リンゴの産地として名高い青森県の中でも、つがるリンゴはひときわ魅力的な果実です。その特徴は、口に含んだ瞬間に広がる甘さと、後から感じる爽やかな酸味の絶妙なハーモニー。このバランスが他のリンゴにはない独特の風味を生み出し、多くのリンゴ愛好者を魅了しています。ここでは、つがるリンゴが持つその深い魅力と、美味しさの理由について解説します。
つがるの特性
「つがる」は青森県のりんご試験場で生まれた品種で、親は「ゴールデンデリシャス」と「紅玉」です。その交雑は1930年に行われ、約40年後に高品質が評価され、1975年に「つがる」という名前が正式に付けられました。市場では「津軽」と書かれることもあります。早生種で、8月に収穫されるこのりんごは、約300gの重さがあります。果肉はしっかりしており、果汁が豊富で、シャキシャキとした食感が楽しめます。「紅玉」の酸味の強さを引き継いでいますが、つがるの酸味は穏やかで、甘味とのバランスが良く、風味に優れています。つがるには袋をかけて栽培する有袋栽培のものと、「サンつがる」として袋をかけずに育てたものがあります。無袋栽培のサンつがるは、色がやや薄いことがありますが、太陽の光をたくさん浴びることで甘味が増すと言われています。
つがるの選び方と見極め方
しっかりと色づいていて、持ったときに重さを感じるものが良い品質です。つがるはりんごの早めのシーズンに市場に出回るため、色が薄めのものもあります。たとえ赤が濃くなくても、底の部分が黄色っぽくなっていれば熟している証拠なので、この点を確認しましょう。果汁をたっぷり含むものは重さに感じられるので、同じサイズなら重めのものがおすすめです。また、つがるの皮が多少ベタつくこともありますが、これは熟している証です。
つがるを保存するための方法
食品を保管する際は、まず新聞紙で包み、さらにポリ袋に入れる方法が良いです。これを行う際には、冷暗所か冷蔵庫の野菜室のような涼しい場所で保存することをおすすめします。特に、つがるは気温が高い時期に販売されることが多く、室温では迅速に鮮度が落ちる可能性があります。そのため、より長持ちさせたい場合は冷蔵保存を選ぶのが賢明です。注意が必要なのは、袋がけをしていないサンつがるです。この種類は有袋栽培のものよりも保存性に欠ける点を考慮してください。大量に購入したときやたくさんのつがるを保管する場合、少し手間がかかりますが、一つ一つを新聞紙で包むことを推奨します。つがるはエチレンガスの放出量がやや多いため、これによりお互いの影響を緩和できます。
つがるの楽しみ方
スムージーやジャム、りんごバター、コンポートなどに加工することも可能です。ジャムに加工すると長く保存でき、トーストやヨーグルトに活用できるので便利です。コンポートは冷やしてそのままデザートとして楽しむことができ、アップルパイやタルトの材料としても利用できます。生で食べる場合、皮ごと食べることでより多くの栄養素を摂取できます。皮にはポリフェノールや食物繊維が豊富に含まれています。つがるは皮がツヤツヤしているので、「リンゴウサギ」の形にカットし、見た目も楽しむことができおすすめです。
つがるのシーズンと出荷時期と主な生産地
つがるは8月から10月にかけてが旬で、特に9月が一番の出荷時期です。2022年の "つがる" の生産で最大の貢献をしたのは青森県で、収穫量はおよそ44,100トンです。次いで、長野県が約22,500トン、岩手県が約4,550トンと続いています。