家庭菜園の定番、真っ赤な実が魅力のトマトですが、栽培中に葉の異変に気づくことはありませんか?葉に現れる斑点、変色、奇妙な形状変化…これらはトマトが病気に侵されているサインかもしれません。病気を放置すると、せっかく育てたトマトの収穫量が激減することも。この記事では、トマトの葉に現れる症状別に、考えられる病気の種類と、その原因、具体的な対策を徹底解説します。早期発見と適切な対処で、病気に負けず、美味しいトマトをたくさん収穫しましょう!
トマトの病気:栽培前に知っておきたい基礎知識
家庭菜園で親しまれているトマトですが、病害虫の被害は避けられません。特にトマトの病気は、葉、茎、実に様々な兆候が現れ、収穫に悪影響を及ぼします。ここでは、トマトの葉に発生するシミや変色、奇形など、症状別に病の種類と対応策を詳しく説明します。早期に見つけて適切に対処し、元気なトマトを育てましょう。
トマトの葉の病気:症状から原因を特定し対策を講じる
トマトの葉にいつもと違う様子が見られたら、病気の兆候かもしれません。シミ、退色、変形など、症状によって考えられる病気が違います。それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。
葉にシミが発生した場合の病気
トマトの葉にシミができた場合、その色や形が病気を特定するヒントになります。ここでは、葉にシミが見られるときに考えられる代表的な病気と、その対策をご紹介します。
葉の斑点病:茶色い小さな点から穴あき症状へ
葉の斑点病は、葉の裏に小さな茶色の点々が現れるのが特徴です。最初は下の方の葉に発生し、徐々に上の葉にも広がります。斑点は次第に大きくなり、真ん中に穴が開くこともあります。そのままにしておくと葉が落ちてしまい、周囲の葉にも感染が拡大する恐れがあるため、早期発見と対策が大切です。
原因: 糸状菌(カビ)が原因であり、雨や夜露によって葉の気孔や傷口から侵入します。病気になった葉に作られた胞子が風に乗って飛び散り、感染を広げていきます。
対策:
- 予防: 苗を育てる容器やハサミなどを消毒し、苦土石灰を施すことが効果的です。
- 発病後: 発生初期に薬剤を使用し、病気にかかった葉は全て取り除いてください。畑の排水性と風通しを良くし、肥料は適切な量を施しましょう。
黒斑細菌病:葉に現れる黒褐色の斑点と黄色の輪郭
黒斑細菌病は、葉や茎に多数の小さな黒褐色の斑点が現れ、その周囲が黄色っぽくなるのが特徴です。これらの斑点は葉のふちに沿って発生しやすく、時には果実の付け根部分にも見られます。特に、雨の多い時期や湿度が高い環境下で発生しやすい病害です。
原因:原因となるのは細菌であり、雨が続く時期や湿度が高い状態が続くと発生のリスクが高まります。
対策:
- 予防:苗を育てるための容器や使用する道具は常に清潔に保ちましょう。葉が濡れている状態で芽かきや収穫作業を行うと、傷口から細菌が侵入する可能性があるため、避けるようにしましょう。
- 発病後:病気が発生した株は、速やかに取り除き、周囲への感染拡大を防ぐことが重要です。
葉の色の変化でわかる病気
トマトの葉の色が変わる場合、その色や変化のパターンによって、どの病気にかかっているかをある程度特定できます。ここでは、葉の色を変色させる代表的な病気と、その対策について解説します。
うどんこ病:葉全体を覆う白い粉状のもの
うどんこ病は、葉の表面に白い粉をかけたような状態になるのが特徴的な病気です。初期段階では葉がうっすらと白くなる程度ですが、病状が進行すると葉全体が白いカビに覆われてしまいます。カビが繁殖すると、植物の光合成が妨げられ、生育が悪くなり、最終的には枯れてしまうこともあります。
