お菓子作りでベーキングパウダーを切らした時のピンチを救う情報です。身近な材料で代用する方法や注意点を解説し、蒸しパンを使った検証結果から、膨らみ具合、食感、味の違いを比較します。効果がない代用品とその理由も紹介。ベーキングパウダーの品質確認方法と合わせて、代用品選びの参考に、お菓子作りを楽しみましょう。

ベーキングパウダーの基本:役割、重曹との違い、適切な保存方法と鮮度確認
ベーキングパウダーは、お菓子やパン作りで生地をふっくらさせる膨張剤で、炭酸水素ナトリウム、酸性剤、遮断剤が主成分です。水分と熱を加えることで炭酸ガスを発生させ、生地を膨らませます。ベーキングソーダ(重曹)も同様の効果を持ちますが、膨張の仕組みや焼き色が異なります。ベーキングパウダーは水分と加熱で反応し、仕上がりの色に影響を与えにくい一方、重曹は主に加熱で反応し、やや黄色っぽい焼き色になることがあります。保存方法としては、温度変化の少ない涼しく乾燥した場所で、密閉容器に入れて常温保存するのが最適です。冷蔵庫での保存は結露しやすく、膨張力が低下する原因となります。開封後の賞味期限は約半年から1年ですが、熱湯に少量加えて泡立ちを確認することで、品質をチェックできます。泡立ちが悪い場合は、膨張力が失われている可能性があるため、新しいものに交換しましょう。
ベーキングパウダーの代用品を徹底比較:蒸しパンで検証!
ベーキングパウダーがない場合でも、お菓子作りを諦める必要はありません。身近な材料で代用できるものがたくさんあります。今回は、ベーキングパウダーの主な代用品として考えられるさまざまな材料を使って、実際に蒸しパンを作り、膨らみ具合、食感、香り、味、そして時間の経過による変化を徹底的に比較検証しました。各項目の評価は5段階の星評価(★が多いほど高評価)で示しており、代用品を選ぶ際の参考になるでしょう。この検証結果は、蒸しパンというシンプルなお菓子で代用品の特性を明確にするために行いましたが、他の焼き菓子などに応用する際にも、それぞれの材料が持つ膨張力や風味の特徴を理解する上で役立ちます。
【本家】ベーキングパウダーを使った仕上がり
まずは基準として、通常のベーキングパウダーを使って蒸しパンを作りました。予想通り、見た目もふんわりとしていて、食感も非常に柔らかく、理想的な仕上がりになりました。
ふっくら感と弾力性:★★★★★
試した中で一番大きく膨らみ、約4cmの高さになりました。指で軽く押すと、やわらかく心地よい弾力があり、見た目の色も白みがかった黄色で、とても美味しそうです。
内部の空気の入り具合:★★★★★
蒸しパンの断面は均一でふんわりとしており、内部には適度な空気が含まれているのが分かりました。これは、ベーキングパウダーが効率よく炭酸ガスを発生させ、生地全体に気泡を均等に行き渡らせたことによるものです。
香りや味:★★★
かすかな甘い香りが漂い、砂糖の自然な甘さが感じられる、シンプルな味わいの蒸しパンになりました。ベーキングパウダー自体が風味に大きく影響しないため、素材本来の味を堪能できます。
時間の経過による変化:★★★★★
調理してから2時間経っても、蒸しパンの弾力やふっくらとした食感はほとんど変わらずに保たれていました。時間が経っても品質が劣化しにくく、作り置きにも向いていると言えます。
【代用】重曹を使った場合
重曹をベーキングパウダーの代替として使用した場合について解説します。重曹はベーキングパウダーに含まれる成分の一種であり、ベーキングパウダーよりも強い膨らませる力を持っています。そのため、レシピに記載されているベーキングパウダーの量の半分程度を目安に代用することを推奨します。必ず食品グレードの重曹を使用してください。重曹には生地を膨らませる効果がありますが、独特の苦味やにおいが残る可能性があり、また、ベーキングパウダーを使った場合と比較して、やや黄色味がかった仕上がりになることがあります。
膨らみと弾力:★★★★
ベーキングパウダーを使った場合と比べると、やや小さめの膨らみでしたが、十分に高さは出ていました。ベーキングパウダーで作ったものより少し弾力があり、見た目には重曹の影響で、やや黄色い色味が強く出ていました。
断面の空気感:★★★★
