用途に合わせて選ぼう!さつまいもの品種を食感別に徹底解説
秋の味覚として親しまれるさつまいもは、自然な甘さとホクホクとした食感が魅力。焼き芋やお菓子作り、おかずなど、様々な用途で楽しめます。実は、さつまいもには数十種類もの品種があり、それぞれ食感や味わいが異なるのをご存知でしょうか?この記事では、用途に合わせて最適な品種を選べるよう、さつまいもの食感を「ねっとり」「ほくほく」「しっとり」の3つに分類し、それぞれの特徴やおすすめの調理法を徹底解説。さつまいもの奥深い世界へご案内します。

さつまいもの魅力と多様性

秋の味覚として親しまれるさつまいもは、その自然な甘さと温かみのある風味で、多くの人々を魅了します。焼き芋をはじめ、スイートポテトや大学芋、芋ようかんといった定番のおやつから、さつまいもご飯、天ぷら、煮物、ポタージュなど、様々な料理の材料としても重宝されています。現在では、40~60種類もの多様な品種が栽培されており、それぞれの特徴を活かして、用途や好みに合わせた使い分けが可能です。この記事では、様々なさつまいもの品種を、食感の違いに焦点を当てて詳しく解説し、おすすめの調理方法をご紹介します。

さつまいもの食感別分類:ほくほく系、ねっとり系、しっとり系

さつまいもは、食感によって大きく「ほくほく系」「ねっとり系」「しっとり系」の3つのタイプに分類できます。この分類を知っておくと、さつまいもを選ぶ際の参考になり、それぞれの特徴を最大限に引き出す調理法を選ぶことで、より一層美味しくさつまいもを楽しむことができます。

【ほくほく系】さつまいもの種類と食べ方|焼き芋・天ぷら・レモン煮に

ほくほく系のさつまいもは、しっかりとした食感と控えめな甘さが特徴です。2000年代初頭までは、日本で栽培されるさつまいもの主流を占めていました。昔ながらのさつまいもらしい味わいを求めるなら、ほくほく系がおすすめです。水分が比較的少なく、口の中でほろほろと崩れるような食感と、上品な甘さが楽しめます。ただし、水分が少ないため、一口でたくさん食べると喉に詰まりやすいので、ゆっくりとよく噛んでから飲み込むようにしましょう。
おすすめの食べ方は、定番の焼き芋はもちろん、その食感を活かした天ぷらや煮物、炒め物、サラダなどにも適しています。香川県で有名な〈坂出金時〉もこのタイプです。

ベニアズマ

ベニアズマは、生食用さつまいもとして国内トップクラスのシェアを誇る、非常に人気の高い品種です。「紅あずま」や「べにあずま」と表記されることもありますが、正式な品種名はカタカナの「ベニアズマ」です。茨城県や千葉県を中心に、東日本で広く栽培されており、どこか懐かしい、素朴で安定した美味しさが、誕生から30年以上経った現在でも多くの人に愛されています。

鳴門金時

徳島県を代表するさつまいも、鳴門金時。その魅力は、なんといっても上品な甘さと、ほっくりとした食感です。焼き芋はもちろん、天ぷらやお菓子など、様々な用途でその美味しさを楽しめます。

【ねっとり系】さつまいもの種類と食べ方|焼き芋・お菓子・干し芋に

ねっとり系のさつまいも人気に火をつけたのは、鹿児島県種子島産の「安納いも」です。2003年頃から人気が爆発し、今では定番の品種となりました。特徴は、水分を多く含んだ粘り気のある食感と、焼き芋にすると蜜が滴るほどの強い甘み。まさに、近年人気の「蜜芋」の代表格と言えるでしょう。加熱すると、そのねっとりとした食感はさらに際立ち、スプーンですくって食べたり、パンにジャムのように塗って食べるのもおすすめです。
ねっとり系のさつまいもは、焼き芋はもちろん、濃厚な甘さを活かしたお菓子や、風味豊かな干し芋にも最適です。

安納紅(安納いも)

「安納いも」という名前で広く知られている安納紅は、ねっとり系さつまいもの代表的な品種です。そのルーツは、戦後にインドネシアから持ち込まれたさつまいもを改良したもので、品種開発の地である種子島の安納地域にちなんで名付けられました。他のさつまいもとは一線を画す、まるでクリームのような食感と、奥深い甘みは、一度食べたら忘れられない味わいです。ねっとり系さつまいもブームを牽引した、まさに立役者と言えるでしょう。

べにはるか

収穫後、一定期間貯蔵・熟成させることで、安納いもにも匹敵する甘さとねっとり感を引き出すことができるべにはるか。2007年の品種登録以降、その人気は全国区となり、今や不動の地位を確立しています。美しい形状も特徴で、丸ごと焼き芋にした時の見栄えも抜群です。クセのない味わいは、和菓子や洋菓子など、様々なスイーツとの相性も抜群。焼くだけで十分な甘さがあるので、料理に使う際は甘くなりすぎることもあるので注意が必要です。

【しっとり系】さつまいもの種類と食べ方|万能に活躍する注目の品種

しっとり系のさつまいもは、ほくほく系とねっとり系の中間的な食感が特徴で、その上品で滑らかな口当たりが人気を集めています。甘さも両者の中間程度で、しっかりとした甘味を感じつつも、比較的さっぱりと味わえるのが魅力です。適度な水分量となめらかな舌触り、そして上品な甘さが、様々な料理に使いやすい理由と言えるでしょう。
焼き芋として美味しくいただけるのはもちろんのこと、お菓子作りから普段の料理まで、幅広い用途で活躍できる、まさにさつまいも界のオールラウンダーです。

