熱帯果樹とは、熱帯気候に生育する果物の木を指します。代表的な熱帯果樹には、マンゴー、アボカド、スターフルーツ、アテモヤ、レンブ、島バナナ、グアバ、インドナツメ、カーブチー、ジャボチカバなどがあります。これらの果物は一般的に日本ではあまり見かけませんが、沖縄などの特定の地域で栽培されていることもあります。特に、ドリアン、マンゴー、マンゴスチンの三大熱帯果樹は、世界中で高い評価を受けており、愛され続けているフルーツです。

熱帯果樹の多くは、インドやタイなどの東南アジア、メキシコ南部やブラジルの南米、アフリカなど、熱帯地域に原産します。しかし、近年の品種改良やテクノロジーの進化により、さまざまな地域でも熱帯果樹の栽培が可能になっています。日本では沖縄県を中心に、宮崎県や鹿児島県でもマンゴーやアボカドなどが栽培されています。また、ハウス栽培によって、北海道など寒冷地域でも熱帯果樹の栽培が試みられています。

日本に導入されている熱帯果樹の種類は非常に多く、米本仁巳氏の著書『熱帯果樹の栽培 完熟果をつくる・楽しむ28種』によれば、134種類が紹介されています。さらに、世界の食物史大辞典には約250種の熱帯果樹が掲載されており、アマゾンなどには未発見の果物がまだ存在すると言われています。熱帯果樹の多様性は非常に豊かで、さまざまな種類のフルーツが楽しめます。

熱帯果樹にはいくつかの特徴があります。まず、1年中葉を付けており、冬でもかん水が必要です。乾燥ストレスが花芽形成を促進し、発芽が不揃いで開花期間が長いのも特徴です。また、多くの熱帯果樹は追熟させることで美味しさが増します。これらの特徴は、熱帯の気候に適応するために進化したものです。

温帯果樹とは、リンゴやモモ、カキなどの果物を指し、寒冷期に葉を落とす特徴があります。この落葉によって、樹木は冬の間に老廃物をリセットし、病害虫も自然に除去されます。翌春には新しい葉をつけて果実を作るため、温帯果樹は落葉果樹とも呼ばれます。

熱帯果樹と温帯果樹の大きな違いは、「自発休眠」の有無です。温帯果樹は寒冷期に自発休眠を行い、一定の低温に遭わないと発芽しません。これは、樹木がエネルギーを温存し、翌春に備えるための自然の調整機能です。一方、熱帯果樹は一年中葉を保持し、冬の間もかん水や病害虫対策が必要です。これにより、熱帯果樹の管理は手間がかかりますが、葉の状態や害虫の動きから適切な対策を考えるのが楽しい部分でもあります。

熱帯果樹は、豊かな風味とユニークな栽培条件で多くの人々に愛されています。インドやタイなどの熱帯地域に原産するこれらの果物は、技術の進歩により、さまざまな地域でも栽培が可能になっています。日本でも沖縄や宮崎などで栽培される熱帯果樹は、独特の風味と栽培の楽しさを提供しています。一方、温帯果樹とは異なり、熱帯果樹は一年中葉を保ち、常に管理が必要です。この違いを理解することで、熱帯果樹の魅力とその栽培の面白さをより深く知ることができるでしょう。