断面を見てみると、ベーキングパウダーを使ったものより少し密度が高いように感じましたが、表面はふっくらとしており、内部にも適度な空気が含まれていました。全体的に見て、膨らみ具合は良好と言えるでしょう。
風味と味わい:★★
重曹特有のにおいは、ほとんど気になりませんでした。味はベーキングパウダーを使った場合と同様に、砂糖の優しい甘さが感じられ、シンプルな味わいです。もし重曹の風味が気になるようであれば、ヨーグルトやレモン汁のような酸性の材料を少量加えることで中和され、風味を改善できることがあります。
時間経過後の安定性:★★★
製造後、時間が経過しても、重曹を代替品として用いた蒸しパンは、その形状や食感において大きな変化は見られませんでした。若干硬さが増す程度で、外観上の印象はほぼ変わらず、安定していました。
【代用】ドライイーストでの仕上がり
パン作りによく使われるドライイーストも、ベーキングパウダーの代替品として実験しました。ドライイーストは酵母の力で生地を膨らませますが、ベーキングパウダーが即座に炭酸ガスを発生させるのとは異なり、ドライイーストは酵母が発酵するまで時間がかかります。使用量はベーキングパウダーと同じ量で代用できますが、出来上がりは、ふわふわの蒸しパンというより、パンのようなしっかりとした弾力が特徴です。ただし、ドライイーストはパンを作る際によく使用されるため、お菓子に使用すれば、ふんわりとした食感に仕上げやすいという利点があります。
膨らみと弾力:★★★
ベーキングパウダーや重曹と比べると、高さは控えめで、ふんわりとした軽さよりも、どっしりとした重みのある仕上がりとなりました。これは、イーストの発酵による独特の膨らみ方によるものです。
断面の空気感:★★★
重曹で代用した蒸しパンと同様に、内部がしっかりと詰まった断面が見られました。手で押すと、しっかりとした反発力があり、蒸しパンとしてはやや硬めの食感です。
風味と味わい:★★★★
自家製パンのような、穀物の香ばしさが際立つ仕上がりとなりました。蒸しパンというよりは、パンをそのまま味わっているような、独特の風味が楽しめます。
時間経過後の安定性:★★★
出来立て直後と比較すると、時間の経過とともに若干硬くなる傾向が見られました。しかし、形が大きく崩れることはなく、安定した状態を保っていました。
【代用】ホットケーキミックスでの仕上がり
ホットケーキミックスは、ベーキングパウダーの代替というよりも、小麦粉の代替として生地に活用できる便利な材料です。配合材料として既にベーキングパウダーが含まれているため、生地にホットケーキミックスを使用することで、追加でベーキングパウダーを加えなくても十分に膨らみます。使用する際は、レシピに記載されている小麦粉の分量を置き換えるようにして使用してください。ホットケーキミックスには砂糖などの甘みが加えられているため、甘いお菓子やパン作りに適しています。
膨らみと弾力:★★★★★
通常のベーキングパウダーを使用した蒸しパンと比べて、見た目の膨らみ具合に大きな差は見られませんでした。弾力についても、ホットケーキミックスを使用した方がやや強い印象を受けましたが、ベーキングパウダー使用時との差はわずかです。
断面の空気感:★★★★
ベーキングパウダーを使用したものと比べると、若干生地が詰まっているように感じられるかもしれませんが、断面を見ても遜色なく、十分にふっくらとした焼き上がりであることがわかります。
風味と味わい:★★★★★
ホットケーキを焼く際に漂う、あの甘く香ばしい独特の香りが特徴です。特にホットケーキミックスを使った場合は、この香りが出来上がりの風味を大きく左右します。
時間経過後の安定性:★★★★
調理後しばらく時間が経っても、品質の劣化はほとんど見られません。膨らみや食感が長持ちするため、作り置きにも安心して利用できます。

酸性素材と重曹を組み合わせた代替手段
重曹はアルカリ性ですが、酸性の食品素材と混ぜ合わせることで炭酸ガスを生成し、生地を効果的に膨らませる役割を果たします。ベーキングパウダーが手元にない場合でも、家庭にあるこれらの材料を活用すれば、美味しい焼き菓子を作ることが可能です。ここでは、様々な酸性素材と重曹を組み合わせた代替方法と、それぞれの特性について解説します。一般的に、酸性素材と重曹は2:1の割合で混ぜるのがおすすめです。また、重曹やクエン酸には食用と掃除用がありますが、品質や製造過程、管理方法などが異なるため、必ず食用を使用してください。それぞれの材料が持つ独自の風味や性質を理解し、作りたいお菓子のレシピや理想の仕上がりに合わせて適切に選びましょう。