原因:糸状菌(カビ)が原因であり、株が弱っている状態や乾燥した環境で発生しやすくなります。空気感染によって広がる性質があります。
対策:
- 予防:定期的な肥料や薬剤の散布によって、うどんこ病を予防することができます。
- 発病後:病気が発生した部分を早めに取り除き、適切な薬剤を散布することが効果的です。
モザイク病:葉に現れるまだら模様
モザイク病は、葉や花びらにモザイク状の濃淡のあるまだら模様が現れるのが特徴です。葉の縮れや黄化、そばかすのような斑点が見られることもあります。モザイク病には根本的な治療法がないため、被害が広がらないように早期の対処が不可欠です。
原因:主にアブラムシやコナジラミなどの害虫がウイルスを媒介し、感染を引き起こします。
対策:
- 予防:アブラムシが嫌うシルバーテープを利用したり、防虫ネットを設置するなどして、アブラムシの侵入を効果的に防ぎましょう。
- 発病後:薬剤を散布してアブラムシを徹底的に駆除し、病気が発生した株は速やかに取り除くことが重要です。
灰色かび病:褐色の斑点と灰色のカビ
灰色かび病は、トマトの葉、茎、果実など、あらゆる部分に発生する可能性があります。葉に発生した場合、特徴的なのは、褐色で大きめの楕円形の斑点です。茎に発生すると、暗褐色でやはり楕円形の病斑が現れます。病状が進行すると、これらの患部に灰色のカビが発生し、最終的にはその部分が枯れてしまうことがあります。果実への被害も深刻で、進行すると落果したり、腐敗したりする原因となります。
原因:原因は糸状菌、いわゆるカビです。特に低温で多湿な環境を好んで発生します。カビは、落ち葉や土の中に潜んでおり、植物の傷口から侵入したり、既に病気にかかっている作物から胞子が飛散して感染を広げたりします。
対策:
- 予防:風通しを良くし、過剰な水やりを避けることで、湿度の上昇を抑えることが重要です。
- 発病後:病変が見られる部分は、速やかに除去します。薬剤を使用する場合は、薬剤耐性が生じるのを防ぐため、複数の種類の薬剤を交互に使用することを推奨します。
軟腐病:悪臭を伴うドロドロの腐敗
軟腐病は、トマトの葉、茎、根、果実など、広範囲にわたって症状が現れる厄介な病気です。初期段階では、黒色で水を含んだような病斑が現れ、病気が進行するにつれて茎の内部がドロドロに腐敗し、最終的には株全体が枯れてしまいます。また、発病した部位からは、鼻をつくような強い悪臭が放たれるのも特徴の一つです。
原因:原因は細菌です。雨などによって土壌中の細菌が跳ね上げられ、茎に付着したり、植物の傷口から侵入したりすることで発生します。
対策:
- 予防:土壌の排水性を向上させ、病原菌の繁殖を抑制することが重要です。
- 発病後:感染した株は速やかに除去し、周囲への感染を防ぎます。
萎凋病:葉が黄色く変色し、しおれる
萎凋病の最も顕著な特徴は、葉が黄色っぽく変色することです。しかし、変色に先立って、葉が日中にしおれ、夜間には回復するという症状を繰り返すため、葉の状態を注意深く観察することで、早期発見につながることがあります。発病すると、植物の成長が停滞し、実がつきにくくなり、最終的には下の方の葉から徐々に枯れていきます。特に25~28℃と気温が高い環境で発生しやすい傾向があります。
原因:原因は糸状菌(カビ)の一種で、土壌中に潜むカビが根から侵入して発症します。
対策:
- 予防:苗を植え付ける際、台木にガードナーやグリーンガードといった耐病性を持つ品種を使用することで、発病のリスクを軽減できます。
- 発病後:感染した株とその周辺の土壌を丁寧に取り除き、使用した道具や靴などを消毒して、感染の拡大を防ぎます。
葉の形状が変化する場合の病気