高系14号(なると金時・紅さつま等)

高系14号は、1945年に品種登録された歴史ある品種で、現在もベニアズマと並んで主要な品種の一つとして、主に西日本で栽培されています。各地で高系14号から派生した独自のブランドが開発されており、石川県の「五郎島金時」、徳島県の「なると金時」、宮崎県の「宮崎紅」、鹿児島県の「紅さつま」などがその代表例です。ほくほく感とねっとり感のバランスが絶妙で、様々な料理に活用できる汎用性の高さが魅力です。

シルクスイート

近年特に注目を集めているのが、絹のような滑らかな舌触りが魅力のシルクスイートです。「シルクスイート」は商標名であり、正式な品種名は「HE306」と言います。従来のさつまいものイメージを覆すような、ふんわりとした口どけは、まるで高級スイーツを味わっているかのようです。2012年に誕生した比較的新しい品種ですが、メディアでも頻繁に取り上げられる、今やエース級の存在です。

クイックスイート

「電子レンジ調理に最適」というユニークな特徴で知られるクイックスイートは、名前の通り、手軽な時短調理にぴったりの品種です。低い温度でも糖に分解されやすい特殊なでんぷんを含んでいるため、通常甘味が失われがちな電子レンジ加熱でも、十分に甘味を引き出すことができます。手軽に食べられるため、ちょっと小腹が空いた時などにもおすすめです。

多彩なさつまいも品種:紫・オレンジ・白、それぞれの魅力と活用法

さつまいもの果肉の色といえば、黄色が一般的ですが、実は様々な色を持つ品種が存在します。ここでは、紫色、オレンジ色、白色のさつまいも品種に焦点を当て、それぞれの特徴とおすすめの用途をご紹介します。

紫色

一般的に「紫いも」として知られる、赤紫色から紫色のさつまいもです。その鮮やかな色合いは、ポリフェノールの一種であるアントシアニンによるもので、健康効果も期待できます。青果用としては、パープルスイートロードやふくむらさきといった品種があり、焼き芋、お菓子、サラダなどに利用すると、見た目にも美しく、食卓を彩ります。また、加工用としては、アヤムラサキやムラサキマサリなどが知られ、天然色素、ジュース、ペースト、パウダーなどに加工されています。

オレンジ色

β-カロテンを豊富に含むオレンジ色のさつまいもは、まるでかぼちゃのような鮮やかな色合いが特徴です。青果用のアヤコマチやハロウィンスウィートは、加熱することでさらに色が濃くなり、焼き芋やお菓子にすると見た目も楽しめます。加工用としては、ジュース用のジェイレッドやパウダー用のサニーレッドなどがあります。β-カロテンは抗酸化作用に優れており、美容と健康をサポートする効果が期待されています。

白色

白色のさつまいもは、でんぷん含有量が非常に多く、主に加工用として利用されています。中でもコガネセンガンは、あまり知られていないかもしれませんが、実は国内のさつまいも作付面積でトップを誇る主要品種です。芋焼酎の原料として広く使われており、現在市販されている芋焼酎の9割以上がこの品種から製造されています。その他、シロユタカやこなみずきなど、でんぷん加工に適した品種もあり、清涼飲料水の甘味料や春雨の原料としても活用されています。

さつまいものカロリーと糖質

さつまいもの品種によって甘さが異なるということは、カロリーや糖質の量にも違いがあるのかどうか、気になるポイントですよね。一般的に、ホクホクとした食感のさつまいもよりも、ねっとりとした食感やしっとりとした食感のさつまいもの方が、甘みが強く、カロリーや糖質も高めであると言われています。しかし、さつまいもの栄養価は、収穫後の保管状況や調理方法によって大きく変動するため、必ずしも上記の傾向に当てはまるとは限りません。

まとめ

この記事では、様々な品種のさつまいもについて、食感の違いや特徴、おすすめの食べ方などを詳しくご紹介しました。さつまいもを選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。それぞれの品種が持つ個性を最大限に引き出す調理方法で、さつまいもをより美味しく味わってみてください。秋の味覚であるさつまいもを心ゆくまで堪能し、食卓をより一層豊かに彩りましょう。

質問:さつまいもの品種でカロリーに差はありますか?

回答:一般的に、ねっとり系やしっとり系の品種は、ホクホク系よりも甘みが強いため、カロリーもやや高い傾向があります。ただし、調理方法や保存状態によっても変化するため、一概には断言できません。

質問:さつまいもの最適な保存方法を教えてください。

回答:さつまいもは、新聞紙で包んで、風通しの良い日の当たらない場所で保存するのがおすすめです。冷蔵庫で保存すると、低温障害を起こす可能性があるため、避けるようにしましょう。

質問:紫色のサツマイモ、どんな料理に合うの?

回答:紫色のサツマイモは、ポリフェノールの一種であるアントシアニンをたっぷり含んでいます。この鮮やかな色合いを活かして、焼き芋はもちろん、天ぷらにしたり、スイーツ作りに活用したりするのがおすすめです。見た目も美しく仕上がります。さらに、色味を最大限に引き出すために、ジャムやペーストにして楽しむのも良いでしょう。
さつまいも