長野県生まれの「高妻ぶどう」は、まさに知る人ぞ知る高級品種。ぶどうの王様「ピオーネ」と「センテニアル」の血を引く、紫黒色の美しい姿が特徴です。皮は剥いて食べる必要がありますが、口に含んだ瞬間に広がる濃厚な甘みと芳醇な香りは、他のぶどうでは味わえない格別なもの。温暖な地域でも色づきやすいという特性も持ち、限られた場所でしか栽培されない希少さも、その価値を高めています。一度食べたら忘れられない、高妻ぶどうの贅沢な味わいをぜひお試しください。
高妻(たかつま)ぶどうとは?その魅力と概要
ぶどう「高妻」は、長野県長野市の山越幸男氏が長い年月をかけて開発した、大粒で美しい紫黒色の果皮が特徴的な高級ぶどうです。「たかつま」と読み、市場では「ぶどうの王様」とも呼ばれる「ピオーネ」と、優れた特性を持つ「センテニアル」という二つの品種を掛け合わせることで生まれました。高妻ぶどうの一番の魅力は、皮は食べられないものの、その濃厚な甘さと芳醇な香りにあります。また、通常は着色が難しいとされる温暖な地域や、気温があまり低くない場所でも、鮮やかな紫黒色に染まりやすいという栽培上のメリットもあります。この特性により、様々な地域での栽培が可能となり、より多くの人がこの美味しいぶどうを味わえるようになりました。高妻は、その食味の良さと栽培のしやすさから、知る人ぞ知る高級ぶどうとして、現在もその人気を維持しています。
果房・果粒の形態と大きさ、果皮の色と剥きやすさ
高妻ぶどうは、その品質の高さと際立った特徴によって、多くのぶどうファンを魅了しています。まず、果房は岐肩(きかた)のある円錐形で非常に大きいことが特徴です。一般的には、種なしぶどうとして販売されるため、ジベレリン処理が行われ、巨峰と同じような美しい円錐形または円筒形に整えられます。処理を行わない場合でも、果房は平均400g程度の重さになり、果粒も非常に大きく成長し、1粒あたり約15g~16gにもなる「極大」サイズとされています。ただし、種なし処理をしていない粒には種が含まれていることもあります。果皮の色は、名前が示すように美しい紫黒色に深く色づくのが高妻の大きな特徴ですが、栽培環境や気象条件によっては、これよりも薄い赤紫色になることもあります。果皮はやや厚みがあり、シャインマスカットのように皮ごと食べるのではなく、皮を剥いてから食べるのが一般的です。皮と果肉の分離は「やや難しい」とされていますが、手で剥くことは十分に可能です。
果肉の特性と甘味・酸味のバランス
高妻ぶどうの果肉は、淡い黄緑色の「不着色」で、その肉質は「中間」と評されます。口にした時の適度な弾力と、心地よい歯切れの良さを示し、極めて優れた食感を生み出しています。『崩壊性と塊状の中間』という言葉で表現されます。甘味は「中」とされ、一般的に糖度18度程度が目安とされていますが、酸味が「少」であるため、濃厚な甘さが際立ちながらも、後味はさっぱりとしています。この甘みと酸味の絶妙な調和が、高妻ぶどうの上品で奥深い味わいを醸し出しています。実際に試食した高妻も糖度18%前後を記録しており、その数値が示す通りの高い糖度を誇っています。
豊かな香気と果汁量、種子の有無
香気は「フォクシー」と形容される特有の芳醇な香りを持ち、試食の際にも、鼻を抜ける香りが「巨峰」を彷彿とさせ、口の中に豊かな香りが広がります。この芳醇な香りが、高妻ぶどうの風味を一層引き立てています。果汁の量は「多」とされ、口に含むとたっぷりの果汁が溢れ出し、その美味しさを際立たせます。種子については、高妻は通常、ジベレリン処理によって種なしにされますが、未処理のものや、処理が不完全な場合には種子が混在する可能性があります。農林水産省のデータベースによると、種子の数は「中」、形は「長」、大きさは「大」とされています。
開花期・成熟期と栽培上の特性
高妻の開花期は、育成地である長野県において6月上旬、成熟期はやや晩生で、同じく育成地では10月上旬とされており、「巨峰」よりもおよそ2週間遅れて収穫される傾向があります。これは、秋の味覚としてじっくりと味わえる期間が長いことを意味します。また、高妻は花振いが少なく、裂果の心配も少ないため、比較的栽培しやすい品種であると言えます。さらに、果梗(果実と枝をつなぐ部分)が非常に丈夫で、果梗と果粒の分離が難しいため、輸送中の脱粒が起こりにくいという利点があり、市場への流通に適した特性を備えています。温暖な地域でも美しい着色が得られるため、幅広い地域での栽培に適していると考えられます。