トマトの葉が丸まったり、巻いたり、あるいは枯れたりするなど、形状に異常が見られる場合も、病気のサインである可能性があります。ここでは、葉の形状変化が見られる場合に疑われる代表的な病気と、その対策について解説します。
黄化葉巻病:葉が黄色く縮れる
トマトの葉が黄色に変色し、上向きや下向きに巻かれるように変形するのが黄化葉巻病の特徴です。感染すると株の生育が阻害され、花や実が落ちてしまうこともあります。この病気は、タバココナジラミという害虫がウイルスを媒介することで感染が広がります。
原因: 原因となるのはウイルスで、タバココナジラミがそのウイルスを運び込み、感染を引き起こします。
対策:
- 予防: 畑の周辺の雑草をこまめに除去し、防虫ネットや紫外線カットフィルムなどを活用しましょう。また、発病する前から薬剤を定期的に散布し、タバココナジラミの侵入を食い止めることが重要です。
- 発病後: 感染した株を発見したら、速やかに抜き取って処分します。
青枯病:葉が青いまましおれる
青枯病にかかると、トマトの葉は日中にしおれ、夜になると一時的に回復するという症状を繰り返します。しかし、徐々に回復しなくなり、最終的には青い状態のまま枯れてしまいます。萎凋病と症状が似ていますが、青枯病の場合は葉が青さを保ったまましおれていく点が異なります。地温が20度を超えると発生しやすくなり、土壌に生息する細菌が原因で発生します。
原因: 土壌中に潜む細菌が、茎や根の傷口から侵入し感染することで発症します。以前に青枯病が発生した畑では、土壌中に菌が残存している可能性があり、そこから感染が広がることもあります。
対策:
- 予防: 植え付け前に土壌消毒を徹底しましょう。収穫に使用するハサミなどの道具も、使用前後に消毒することが大切です。
- 発病後: 感染した株を見つけたら、周囲の土壌ごと取り除き、処分します。
かいよう病:葉が乾燥して枯れる
かいよう病は、トマト特有の病気です。感染すると、葉が褐色に変色し、まるで乾燥したかのように見えます。数日後には葉に黄化が見られるようになります。水分不足などの生理障害と間違えやすいので、注意深く観察し、適切に対処することが重要です。25~27℃の高温多湿な環境で発生しやすく、細菌が原因で種子伝染、土壌伝染、接触伝染します。
原因: 細菌による種子伝染が主な原因ですが、土壌伝染や、農作業中の接触によっても感染が広がります。
対策:
- 予防: 種子や土壌、使用する農具を消毒し、薬剤を散布して予防に努めましょう。
- 発病後: 感染した株を発見したら、根ごと速やかに抜き取り処分します。
葉以外の異常:果実や株元に見られる病気
トマトの病気は、葉だけでなく、果実や株元にも症状が現れることがあります。ここでは、葉以外の場所に症状が現れる代表的な病気と、その対策について解説します。
尻腐れ症:果実の先端が黒ずむ
尻腐れ症は、トマトの果実の先端部分が黒く変色し、腐ったようになる状態を指します。名前から「病気」と思われがちですが、実際にはカルシウム不足に起因する生理障害です。
原因:生育期間中に土壌中のカルシウムが不足している場合に発生しやすくなります。苦土石灰の不足や、窒素肥料の過多によりカルシウムの吸収が阻害されることも原因となります。
対策:
- 予防:カルシウム不足にならないよう、適切な土壌管理を行い、過繁茂にならないように整枝・摘葉を行います。
- 発症後:カルシウムを補給するために、カルシウム肥料を与えます。症状がひどい場合は、果実に直接カルシウム剤を散布するのも効果的です。
苗立枯病:幼苗が倒れる
苗立枯病は、発芽直後や育苗中の苗が、根元から倒れて枯れてしまう病気です。株元が褐色に変色して細くなったり、根が腐ったりする症状が見られます。高温多湿な環境で発生しやすいのが特徴です。
