「桃薫(とうくん)いちご」という名前を聞いたことはありますか?桃のような香りと美しい淡桃色の果皮が特徴で、味わいも絶妙なこのいちごは、日本のいちご品種の中でも特に魅力的な存在です。その独自の特徴と由来、選び方、保存方法、そして旬の時期について、詳しく探ってみましょう。桃薫いちごの魅力についてご紹介します。
桃薫(とうくん)とは
「桃薫(とうくん)」は、特徴的ないちごの品種で、その名前はその風味に由来します。このいちごは、果皮が白っぽいピンク色をしており、その香りが「桃」に似ていることが特徴です。熟しても果皮は薄い桃色のままで、通常のいちごのように赤くなりません。そのかわいらしい外観と、桃のような香りが、桃薫いちごの特徴です。
桃薫(とうくん)の特徴
桃薫(とうくん)の特徴は以下の通りです。このいちごの果実は、円錐から球形をしており、わずかに光沢があります。果肉は中心まで真っ白で、甘味と酸味が絶妙に調和しています。桃薫いちごは桃のような香りがするだけでなく、ココナッツや甘いカラメルのような成分も豊富に含まれており、風味豊かな味わいが楽しめます。ただし、このいちごの果肉はやわらかいため、輸送にはあまり適していないという点に留意が必要です。
桃薫(とうくん)はどのように誕生した?
桃薫(とうくん)いちごは、農研機構の野菜茶葉研究所と北海道農業研究センターによって育成され、2011年(平成23年)に品種登録されました。このいちごは、特別な組み合わせから生まれました。その親は「K58N7-21」および「久留米IH1号」で、どちらも野生種のいちごを含む雑種(10倍体種間雑種品種)です。
母親である「K58N7-21」は、果実の外観と収量が優れた「カレンベリー」と、野生種いちごを交配した品種です。一方、父親の「久留米IH1号」は、かつて主流だった「とよのか」と、桃のような香りを持つ野生種を交配した品種です。桃薫いちごは、栽培種の優れた特性と野生種の芳醇な香りを組み合わせた新しい品種として誕生しました。
桃薫の名前の由来
""桃薫""とは、つまるところ、その甘美で芳醇な香りが溢れ出す桃そのものをイメージして名付けられました。桃のなかでも、その卓越した味わいと高雅な香りから、桃のエリートとも称されています。
その名の'桃'には、日本の伝統的な美の象徴であり、健康や長寿といったポジティブなイメージがあります。また、神聖視され、邪気を追い払う力も持つとされています。
'薫'は、香り高さを示す漢字であり、古代中国文学においては、人々の美徳を揚げるための表現として使われました。このような素晴らしい香りが、人々を引きつける力を持ち、私たちを魅了します。
こうして""桃薫""と名付けられたこのフルーツは、その美観と豊かな香り、神聖さを象徴し、手間暇かけて育てられた証ともなっています。桃の中でもこの""桃薫""は特別視されています。
なお、桃薫の品質基準としては、形状と色彩の統一性、そして何よりもその甘さと香りが重視されます。これら全てを満たしてこそ、""桃薫""は最高級の桃として称えられます。
そうした理由から、""桃薫""という名前は、ただの桃の一種というだけでなく、その品質や美しさ、そして生産者の豊かな意志を表しています。各桃に投入された愛情と尽力は、その名前の起源とも繋がっています。
そして、その原種が中国原産の野生種であるため、よりその意味を深くするために、漢字名で表記しています。
桃薫の旬の時期
春夏の彩り豊かな時期に訪れる桃薫の旬。見た目の美麗さと田園からの豊富な生産量は、果物愛好者にとって魅力的な時を予感させます。それは、春が過ぎ、夏を迎える2月頃から始まり、特に6月中旬から下旬が最も美味しさが際立つ期間です。しかし、時期が進むと果実の大きさが小さくなるため、その旬を捉えることが肝心です。
