大正時代 お菓子

大正時代 お菓子

大正時代 お菓子

大正時代、日本は近代化の波にのまれながらも、伝統と格式を重んじる気風が色濃く残っていました。そんな時代に生まれたお菓子には、洋風と和風が絶妙に融合した味わいがあり、当時の人々の嗜好を今に伝えています。大正ロマンが香り立つ、懐かしくも新鮮な魅力に満ちたお菓子の数々を、ともに紐解いていきましょう。

アイスクリームは高級品! 大正期のスイーツライフ

アイスクリームは一見華やかな存在でしたが、実は当時の一般庶民にとっては夢のような高級品でした。製氷技術の未発達により、製造コストが膨大にかかっていたためです。それでも、裕福な階層の間では、洋館の華やかな装飾の中でアイスクリームを味わう優雅な風景が見られました。

しかし、製氷技術の進歩に伴い、アイスクリームは徐々に庶民の手の届く存在へと変わっていきました。アイス売りが街を練り歩くようになり、家庭でも卵や牛乳を使ったアイスクリームが作られるようになったのです。木桶とブリキ缶を使って手作りで作られるアイスクリームは、ハイカラな大正ロマンを体現する逸品として、ゆったりとした時の流れを象徴していました。

大正時代 お菓子

大正時代のおやつ 上流階級と庶民ではどう違う?

江戸時代から続く伝統的な和菓子文化が根付いていた一方で、大正時代には洋風の新しいおやつ文化が徐々に浸透し始めていました。上流階級は、フランスやウィーンからやってきた高級なモンブランやシュークリーム、ウィーンパンといった洋菓子を愛好し、クリスマスにはケーキを囲んでパーティを開くなど、西洋文化の影響を強く受けていました。

一方、庶民階級は依然として米菓子を中心に、きな粉餅やおはぎ、錦玉子などの手作りおやつを家族で囲んで楽しんでいました。地方の農村部に至っては、駄菓子屋のあんこ玉やラムネ、あるいは蒸かしいもや木の実を食べるのが普通のおやつタイムでした。都市部と農村部の間には、おやつ文化においても大きな格差が存在していたのです。

しかし、時代の流れとともにおやつ文化も変容を遂げていきます。果物は街中で洋風のスイーツへと進化を遂げ、キャラメルやチョコレート、クッキーといった洋菓子が徐々に一般庶民にも浸透していったのです。このように、大正時代のおやつ文化には、階級による違いと同時に、新旧の文化が混在する興味深い様相が存在していました。

水菓子からデザートへ 大正時代のフルーツスイーツ事情

伝統と新しい文化が出会う時代の到来を告げるかのように、日本のスイーツ文化は大正時代に新たな局面を迎えました。従来の和菓子に加え、洋風の菓子が一般市民の間に浸透していったのです。都市部を中心に次々と洋菓子店が誕生し、ケーキやパイ、プリンなどが人気を博しましたが、特に目覚ましい進展を遂げたのがフルーツスイーツの台頭でした。

西洋の影響を色濃く受けた上流階級が、新しい嗜好を先駆けて享受する存在となりました。高級品のイチゴをはじめ、輸入されたオレンジやグレープフルーツなどが、彩り豊かなデザートに取り入れられていきました。一方で、カフェではシャーベットやアイスクリームといった新しい菓子も提供され始めました。伝統的な「水菓子」は、鮮やかなフルーツを盛り付けられ、まさに大正ロマンの代表的な風物詩へと進化を遂げたのです。このように、外来の影響を取り入れつつ、日本のスイーツ文化は重厚な歴史の上に新たな彩りを重ねていったのでした。

大正時代から今も愛されるロングセーラー食料品一覧

日本における食文化の歴史は、長年にわたり守り継がれてきた伝統的な味わいの数々に裏打ちされています。1914年に森永ミルクキャラメルが発売されて以来、味噌やしょうゆ、米や野菜など、昔ながらの食材が時代とともに進化を遂げてきました。

1918年の森永ミルクチョコレートに続き、1919年にはカルピスが誕生。翌1921年にはブルドックソースが、1922年にはグリコや不二家のショートケーキが製品化されました。1923年に森永マリービスケットとユーハイムバームクーヘンが相次いで登場し、1926年に明治ミルクチョコレートが加わりました。

こうした歴史に裏打ちされた日本の食文化は、素朴ながらも奥深い味わいを持っています。それらの食品は、単なる食材以上の存在として、時代を超えて私たちの心に寄り添い続けてきたのです。守り伝えられた味には、生活の中に溶け込んだ力強さがあり、私たちにとって心の拠り所ともなっているのです。

まとめ

たとえば羊羹は、和三盆からヒントを得て生まれた練り菓子です。黒ごまきなこの優雅な香りと、こくのある甘さが絶妙です。一方、カステラは長崎の西洋文化の影響を色濃く受けています。卵の風味豊かな食感と上品な甘さが魅力的ですね。あずきとキャラメルも不思議な調和を生み出しています。お茶と供に懐かしく、そして新鮮な味わいを堪能できるでしょう。