめのレシピをご紹介しますので、ぜひお試しください。

なすで作る簡単でおいしいレシピをご紹介!
ここからは、ナスを使った簡単でおいしいレシピをご紹介します。ご飯が進む味噌炒めや、素材の味を活かしたナスステーキ、さっぱりといただける南蛮漬けなど、バラエティ豊かなレシピを厳選しました。どれも手軽に作れるものばかりですので、いつもの食卓にナス料理を加えてみてはいかがでしょうか。
ナスと豚ひき肉の味噌炒め
ご飯が進む定番おかず! コクのある味噌だれとナスの相性は抜群。豚ひき肉を使えば短時間で旨みたっぷりのおかずに仕上がります。
材料(2人分)
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長ナス…2本
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豚ひき肉…150g
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ごま油…大さじ1
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味噌…大さじ1と1/2
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みりん…大さじ1
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醤油…小さじ1
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砂糖…小さじ1
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水…大さじ2
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おろし生姜…少々(お好みで)
作り方
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ナスは縦半分に切り、さらに斜め切りにする。
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フライパンにごま油を熱し、ナスを炒めてしんなりさせる。
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豚ひき肉を加えて炒め合わせ、火が通ったら調味料を加えて炒め煮する。
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全体に味がなじんだら完成!
ナスステーキ しょうゆバター風味
シンプルながら素材の旨みが際立つ一品 厚切りのナスをじっくり焼き、しょうゆとバターの香ばしさをまとわせたステーキは、箸が止まらないおいしさです。
材料(2人分)
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長ナス…1~2本
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サラダ油…大さじ1
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バター…10g
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醤油…小さじ2
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こしょう…少々
作り方
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ナスは1.5cmほどの輪切りにし、軽く水にさらしてアクを抜く。
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フライパンに油を熱し、ナスの両面をじっくり焼く。
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バターと醤油を加えて絡め、最後にこしょうで味を調える。
ナスの南蛮漬け
冷やしても美味しい、夏にぴったりのさっぱりおかず 揚げたナスに甘酸っぱい南蛮だれが染み込み、ごはんのお供にも副菜にもぴったりです。
材料(2人分)
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長ナス…2本
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サラダ油(揚げ油)…適量
南蛮だれ
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酢…大さじ3
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醤油…大さじ2
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砂糖…大さじ1
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水…大さじ2
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赤唐辛子(輪切り)…少々(お好みで)
作り方
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ナスは縦半分に切り、さらに斜めに切って水にさらす。
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水気をふき取り、170℃の油で揚げる。
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南蛮だれの材料をバットなどに混ぜ、揚げたナスを熱いうちに漬け込む。
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粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やし、味を染み込ませて完成。
まとめ
この記事では、茄子の特徴や様々な品種、上手な保存方法に加え、茄子を使った手軽に作れるおかずのレシピをご紹介しました。茄子は、どんな料理にも合わせやすい万能な野菜です。品種によって適した調理方法が異なるため、茄子を選ぶ際には、今回ご紹介した特徴を参考に、色々な茄子料理に挑戦してみてください。
茄子はアク抜きをした方が良いのでしょうか?
茄子に含まれるアクの正体はポリフェノールの一種であり、身体に悪い影響はないため、必ずアク抜きをしなければならないというわけではありません。加熱調理をする際は、アクの渋みが自然と抑えられます。しかし、油を使わない調理法や、切ってからすぐに調理しない場合は、変色やくすみを防ぐために、水にさらすことを推奨します。アクが少ない品種を選べば、より美しく仕上がります。
茄子の最適な保存方法とは?
茄子は一つずつ新聞紙やキッチンペーパーで包み、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存するのがベストです。茄子はインドが原産であるため、高温多湿な環境に強く、低温乾燥には弱いという性質を持っています。通常の冷蔵室(5℃以下)に直接入れると低温障害を起こすことがあるため、少し温度が高めに設定されている野菜室で保存し、なるべく早く使い切るようにしましょう。
茄子の旬はいつ?
茄子は本来、夏が旬の野菜です。しかし、近年のハウス栽培技術の進歩と、様々な産地での栽培により、一年を通して市場に出回るようになりました。そのため、旬を気にせずいつでも美味しい茄子を味わうことが可能です。
茄子の種類と特徴
日本国内には約200種類もの茄子の品種が存在すると言われています。世界に目を向ければ、その数は1000種類を超えるとも。代表的なものとしては、一般的な中長茄子をはじめ、京都の伝統野菜である賀茂茄子、大阪府の泉州水茄子、熊本県産の赤茄子、香川県の三豊茄子、京山科茄子などがあります。他にも、皮が緑色の青茄子や、珍しい白い白茄子、縞模様が美しいゼブラ茄子、イタリア原産のローザビアンカなど、形、味わい、適した調理法など、それぞれに異なる特徴を持つ多種多様な品種があります。
茄子を使ったおすすめ料理
茄子は水分が多く、加熱するととろけるような食感が特徴です。そのため、グリルやオーブンで焼いたり、麻婆茄子のような炒め物にするのがおすすめです。また、ラタトゥイユやカレーなどの煮込み料理にもよく合います。油との相性が非常に良いので、天ぷらや揚げ浸しなどの揚げ物も美味しくいただけます。アクが少なく生で食べられる泉州水茄子などは、サラダや漬物としていただくのも良いでしょう。