また、最大の弱点とも言えるのが、柔らかい果実の性質上、輸送性が低いことです。そのため、桃薫はそれほど大量には出回らず、需要と供給が見合っていないこともあります。しかし、その一定の需要から考えれば、生産者にとっては確かな魅力を持つ品種と言えるでしょう。
見た目の美しさ、甘さと香り、そしてシャーベットのような独特の食感が味わえる桃薫は、旬の時期だけでなく、ジャムやパイ、タルトなどとしても楽しむことができます。この旬の桃薫を逃さずに、ぜひその美味しさを堪能ください。
桃薫の選び方(見分け方)
桃薫いちごを選ぶ際のポイントをご紹介します。
色合い: 桃薫いちごは淡桃色またはサーモンピンク色をしています。新鮮なものは美しい色合いを持っています。へたの部分が青々としたものを選びましょう。
ツヤ: 果皮にツヤがあるいちごが新鮮で美味しいことが多いです。ツヤのある果実を選びましょう。
香り: 桃薫いちごは桃に似た香りを持っています。香りの強いものを選ぶと風味豊かな味わいが楽しめます。
傷み具合: 果皮がやわらかいため、押されて傷んでいるものがないか注意しましょう。果実が傷んでいると賞味期限が短くなりますので、新鮮なものを選びます。
注意:店頭でいちごを選ぶ際は、直接触れないようにしましょう。手で触れると傷つきやすくなるため、目で確認することがおすすめです。
桃薫の保存方法
桃薫いちごを保存する際のポイントは以下の通りです。
冷蔵庫: 桃薫いちごは冷蔵庫の野菜室に保存します。低温で保存することで鮮度を保ちます。
ポリ袋: いちごは乾燥しやすいため、パックごとポリ袋に入れて保管すると良いでしょう。これにより果実がしっとりとした状態を保ちます。
傷みチェック: 持ち帰った際に、果実同士がぶつかったりして果皮に傷みが出ていないか確認しましょう。傷んでいる部分があれば取り除いておきます。
早めの消費: 桃薫いちごは果肉がソフトで繊細です。なるべく早く食べることをおすすめします。新鮮なうちに味わいましょう。
これらの注意点を守ることで、桃薫いちごの鮮度を長持ちさせることができます。
桃薫の食べ方
桃薫いちごを楽しむ方法をご紹介します。
生食: 桃薫いちごはそのまま生で食べるのがおすすめです。甘みと香りを存分に楽しむことができます。洗ってからヘタを取り、一口サイズに切ってお皿に盛り付けて、そのまま召し上がりましょう。
フルーツサラダ: 桃薫いちごを他の季節のフルーツと組み合わせて、フルーツサラダを作るのも美味しい方法です。ヨーグルトやはちみつをかけても良いでしょう。
デザートへのトッピング: 淡いピンク色の果皮は、デザート類のトッピングとしても利用できます。パフェ、タルト、ケーキなどに桃薫いちごを飾り付けると、見た目にも美しい一品が完成します。断面ではなく、果皮を見せるように配置すると特に印象的です。
桃薫いちごの風味豊かな味わいを存分に楽しんでください。
桃薫の旬(出回り時期)
桃薫いちごの旬は、主に1月から2月にかけてです。この時期になると、桃薫いちごの収穫がピークに達し、大粒で美味しい実が市場に出回ります。一方、12月下旬から出荷されることもあるため、年末から年始にかけても楽しむことができますが、その後になると小粒になることがあることに注意が必要です。
旬の桃薫いちごを選んで楽しむと、甘みと香りが最高に引き立ちます。新鮮な実を探して、旬の味わいを堪能しましょう。
まとめ
桃薫(とうくん)いちごは、日本のいちご品種の中でも特徴的な存在です。その名の通り、桃のような香りを持つ桃薫いちごは、淡桃色の果皮が美しく、甘みと酸味が絶妙に調和しています。新鮮な実を選んで、そのまま食べるか、パフェやケーキなどのスイーツに使うことで、香り高い桃薫いちごの魅力を最大限に楽しむことができます。