高妻の選び方(見分け方)
高妻ぶどうを選ぶ際には、色の濃さに注目しましょう。高妻は色づきの良さが特長で、全体的に黒っぽく、均一に濃い色に着色しているものがおすすめです。栽培環境によっては、やや赤みが残ることもありますが、十分に成熟していれば甘さを楽しめます。また、果粒にハリと弾力があり、表面に白いブルーム(果粉)がしっかりと付いているものは、新鮮で品質が良い証です。房全体を見て、粒が密集していて、粒が落ちていないものを選びましょう。
高妻の保存方法
高妻ぶどうを美味しく保存するには、乾燥と高い温度を避けることが大切です。購入後は、ポリ袋に入れるか、新聞紙などで丁寧に包み、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。出荷時期は気温が高いことが多いため、冷房のない部屋など、常温で放置すると鮮度が落ちやすいため注意が必要です。長く保存したい場合は、キッチンばさみでぶどうの粒を軸を少し残して1粒ずつ切り分け、保存容器に入れると鮮度を保ちやすくなります。この方法なら、粒がバラバラにならず、食べる分だけを取り出せます。
高妻の食べ方
高妻ぶどうは、果皮が厚めなので「デラウェア」のように口に含んで食べる品種ではありません。一般的には、1粒ずつ丁寧に皮をむいて食べます。皮は手で比較的簡単に剥けます。ジベレリン処理で種なしになっていることが多いですが、処理されていないものや不完全な粒には種が入っていることがあります。種がある場合は、取り除いてから果肉を味わいましょう。濃厚な甘さと豊かな香り、そしてジューシーな果汁が口の中に広がり、上品な味わいを堪能できます。
収穫時期と旬の期間
高妻ぶどうは、晩生種に分類される品種です。長野県長野市での成熟期は10月上旬頃とされていますが、温暖な地域ではより早く、8月下旬頃から収穫が始まることがあります。そのため、高妻ぶどうが市場に出回る旬の時期は、おおよそ8月下旬から10月上旬頃となります。この時期に、ぜひその濃厚な甘さと豊かな香りをご堪能ください。
まとめ
高妻ぶどうは、山越幸男氏が「ピオーネ」と「センテニアル」を掛け合わせて開発した、大粒で紫黒色の希少な品種です。強い甘みと程よい酸味、そして特徴的なフォクシー香が魅力で、皮を剥いて食べるのが一般的です。現在ではあまり多くは見かけませんが、その品質の高さと奥深い味わいは、ぶどう好きにはたまらない魅力を持っています。
高妻ぶどうはどんな味ですか?
高妻ぶどうは、非常に甘みが強く、農林水産省のデータによれば糖度は18度程度とされています。酸味が少ないため、濃厚な甘さが際立ちますが、甘さと酸味のバランスが絶妙で、後味の良い上品な味わいが特徴です。鼻を抜ける香りは「フォクシーフレーバー」と表現され、「巨峰」にも似た芳醇な香りが楽しめます。
高妻ぶどうは皮ごと食べられますか?
高妻ぶどうの皮はやや厚めであるため、皮ごと食べることはあまり一般的ではありません。手で簡単に剥けるので、皮を剥いて果肉を味わうのがおすすめです。
高妻ぶどう、一番おいしい時期は?
高妻ぶどうは晩生(おくて)の品種として知られ、発祥の地である長野県長野市では、おおよそ10月に入ってからが収穫のピークを迎えます。ただし、温暖な地域では8月下旬頃から市場に出回り始めるため、一般的には8月終わりから10月初め頃までが、最もおいしい高妻ぶどうを楽しめる時期と言えるでしょう。
高妻ぶどうって、どれくらい甘いの?
農林水産省のデータベースによると、高妻ぶどうの甘さは「中程度」とされていますが、実際の糖度は18度前後になることが多いようです。実際に試食した際のデータでも、同様の数値が確認されており、非常に甘いぶどうと言えるでしょう。
高妻ぶどう、おいしいものを選ぶコツは?
高妻ぶどうを選ぶ際には、まず色に注目しましょう。全体が濃い黒色で、均一に色づいているものがおすすめです。さらに、果実のハリと弾力を確認し、表面に白い粉(ブルーム)がしっかりと付いているものを選ぶと、より新鮮でおいしい高妻ぶどうを見つけることができます。