無糖ヨーグルト
毎日の食卓でおなじみの無糖ヨーグルトは、実はお菓子作りでも頼りになる存在です。ヨーグルトに含まれる酸が、重曹と反応してベーキングパウダーの代わりになります。ベーキングパウダー小さじ1の代わりに、重曹小さじ1/4と無糖ヨーグルト120ml程度を使用してください。生地の水分量が多くなりすぎるのを防ぐため、レシピ中の他の液体材料を同量程度減らすことをおすすめします。また、お好みのフルーツヨーグルトを使えば、風味豊かなお菓子作りも手軽に楽しめます。
お酢
お料理だけでなく、お掃除にも活躍するお酢は、焼き菓子のふっくら感を出すためにも利用できます。重曹とお酢を混ぜ合わせると発生する炭酸ガスが、生地を膨らませる役割を果たします。ベーキングパウダー小さじ1の代替として、お酢小さじ1/2と重曹小さじ1/4を混ぜて使用すると、味への影響を最小限に抑えられます。もし酸味が気になるようでしたら、ほんのひとつまみの砂糖を加えることで、味のバランスを調整できます。
レモン汁
フレッシュなレモン果汁に含まれるクエン酸も、お酢と同様に、焼き菓子の膨張剤として活用できます。レモン汁の酸が重曹と反応し、炭酸ガスを発生させて生地をふっくらと仕上げます。ベーキングパウダー小さじ1の代わりに、重曹小さじ1/4とレモン汁小さじ1/2を混ぜて使うのがおすすめです。レモンならではの爽やかな香りが、お菓子にアクセントを加えてくれます。
バターミルク
パンケーキやマフィンにバターミルクが使われるのは、生地を膨らませる効果があるからです。バターミルクに含まれる酸が重曹と反応することで、焼き菓子を理想的な状態に膨らませることができます。ベーキングパウダー小さじ1の代用として、バターミルク120ml程度と重曹小さじ1/4を組み合わせて使用します。生地の硬さを適切に保つために、レシピに記載されている他の液体材料の量を120ml程度減らしてください。製菓・製パン材料店では、よつ葉乳業の「北海道バターミルクパウダー」のような製品も手に入ります。これは、バター製造時に生まれるバターミルクを乾燥させたもので、風味豊かなお菓子作りに役立ちます。
クリームオブタータ(酒石酸水素カリウム)
ベーキングパウダーの代替品として特に役立つのは、クリームオブタータと重曹を組み合わせたものです。クリームオブタータは、ワイン製造時に生まれる副産物で、酸性の白い粉末であり、別名、酒石酸水素カリウムとも呼ばれます。もし両方の材料が揃っているなら、ベーキングパウダー小さじ1の代わりに、重曹小さじ1/4とクリームオブタータ小さじ1/2を混ぜて使用できます。また、メレンゲを作る際の必需品でもあり、卵白に少量加えるだけで、きめ細かく、しっかりとしたメレンゲを作ることができ、シフォンケーキなどをふっくらと焼き上げるのに貢献します。「NICHIGA ニチガ 天然重曹 5kg」は、アメリカ・コロラド州産の無添加天然重曹で、食品添加物としてパンやケーキ作りに利用可能です。「TOMIZ L-酒石酸水素カリウム(ケレモル、クリームオブターター)30g」も、製菓材料店などで入手できます。
糖蜜(モラセス)
独特の風味を持つ甘い糖蜜も、その酸性度によって、重曹と反応して炭酸ガスを発生させ、生地を膨らませる効果が期待できます。ただし、ベーキングパウダー小さじ1の代替として、糖蜜60mlと重曹小さじ1/4が必要となるため、どんなレシピにも使えるわけではありません。特に、糖蜜は風味豊かなため、お菓子の風味が多少変わっても許容できる場合にのみ使用するのが良いでしょう。ジンジャーブレッドなど、糖蜜の風味が活きるお菓子には最適です。
サワーミルク
