甘い香りに誘われて、一口食べれば心まで満たされるケーキ。この魅惑的なデザートは、世界各地で独自の進化を遂げ、多彩なバリエーションが存在します。異文化が交わる中で誕生したケーキの数々を探求し、その豊かな歴史と特長を紐解いてみませんか?フランスのエレガントなオペラケーキから、日本のふわふわなスフレチーズケーキまで、世界の離れた地域に根付く個性的なケーキの世界へとご案内いたします。さあ、甘い冒険の始まりです。
ケーキのバラエティ|特徴や名前の歴史を知ってデザートタイムを満喫しよう
さまざまな形や風味で私たちを魅了するスイーツの世界、ケーキ。
ここでは、材料や作り方の違いから生まれるケーキのバリエーションについて詳しくご紹介します。
その特徴や背景に触れることで、ケーキを楽しむひとときがより豊かになります。
ぜひ、奥深いケーキの世界を探ってみましょう。
スポンジケーキカテゴリー
スポンジケーキとは、その名の通り、軽やかなスポンジ生地をベースとしたケーキの一種です。
この生地には、卵白と卵黄を分けて泡立てる「ビスキュイ生地」と、卵白と卵黄を一緒に泡立てる「ジェノワーズ生地」の2種類があります。
ビスキュイ生地は、さらに空気を含んでいるため、柔らかくて軽やかな食感が特徴です。一方、ジェノワーズ生地は、程良いしっとり感と柔らかさを持っています。

ストロベリーケーキ
ふわふわのスポンジにたっぷりの生クリームを施し、その上に苺を飾ったショートケーキ。
日本ではこのタイプのケーキがショートケーキとして広く認知されていますが、海外のバージョンは生地や見た目が異なることがよくあります。
「ショート」の語源には、英語で「サクサクした」という意味の「short」、もしくはケーキ作りで使用する油脂の「ショートニング」など、さまざまな説が存在します。
シフォンケーキ
中央に開いた丸い穴と高さが目を引くシフォンケーキ。
芯までしっかりと熱が行き渡るよう、中心に円柱状の筒を使った型で焼き上げます。
シフォンという言葉は、軽く柔らかい絹織物に由来し、その軽やかな食感を表しています。
ロールケーキ
薄いスポンジにクリームとフルーツを重ねて巻き付けたのがロールケーキです。
カットすることで、中に詰まったクリームと色とりどりのフルーツが見えるという独自の楽しみ方があります。
Mont Blanc
ロール状に整えたクリームやペーストをドーム型にあしらったモンブラン。
一般的には栗が主役ですが、実際にはその独自のフォルムがモンブランの真髄です。
このデザートの名前は、フランスとイタリアの国境にある「モン・ブラン」という山から取られており、クリームとペーストでその山の形状を表現します。
タルトバリエーション
タルトは、ザクザクとした生地の中にクリームやフルーツを詰め込んだ円形のスイーツです。
この菓子には、まず生地を焼いてから中身を詰める方法と、生地と一緒に中身を調理する方法の二種類があります。
果物のタルト
サクサクのタルト生地に、カスタードやチーズのクリームを詰め込んで、フレッシュなフルーツで彩られたフルーツタルト。
季節に合わせた旬のフルーツをふんだんに使用したり、多種多様なフルーツを盛り込んだりと、その時々の特徴があります。
多くの場合、透明で輝くジュレのナパージュで表面が覆われており、そのツヤが食欲をさらに引き立てます。
エッグタルトの魅力
エッグタルトは卵黄が豊富なカスタードクリームを詰めて焼き上げた、小さなタルトです。
このお菓子はポルトガルで生まれ、その後マカオや台湾で独自の進化を遂げました。アジア各地ではタルト生地が一般的ですが、ポルトガルではより柔らかいパイ生地が使用されます。
パイの種類
サクサクとした軽やかな生地がパイの特徴です。
パイとタルトは同じ材料を用いて似た形に仕上げられますが、生地の製法が異なっています。
タルトでは、小麦粉と卵黄、バターを混ぜ合わせた「練り込み生地」が主に使われ、一方パイは小麦粉の生地にバターを層状に折り込む「折り込み生地」が用いられます。
その結果、タルトは少し歯ごたえのあるザクザクした食感に、パイは柔らかく崩れやすい食感になります。
リンゴのパイ
ジューシーなリンゴの甘酸っぱさと、パリっとしたパイ生地の組み合わせが絶妙なアップルパイ。
リンゴの上にパイ生地を細く編みこんで格子模様を作るのがクラシックな方法で、パイ生地を上に重ねるのがパイとタルトを区別する要素の一つでもあります。
層を重ねたミルフィーユ
幾重にも重ねられたパイ生地とクリームが、味覚も視覚も楽しませてくれるミルフィーユ。
このデザート名はフランス語の「mille(千)」と「feuille(葉)」を組み合わせたもの。生地が重なり合った姿が、まるで「千枚の葉」のようだと例えられています。
バターをたっぷり使ったケーキの種類
バターケーキは、デコレーションに頼らず、焼き上げた生地そのもので楽しむ素朴なケーキです。
