タルト・オ・シトロン:レモンの甘酸っぱさが織りなす魅惑のフランス菓子

太陽の光を浴びたレモンの、甘酸っぱく爽やかな香りが広がるタルト・オ・シトロン。フランスで愛されるこのお菓子は、一口食べればたちまち魅了される、シンプルながらも奥深い味わいが魅力です。サクサクのタルト生地と、とろけるレモンクリームの組み合わせは、まさに至福のひととき。本記事では、タルト・オ・シトロンの歴史や特徴、そして家庭で美味しく作るための秘訣を、余すことなくご紹介します。

タルト・オ・シトロンとは?甘酸っぱいレモンのタルトの魅力と構成要素

タルト・オ・シトロン、それはフランス発祥の、レモンの爽やかな風味を凝縮した焼き菓子です。その美味しさの秘密は、甘酸っぱい「レモンカード」と、サクサクとした食感が特徴の「パート・シュクレ」生地との見事な調和にあります。特に、レモンカードの酸味を引き立てるため、パート・シュクレにはバターよりも砂糖を多めに配合し、焼き上げることでカリッとした食感を生み出します。このコントラストが、重厚なクリームと見事に調和し、口の中で一体となる至福の味わいを実現するのです。この記事では、タルト・オ・シトロンの魅力を最大限に引き出すため、材料選びから製法までを徹底的に解説します。また、レモンカードはイギリス生まれの、レモンを贅沢に使ったクリームで、タルトのフィリングとしてだけでなく、パンやスコーン、パンケーキなど、様々な用途で楽しむことができます。レモン、砂糖に加え、バターと卵をたっぷりと使用することで、濃厚でリッチな味わいに仕上がります。

パート・シュクレ:サクサク食感を生み出す本格タルト生地の作り方

タルト・オ・シトロンの味を左右するパート・シュクレは、サクサクとした食感とレモンカードとの相性を考慮して丁寧に作り上げることが重要です。

  1. まず、準備として、無塩バター(40g)は室温に戻し、指で軽く押せる程度に柔らかくしておきます。卵(32g)も常温に戻しておきましょう。粉糖(80g)と薄力粉(120g)は、それぞれふるっておくことで、生地が均一に混ざりやすくなります。
  2. パート・シュクレの作り方には、一般的に「シュガーバッター法」が用いられます。柔らかくしたバターをゴムベラで丁寧に練り、クリーム状にします。ふるった粉糖を加え、ゴムベラで切るように混ぜ合わせます。溶き卵を少量ずつ加え、その都度ゴムベラで押さえるようにしてよく混ぜ合わせることが大切です。卵を一度に加えてしまうと、生地が分離する原因になるため、注意が必要です。薄力粉(120g)を加え、さっくりと切るように混ぜていきます。
  3. 粉類が混ざり、そぼろ状になってきたら、ゴムベラで生地をボールに押し付けるようにしてまとめます。粉類を加えてから混ぜすぎたり、練りすぎたりすると、グルテンが生成され、焼き上がりが固くなったり、縮んでしまったりするため、注意が必要です。
  4. 生地がまとまったらラップに包み、冷蔵庫で一晩寝かせます。この工程は、グルテンの働きを抑え、生地を落ち着かせるために非常に重要です。前日の夜に作業を終えておくと、翌日の作業がスムーズに進みます。
  5. 冷蔵庫から取り出した生地は、半分に切って重ね、上から手で押しつぶすようにして均一な厚さにします。手の熱でバターが溶けないよう、手早く作業を進めましょう。軽く打ち粉をし、生地に空気が入らないように円柱状に成形し、上から手でつぶして円状に広げます。作業台と生地に軽く打ち粉をし、めん棒でタルト型(18cm)よりも一回り大きくなるように伸ばします。打ち粉を使いすぎると、焼き上がりの食感が固くなるため注意が必要です。ラップを敷いて作業すると、打ち粉を少量で済ませることができます。
  6. 伸ばした生地をタルト型に被せ、型の角に生地を優しく押し込み、側面の波模様に沿って敷き込みます。めん棒をタルト型の上で優しく転がし、余分な生地を切り落とします。焼くと少し縮むため、側面の生地を型よりも少し高く出すように、軽く押し付けておくと良いでしょう。
  7. フォークで生地の底に穴を開ける「ピケ」をしたら、再度冷蔵庫で2時間以上冷やします。2回冷やすことで、パート・シュクレがサクサクとした理想的な食感になり、型崩れを防ぐことができます。
  8. 冷やした生地の上にクッキングシートやアルミホイルを敷き、タルトストーンを乗せ、170℃に予熱したオーブンで15分焼きます。タルトストーンを取り外し、ピケで開けた穴を埋めるためと、防水のために溶き卵を塗り、さらに170℃のオーブンで15分程度、焼き色がつくまで焼きます。焼き上がったタルト生地は、完全に冷ましてから次の工程に進みましょう。※本レシピには、小麦、卵、乳製品が含まれます。食物アレルギーをお持ちの方はご注意ください。生の卵を使用しますので、新鮮なものを選び、取り扱いには十分ご注意ください。