少し古くなった牛乳、いわゆるサワーミルク(酸味のある牛乳)も、バターミルクと同様に酸性であるため、ベーキングパウダーの代わりとして使用できます。ただし、使うのは酸っぱい匂いがするサワーミルクだけに限ります。もし塊ができていたり、不快な臭いがする場合は、使用を避けるのが賢明です。ベーキングパウダー小さじ1の代替として、サワーミルク約120mlと重曹小さじ1/4の組み合わせが推奨されます。さらに、生地の水分量を調整するために、他の液体の材料を約120ml減らすことを忘れないでください。もしサワーミルクがない場合は、牛乳約240mlにレモン汁大さじ1を加え、2分ほど置いておけば、手軽に自家製サワーミルクを作ることができます。
その他のベーキングパウダー代替手段
ベーキングパウダーの代替として、上記以外にも、特定の条件で活用できる材料が存在します。これらの材料は、ベーキングパウダーそのもののような膨張効果を発揮するわけではありませんが、レシピの特性に合わせて工夫することで、お菓子作りの可能性を広げることができます。
セルフライジングフラワー
海外のレシピでよく見かける「セルフライジングフラワー」。これは、あらかじめベーキングパウダーと塩を混ぜ合わせた便利な小麦粉です。ビスケットや手軽なパン作りに重宝します。もしセルフライジングフラワーをお持ちなら、レシピの小麦粉をそのまま置き換えるだけで、ベーキングパウダーなどを個別に加える手間が省けます。例えば、「White Wings ホワイトウイング セルフレイジングフラワー1kg」のような高品質な製品は、オーストラリア産の小麦を使用しており、通常の小麦粉と同じように様々な料理に活用できます。
天ぷら粉
意外かもしれませんが、天ぷら粉もベーキングパウダーの代替として使用できます。ただし、天ぷら粉には甘みがないため、お菓子やパンを作る際は、レシピに従って砂糖などの甘味料を加えてください。天ぷら粉には、小麦粉やでん粉に加え、卵黄や卵白を粉末にした卵粉などが配合されているため、生地がふんわりと、外側はサクサクに仕上がります。
お好み焼き粉
しょっぱい系のパンやお菓子を作るなら、ベーキングパウダーの代わりにお好み焼き粉を試してみてはいかがでしょうか。お好み焼き粉には塩や出汁が含まれているため、甘いお菓子にはあまり向きません。ただし、メーカーによって塩分や出汁の配合が異なるため、使用前に商品のパッケージを確認し、調味料の量を調整するようにしてください。
代用には不向きだが使用可能な材料とその特徴
ベーキングパウダーの代用品として名前が挙がるものの、今回の蒸しパンの実験では、期待するほどふっくらとした仕上がりにならなかった材料について解説します。これらの材料も生地を膨らませる作用はありますが、特定の条件や用途が限られるため、ベーキングパウダーのような効果を得るのは難しい場合があります。しかし、他の種類の焼き菓子などでは有効な場合もあるため、それぞれの特性を理解した上で使い分けることが大切です。
炭酸水
ベーキングパウダーや重曹が生地を膨らませる仕組みと同様に、炭酸水に含まれる炭酸ガスも生地を膨らませる効果が期待できるため、代用品として活用できます。もし、ベーキングパウダーや重曹が手元にない緊急時には、プレーンな炭酸水(フレーバーのないもの)を生地に直接加えて、炭酸ガスを発生させることができます(お菓子の風味を調整できるのであれば、ソーダ水でも代用可能です)。使用する際は、レシピで指定されている牛乳などの液体の分量を、同量の炭酸水に置き換えてください。ただし、炭酸水は重曹の主成分である炭酸ナトリウムの含有量が少ないため、蒸しパンのようなしっかりとした生地よりも、ホットケーキのように水分を多く含む生地での代用の方が、より効果を発揮します。これは、炭酸ガスが生地全体に拡散しやすく、気泡を保持しやすい状態を作り出すためです。しかし、炭酸水を加えることで生地の水分量が増え、うまく膨らまない可能性もあり、ベーキングパウダーの代替として使用すると失敗しやすいと言えます。生地の出来上がりを最良の状態にするには、レシピ内の液体材料すべてを(液体の材料が風味に大きく影響しない場合に限り)炭酸水に置き換えるのがおすすめです。
膨らみと弾力:★(蒸しパンでの結果)
残念ながら、蒸しパンにおいては、ふっくらとした仕上がりには程遠く、期待したほどの高さも出ませんでした。生地が凝縮されたような、非常に重たい質感です。
断面の空気感:★(蒸しパンでの結果)