原因:土壌中に生息する糸状菌(カビ)が原因で感染します。
対策:
- 予防:種まき前に土壌消毒を行うことが大切です。可能であれば、新しい清潔な土を使用するのが理想的です。また、水の与えすぎにも注意し、適切な水分量を保つようにしましょう。
- 発病後:感染した苗は速やかに取り除き、周囲への感染を防ぎます。
病気と間違えやすい害虫被害:ハモグリバエの食害
トマトの葉に異変が見られる場合、ハモグリバエによる被害も考えられます。ハモグリバエの成虫は、葉の表面に小さな穴を開けて産卵します。孵化した幼虫は葉の内部を食害しながら成長するため、葉には白い線状の食害痕が残ります。
ハモグリバエの食害を受けたトマトは生育が阻害される可能性があるため、殺虫剤の使用や防虫ネットの設置などの対策を講じましょう。
トマトの病害虫予防におすすめの対策
トマトをはじめとする野菜栽培では、病気や害虫の対策は非常に重要です。日頃から予防に努め、万が一発病や害虫が発生した場合は、早期に対処することが大切です。
自然派ベニカ スプレー
野菜、果樹、草花など、様々な植物に利用できる殺虫・殺菌剤です。アブラムシなどの害虫退治や、うどんこ病などの病気の予防に効果があります。効果が現れるのが早く、予防効果に加え、治療効果も期待できます。
ベニカVフレッシュ スプレー
野菜や果樹のために開発された高性能な殺虫殺菌スプレーです。即効性と持続性に優れており、うどんこ病の拡大を抑制するだけでなく、アブラムシに対しては約1ヶ月間の効果持続が期待できます。さらに、殺虫・殺菌成分が植物内部に浸透するため、雨天後でも効果が持続します。トマト栽培においては、収穫直前まで使用できる点も魅力です。
ベニカXガード 粒剤
土壌に散布するだけで、病害虫の予防ができる殺虫殺菌剤です。農林水産省登録の農薬であり、粒剤タイプとしては家庭園芸で初の製品です。種まき時に土に混ぜたり、株元に散布することで、長期間にわたる予防効果を発揮します。一度発生すると厄介なアブラムシも、約1ヶ月間予防することが可能です。
トマト尻腐れ病予防スプレー
水溶性カルシウムを配合したスプレー剤です。追肥として使用することで、カルシウム不足が原因で発生するトマトの尻腐れ病を予防します。植物が吸収しやすい水溶性カルシウムを採用しているため、効果の発現が迅速です。使いやすいスプレータイプで、1週間に1回の散布で対策できます。
結び
トマトは様々な病気に侵されやすく、その症状も多岐にわたります。しかし、早期に異変に気付き、適切な対処をすることで、被害を最小限に食い止めることが可能です。この記事でお伝えした情報を参考に、普段からトマトの状態を注意深く観察し、病気の兆候を見過ごさないように心がけましょう。適切な予防策と対策を講じることで、きっと美味しいトマトをたくさん収穫できるはずです。
トマトの葉に白い粉のようなものが付着しています。これは何ですか?
それはうどんこ病かもしれません。葉の表面に白い粉を振りかけたような状態になるのが特徴です。初期段階であれば、薬剤の散布や、罹患した部分の除去といった対策を講じましょう。
トマトの果実のお尻が黒くなって腐ってきました。これは病気ですか?
尻腐れ症である可能性が高いです。これは病気ではなく、カルシウムの欠乏によって引き起こされる生理的な障害です。カルシウムを豊富に含む肥料を与えるか、葉面散布剤を使用するなどの対策を検討しましょう。
トマトの葉に虫食いの跡があります。どんな害虫が考えられますか?
ハモグリバエによる被害が考えられます。幼虫が葉の中に侵入し、内部を食害するため、葉に不規則な食害痕が残ります。殺虫剤の使用、または防虫ネットの設置などの対策を行いましょう。