豊富なバターを用いた生地に、ドライフルーツやチョコチップを加えるだけで簡単に作れるため、家庭での手作りにも最適です。
しっとりケーキ
濃厚なバターの香りと絶妙な柔らかさ、しっとりとした食感が楽しめるパウンドケーキ。
小麦粉、バター、卵、砂糖をそれぞれ1ポンドずつ使用することに由来して、この名が付けられたとされています。
昔ながらのパウンドケーキは、これら4つの基本材料だけで作られるものでしたが、現在ではドライフルーツやレモンを加えたバリエーション豊かなレシピが登場しています。
マフィンについて
いろいろな味を楽しめ、小腹が空いた時に最適なボリュームを持つマフィン。
名前の起源には複数の説があり、ドイツ語の「小さなケーキ」を示す「muffen」や、フランス語で「柔らかいパン」を意味する「mouffin」「moufflet」が有力とされています。
ブランデーが香るケーキ
ブランデーケーキは、ブランデーが香るパウンドケーキの一種です。
一般的には、焼き上がったケーキにブランデーをハケで塗りますが、ブランデーで漬けたフルーツを加えたり、焼き上げた後にケーキをブランデーに浸け込む方法も試されています。
さらに、カステラにラム酒や日本酒を組み合わせた新しい洋酒ケーキ(日本酒ケーキ)もいくつか登場しています。
シュークリームのバリエーション
シューは焼き上げると中が空になる生地で、その空間にクリームを詰めます。
「シュー」はフランス語で「キャベツ」を意味し、その丸い形状がキャベツを連想させることからその名が付けられました。
クリームパフ
ふんわりした生地にたっぷり詰まったカスタードクリームやホイップクリームが特徴のシュークリーム。
フランス語で「Chou à la crème(シュー・ア・ラ・クレーム)」として知られていますが、明治時代に日本に伝わった際に、発音しやすいように「シュークリーム」という和製英語が作られたと言われています。
シュークリームの一種、エクレア
エクレアは、シュー生地にクリームを詰めチョコレートをかけた、細長いケーキです。
フランスではこれを「Éclair(エクレーァ)」と呼び、「稲妻(雷)」を意味します。由来には、シュー生地のひびが稲妻を思わせる、チョコレートの光沢が稲妻を連想させる、クリームがこぼれないよう急いで食べる必要がある、など様々な説があります。
チョコレートバリエーション
チョコレートは多くのケーキの中で特に愛される味で、スポンジタイプのケーキに限らず、多様な種類のチョコレートケーキが存在します。
しっとり濃厚なガトーショコラ
ガトーショコラはフランス語で「Gâteau au chocolat」と書かれ、直訳すると「チョコレートケーキ」という意味になります。
日本では、内部までしっかりと火が通ったふわふわのガトーショコラが一般的ですが、フランスでは中心部をやや残してしっとりとした食感に仕上げることがよくあります。
チョコレートブラウニー
ブラウニーはアメリカで生まれたチョコレートケーキです。
手軽に手で食べられるように四角くカットされています。
その名は「browny」という言葉に由来し、茶色を指しています。
トロトロショコラデザート
加熱されたままで出され、ナイフを入れると中から流れるようにチョコレートソースが溢れ出るフォンダンショコラ。
冷たいアイスクリームとの組み合わせが抜群で、アイスが付いてくることもしばしばです。
「フォンダン」はフランス語で「溶ける」という意味があり、このケーキの魅力はまさにその流れるようなチョコレートソースにあります。
チーズカテゴリー
控えめな甘さのチーズ系が好評を博しており、多種多様な種類のチーズケーキが創り出されています。
珍しいチーズケーキ
レアチーズケーキは、オーブンを使わずに作る種類のチーズケーキです。
白いチーズを使い、クリーミーさとさっぱり感の絶妙な調和が特徴です。
実際、「レアチーズケーキ」という名称は和製英語であり、「レア」は肉の内部を完全に火を通さない状態を指す「rare」に由来します。英語では「unbaked cheesecake」または「no-bake cheesecake」と呼ばれます。
焼きチーズケーキ
ベイクドチーズケーキは焼いて仕上げるデザートです。
チーズケーキには焼くものと冷やして作るものがあり、焼くタイプのバリエーションは多彩です。
スペインのバスク地方発祥のバスクチーズケーキや、アメリカのニューヨークで生まれたニューヨークチーズケーキも焼くタイプに含まれます。
スフレチーズケーキの魅力
スフレチーズケーキは、卵白を泡立ててからメレンゲにし、それを生地に混ぜ合わせて焼き上げます。
軽やかで口の中でとろけるような独自のふわふわとした食感が魅力です。
この「スフレ」という言葉は、フランス語で「膨らんだ」という意味を持つ「souffle」に由来しますが、このチーズケーキは実は日本で誕生したジャパニーズチーズケーキなのです。