断面を確認しても、ほとんど高さが見られず、生地がそのまま硬くなったような状態でした。空気の含有量が極めて少なく、ずっしりとした印象です。
風味と味わい:★(蒸しパンでの結果)
香りはほとんどなく、味もほとんど感じられませんでした。生地本来の風味がかすかに感じられる程度でした。
時間経過後の状態:★(蒸しパンでの検証結果)
焼き上がり直後からの高さの変化はわずかでしたが、時間が経つにつれて硬さが増していきました。
卵白(メレンゲ)を活用する
卵白を泡立てて作るメレンゲも、生地に空気を含ませることで、ふっくらとした仕上がりを期待できる代替手段です。メレンゲを代用する際には、卵白1個分をしっかりと泡立て、角が立つ状態にしてから、泡を潰さないように丁寧に生地と混ぜ合わせることがポイントです。この方法は、パンケーキやワッフルのように、卵1~2個分の卵白で十分な、あまり高さを必要としないお菓子作りに適しています。ただし、メレンゲはオーブンで焼き上げるクッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子に使用する方が、高温によって泡が安定しやすく、形状を保ちやすいためおすすめです。これらの焼き菓子では、メレンゲを加えることで、軽やかでサクサクとした食感を生み出すことができます。蒸しパンのような蒸し料理では、メレンゲの気泡が維持されにくい傾向があります。
膨らみと弾力:★★(蒸しパンでの検証結果)
炭酸水を使った場合に比べると、若干の膨らみは見られましたが、一般的に想像されるような、ふっくらとした蒸しパンのような高さには至りませんでした。
内部の空気感:★★(蒸しパンでの検証結果)
生地の内部は密度が高く、十分な空気を含んでいない状態でした。そのため、ふんわりとした食感には欠け、やや重たい仕上がりとなりました。
風味と味わい:★(蒸しパンでの評価)
香りはほとんど感じられず、味も非常にシンプルです。素材本来の味が前面に出るため、風味の変化は期待できません。
時間経過後の安定性:★(蒸しパンでの評価)
蒸した直後はある程度膨らみますが、時間が経つにつれて徐々にしぼんでしまい、最初のボリュームを維持することが難しい結果となりました。
ベーキングパウダーの代替として不向きな材料とその理由
ベーキングパウダーの代わりとして名前が挙がるものの、実際には生地を十分に膨らませる効果が期待できない、あるいは単独では効果を発揮しない材料があります。ここでは、そのような材料について、なぜ代用が難しいのかを詳しく説明します。
マヨネーズ
卵と酢を主な原料とするマヨネーズは、膨張効果があるように思われるかもしれませんが、単独では生地を膨らませる力はありません。生地を膨らませるためには、炭酸ガスの発生が不可欠ですが、マヨネーズ自体にはそのガスを生成する成分が含まれていないためです。ただし、マヨネーズは酸性であるため、炭酸水素ナトリウム(重曹)と組み合わせることで、化学反応を起こして炭酸ガスを発生させ、膨張剤として利用することができます。重曹をベーキングパウダーの代わりに使用する際には、マヨネーズを少量加えることで、生地の風味を向上させる効果が期待できます。したがって、マヨネーズをベーキングパウダーの代用品として使用する場合は、必ず重曹を併用し、適切な割合で混ぜ合わせる必要があります。マヨネーズだけでは代用できません。
片栗粉
片栗粉は、じゃがいもから抽出したデンプンを粉末状にしたものです。見た目が似ているため、ベーキングパウダーの代わりに使えるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、残念ながら片栗粉は生地を膨らませる効果は期待できません。なぜなら、片栗粉はデンプンが主成分であり、ベーキングパウダーのように炭酸ガスを発生させる機能がないからです。しかし、お菓子作りにおいて片栗粉は非常に役立つ存在です。例えば、クッキー生地に少量加えることで、サクサクとした独特の食感を出すことができます。また、料理にとろみをつけたり、揚げ物の衣として活用したりすることも可能です。片栗粉を別の材料で代用したい場合は、小麦粉や米粉、コーンスターチなどが考えられます。これらの代用品は、片栗粉の用途に合わせて選ぶことが大切です。例えば、とろみ付けには小麦粉やコーンスターチ、揚げ物の衣には米粉などが適しています。