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濃厚レモンカード:口どけ滑らかなクリームの秘訣とデコレーション

タルト・オ・シトロンの主役とも言えるレモンカードは、濃厚な風味と滑らかな口どけが魅力です。

  1. 材料として、無塩バター(150g)は小さくカットしておきましょう。卵(3個)を溶きほぐし、グラニュー糖(190g)を加えてよく混ぜ合わせます。
  2. 卵液にレモン果汁(100g)と小さくカットしたバターを鍋に入れ、弱火で加熱しながら、バターが溶けてとろみがつくまで絶えず混ぜ続けます。焦げ付かないように、鍋底をしっかりと混ぜながら火を通すことが重要です。
  3. とろみがついたら火から下ろし、大さじ1の水でふやかしたゼラチン(小さじ1.5)を加えて混ぜ、ゼラチンが完全に溶けるまで混ぜます。滑らかな口当たりにするために、一度濾すと良いでしょう。濾すことで、卵の凝固物やレモンの繊維が取り除かれ、よりなめらかなクリームに仕上がります。
  4. 最後に、レモン1個分の皮をすりおろして加え、軽く混ぜればレモンカードの完成です。レモンの皮を加えることで、レモンの爽やかな香りが一層引き立ち、風味が増します。粗熱が取れたら、焼き上げて冷ましたパート・シュクレのタルト台に流し込み、冷蔵庫でしっかりと冷やし固めます。

ゼラチンを加えることで適度な固さになり、カットしやすくなります。口に入れるととろけるような、なめらかな食感が楽しめます。デコレーションは、お好みで余ったレモンカードを絞り出したり、生クリームを添えたり、イタリアンメレンゲを飾ったりと、様々なアレンジが可能です。特に、生クリームやメレンゲを添えると、レモンカードの酸味とのコントラストが生まれ、見た目も華やかになります。生クリームの泡立て加減は難しい時もありますが、この甘酸っぱく濃厚なレモンカードの味わいは、何度でも作りたくなる魅力に溢れています。美味しい国産レモンが手に入ったら、ぜひこのレシピを参考に、本格的なタルト・オ・シトロン作りに挑戦し、その至福の味を堪能してください。

まとめ

この記事では、甘酸っぱい「タルト・オ・シトロン」の魅力から、その土台となる「パート・シュクレ」と主役の「レモンカード」の本格的な作り方を、詳細な手順と共にご紹介しました。ぜひこのレシピを参考に、手作りの温かさとプロの味わいを兼ね備えた、絶品のレモンタルト作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。

タルト・オ・シトロンってどんなスイーツ?

タルト・オ・シトロンは、フランス生まれの、レモンの爽やかな酸味が際立つ焼き菓子です。その魅力は、サクサクのタルト生地(パート・シュクレ)と、口の中でとろける濃厚なレモンクリーム(レモンカード)の絶妙なハーモニーにあります。食後のデザートとしてはもちろん、ティータイムのお供にも最適な、上品な味わいが楽しめます。

パート・シュクレ作りでグルテンを出さないコツは?

パート・シュクレを作る際、生地にグルテンが過剰に出るのを防ぐには、粉類を混ぜてからの扱いが非常に重要です。小麦粉を加えた後は、練りすぎたり、混ぜすぎたりしないように心がけましょう。ゴムベラで切るようにサックリと混ぜ、粉っぽさがなくなったら、生地を軽く押さえるようにしてまとめます。さらに、生地を冷蔵庫で一晩寝かせ、型に敷き込んだ後も十分に休ませることで、グルテンの働きを抑え、焼き縮みを防ぎ、理想的なサクサク食感を実現できます。

レモンカードをなめらかに仕上げる秘訣は?

レモンカードを極上のなめらかさに仕上げるためには、いくつかのポイントがあります。まず、卵とグラニュー糖を丁寧に混ぜ合わせることが大切です。その後、レモン汁とバターを加え、弱火で焦げ付かないように絶えず混ぜ続けます。程よいとろみがついたら火からおろし、溶かしたゼラチンを加えて混ぜます。最後に、濾し器で濾すことで、卵の凝固物やレモンの繊維を取り除き、舌触りの良い、なめらかなレモンカードが完成します。風味付けに、レモンの皮をすりおろして加えるのもおすすめです。

タルト・オ・シトロン