ピオーネと巨峰の違い

ブドウの中でも人気のある品種、ピオーネと巨峰。どちらも甘くてジューシーで、食卓を彩る美味しさが魅力ですが、実はそれぞれに独自の特徴と魅力が隠されています。この記事では、ピオーネと巨峰の主な違い、味や栽培方法、歴史背景に至るまで、詳細に解説していきます。知識を深めることで、もっと楽しんで食べることができるかもしれません。それでは、ピオーネと巨峰の世界へとご案内します。

ピオーネの魅力

井川秀雄氏によって開発されたピオーネは、静岡県で巨峰とカノンホール・マスカットを掛け合わせて誕生したぶどうです。当初、この品種にはイタリア語で「パイオニア」という意味を持つ名前が付けられていました。1973年に同じくイタリア語で開拓者を意味する「ピオーネ」に名前が変更され、現在ではその名で知られています。ジベレリン処理で種なしに育てたものは「ニューピオーネ」と呼ばれていますが、市場に出回っているピオーネの多くはこの「ニューピオーネ」です。

巨峰の特徴と魅力について

巨峰は、石原早生とセンテニアルを親に持ち、1942年に静岡県で誕生し、1955年に商標登録されました。その名称は、日本で最も高い富士山に由来しています。この「巨峰」という名称は実際には商標名であり、正式な品種名は「石原センテニアル」です。長年にわたり、日本で最大の生産量を誇り、全体の約30%を占めるほどの人気があり、「ぶどうの王様」とも称されています。日本では巨峰を基に、多くの品種が改良され生まれており、ピオーネもその一例です。最近では、巨峰の種なし品種がジベレリン処理によって主流となっています。

ピオーネと巨峰の違い 見た目

ピオーネと巨峰は、同じような紫黒色をしているため、非常に似通った見た目を持っています。どちらのぶどうも大粒の実が特徴ですが、ピオーネは巨峰よりもほんの少し大きいことが、見た目での唯一の違いかもしれません。とはいえ、色もほぼ同一で、実のサイズも大きく変わらないため、一目見ただけでは区別するのは簡単ではありません。

ピオーネと巨峰の違い 風味と食感

巨峰は「ぶどうの王様」として親しまれ、日本人に長く支持されている濃厚な味わいがあります。ピオーネは引き締まった実で食べ応えがあり、保存性が高いことで知られています。どちらの品種も香り高く、ジューシーですが、巨峰は酸味が少なく、甘さを強く感じます。ピオーネは甘みが強く、程よい酸味が加わり、爽やかな甘酸っぱさが際立ちます。

ピオーネと巨峰の違い 季節

気候や産地によって多少違いはありますが、ピオーネと巨峰は8月下旬から9月下旬にかけてが最も美味しい時期とされています。両品種ともにハウス栽培が行われており、早いものでは4月から市場に出回りますが、露地栽培のものは8月から流通し始めます。販売期間は4月から12月と長期にわたり、果物の中でも特に長く市場に出回るのが特色です。この2つの品種は旬の時期が重なるため、店頭で同時に並んでいることが多く、比較しながら楽しむことができます。

ピオーネと巨峰の違い 生産地

ピオーネの生産量でトップを誇るのは山梨県で、全国の約45%を占めています。その次に岡山県、長野県が続きます。巨峰の生産においても山梨県が最多で、全体の約55%を占めています。したがって、どちらの品種においても山梨県が日本一のぶどう生産地として君臨しています。これに続くのは長野県、そして福岡県です。

ピオーネと巨峰の違い 価格

ピオーネの価格は1房あたり600円から1,000円で販売されており、特売では400円程度になります。それに対して、巨峰はピオーネより少し安価で1房あたり400円から600円、特売時には200円ほどで入手できます。ピオーネの方が若干高価である理由は、巨峰に比べて生産量が少ないことや、大粒で果肉がしっかりしているため保存が効く点などが考えられます。

まとめ

このたび、巨峰とピオーネの特徴を比較してみました。ピオーネは、日本人に長年愛されてきた巨峰を親に持つ魅力的な品種です。現時点で日本市場のトップを占めるのは巨峰ですが、粒の大きさや引き締まった果実が特徴のピオーネも今後さらに需要が高まると考えられます。日本人の心をつかんで離さないぶどう「巨峰」と、その見た目と味をさらに磨いた「ピオーネ」。夏には両者が並んで販売されることが多いので、この機会に見た目も味も異なる親子ぶどうをぜひ味わってみてはいかがでしょうか。

ピオーネ巨峰