近年、日本をはじめ世界各地で人気を集めているタピオカドリンク。そのモチモチとした食感と甘みは、子供から大人まで幅広い層に愛されています。しかし、その魅力的な見た目と味わいの背後には、私たちの健康にどのような影響を及ぼすのでしょうか。本記事では、タピオカの栄養価に光を当て、その栄養成分と健康への影響について考察します。健康志向の方や新たにタピオカの世界に興味を持った方々に、知っておくべきポイントを分かりやすく解説します。
タピオカドリンク
タピオカは、キャッサバの根から作られる澱粉であり、さまざまな料理に利用されます。飲み物に加えられる小さなボール状のものは「タピオカパール」と呼ばれ、これに加工される前の乾燥された形式は「タピオカチップ」と称されます。甘味の材料や料理の濃度を出すために使われるのに加え、つなぎとしての機能も果たします。また、紙の強度を高めるための薬品としても重要です。
タピオカ
「タピオカ」と呼ばれるキャッサバ澱粉は、古代トゥピ語の「tipi'oka（ティピオカ）」および「tapi'oka（タピオカ）」に由来し、「キャッサバから作られるデンプン食品」を意味していました。この言葉は、ブラジルがポルトガルの植民地だった時代にポルトガル語に取り入れられました。
中国語ではキャッサバを「木薯（ムゥーシゥー）」と呼び、また閩南語では「樹薯（チュウチー、チュウツゥッ）」とされています。
サマリー
キャッサバは北東ブラジルが発祥地ですが、根茎に豊富な澱粉を含むため、現在では世界中で重要な農作物として栽培されています。その用途は多岐にわたり、食材としての利用はもちろん、工業用の原料としても重宝されています。また、精製されたタピオカ澱粉は、食品以外に養豚用の飼料やバイオ燃料としても人気があります。
タピオカはグルテンを含まず、タンパク質もごく少量しか含みません。さらに、水分を加え加熱することにより糊化しやすく、優れた抱水力を持つのが特徴です。
消費可能な資源としての使用
増粘剤として糊化物が食品に利用されることが多く、ライスヌードルや冷凍うどんといった麺類、さらには菓子の食感や品質を高めるためにも広く使われています。例えば、ミスタードーナツのポン・デ・リングや白い鯛焼きなどのもちもちした菓子の製造には欠かせない要素です。
タピオカボール
タピオカを糊化させ、容器に入れて回転し、雪だるま式に成形したものを乾燥させた「スターチボール」や「タピオカパール」は、中国で「粉円」と呼ばれます。これらは煮戻してデザートやドリンク、かき氷、スープのトッピングに利用され、黒や白、カラフルなタイプなどが販売されています。
タピオカパールを使ったミルクティーである「タピオカティー」は台湾発祥ですが、日本やアジア、欧米など多くの国で人気です。乾燥した大粒のタピオカを煮戻すには約2時間かかります。少ない水分で煮るとくっつきやすく、冷やしてゼリー状のデザートを作ることも可能です。欧米では、カスタード風味のタピオカプディングが一般的です。
小粒のタピオカは中華デザートとしてココナッツミルクに入れて用いられ、また甘い豆のスープやフルーツジュースと組み合わせることもあります。
タピオカパールの類似品にはサゴヤシを使ったサゴパールがありましたが、現在はタピオカに置き換えられ「西米」と呼ばれることは少なくなっています。
日本では、タピオカの代わりにこんにゃくが使われることが多く、これはもちもち感を出すためにキャッサバを少量加えていることもあります。しかし、本来のタピオカとは異なり、こんにゃくの代用品ではアレルギー反応を引き起こす可能性があるため、原材料やアレルギー表示を見ることが重要です。
がん発症のリスク
2012年、ドイツ連邦有害評価院の調査によって、世界で販売されるバブルティーのタピオカパールに体に有害な化学物質が含まれていることが判明しました。この調査では、メンヒェングラートバッハで販売されている商品から、ポリ塩化ビフェニルやアセトフェノンといった物質が検出されました。これらの有害物質はすべてタイ、中国、台湾産のタピオカパールから見つかったもので、工業用のでん粉が食用に用いられるケースも多く見られています。
食料品の処理
デンプンは米ぬかを引きつける特性を持ち、乾燥状態での硬さが適度であるため、無洗米製造の一手法であるNTWP（ネオ・テイスティ・ホワイト・プロセス）加工に活用されている。
産業活用
酵素を用いてカチオン化された処理後、この製品は製紙の乾燥紙力増強剤として有効です。使用時には、水を加えた後に加熱し、糊化させた状態でパルプと混ぜたり、紙層間にスプレーするのが一般的です。また、一部のケースでは、紙の表面に塗布して水を弾く特性を持たせる表面サイズ剤としても活用されます。さらに、チューブのりの原材料としても利用されています。
日出づる国
長友麻希子氏の研究によれば、江戸時代後期の蘭学者の高野長英は「答必膃加」という字をタピオカに使い、医薬書の翻訳に用いたとされています。
明治時代中期には、タピオカは高級食材として認知され、大正時代には料理書にも登場しました。戦時中、兵士たちは米の代用品としてタピオカで空腹を満たしたとされ、戦後も加工食品に使われ続けました。
21世紀にはタピオカパール入りドリンクが流行し、「タピオカミルクティー」などが人気を博しました。「タピる」「タピ活」といった言葉も生まれています。貿易面では、タイから輸入したタピオカ澱粉を台湾で加工し、日本に輸出するビジネスが行われています。
タピオカブームはバブル崩壊、リーマンショック、コロナショックといった経済の混乱期に重なることが多く、不況との関係がささやかれていますが、これは科学的に証明されているわけではありません。