小麦粉(薄力粉・強力粉)
小麦粉は、お菓子作りによく使われる材料ですが、残念ながらベーキングパウダーの代わりにはなりません。小麦粉自体には、生地を膨らませる効果がないからです。例えば、スポンジケーキを作る際に小麦粉を使いますが、ベーキングパウダーがないと、生地がうまく膨らまず、べちゃっとした仕上がりになってしまいます。ベーキングパウダーの代用として使えるのは、ホットケーキミックスや天ぷら粉のように、膨張剤が含まれているものです。ちなみに、薄力粉の代用品としては、強力粉を使うことも可能です。薄力粉と強力粉は、グルテンの量に違いがあり、それぞれ適した用途が異なります。パンやピザには強力粉、ケーキやクッキーには薄力粉を使うのが一般的ですが、それぞれの特性を理解していれば、代用することも可能です。
コーンスターチ
コーンスターチは、とうもろこしを原料とするデンプン質の粉末で、片栗粉よりも粘度が低いのが特徴です。残念ながら、コーンスターチもベーキングパウダーの代わりにはなりません。なぜなら、片栗粉と同様に、生地を膨らませるための成分が含まれていないからです。コーンスターチは、主に料理にとろみをつける目的で使用されます。特に、カスタードクリームのような、なめらかでとろっとしたクリームを作るのに適しています。コーンスターチの代用品としては、小麦粉や片栗粉、米粉などが挙げられます。作りたい料理や求める食感によって、最適な代用品を選ぶと良いでしょう。
スポンジケーキやマフィンなどの焼き菓子はベーキングパウダーが不可欠
蒸しパンの代用検証を通して、いくつかの材料がベーキングパウダーの代わりになる可能性が示されました。しかし、特に蒸しパンのようにシンプルな菓子では、代用する材料によって風味や食感が大きく変わることがあります。理想的なふんわり感や食感を求めるなら、代用は難しい場合もあるでしょう。特に、スポンジケーキやマフィン、シフォンケーキ、パウンドケーキといった本格的な焼き菓子を作る際は、ベーキングパウダーが欠かせません。ベーキングパウダーは、生地を適切に膨らませ、均一でしっとりとした食感を生み出す重要な役割を担っています。これらの菓子を作る際には、レシピに記載された通りの量のベーキングパウダーを使用するか、代用する場合はその特性をよく理解した上で慎重に選ぶことが大切です。最高の仕上がりを求めるのであれば、良質なベーキングパウダーを使用するのが最も確実な方法と言えるでしょう。
ベーキングパウダー代用で作る簡単レシピ集
ベーキングパウダーがない時でも大丈夫!代用品を使った、手軽でおいしいお菓子レシピをご紹介します。今回は、重曹やホットケーキミックスを駆使した、パウンドケーキ、マドレーヌ、蒸しパンのレシピを厳選して3つお届け。どれも簡単ステップで、お子様と一緒に楽しく作れますよ。
【重曹でふっくら】バナナとウォールナッツのパウンドケーキ
バナナの優しい甘さと、くるみの香ばしさが絶妙なパウンドケーキです。軽くローストしたくるみを加えることで、風味と食感が格段にアップ。朝食にはもちろん、午後のティータイムにもぴったりの一品です。
材料(18cmパウンド型)
作り方
【重曹と酸味でしっとり】濃厚ショコラマドレーヌ
深みのあるブラックチョコレートと、風味豊かな純ココアを贅沢に使用した、濃厚なショコラマドレーヌ。甘さを調整したい場合は、グラニュー糖の量を調整してくださいね。
材料(直径6cmアルミカップ6個分)
※ヨーグルト、レモン汁、マヨネーズ、クエン酸など
作り方
【ホットケーキミックスにおまかせ】ほっこりかぼちゃの蒸しパン
ホットケーキミックスがあれば、あっという間に作れるかぼちゃの蒸しパン。少ない材料で手軽に作れるので、お菓子作り初心者さんにもおすすめです。ふわふわの食感と、かぼちゃの優しい甘みが特徴で、消化が良いのも嬉しいポイント。野菜嫌いのお子様にもおすすめです。
材料(直径7cm×高さ6cmマフィン型10個分)
作り方
ベーキングパウダーの代用品を使いこなそう
もしベーキングパウダーがなくても、色々なもので代用できます。もし急にベーキングパウダーがなくなってしまったときや、いつもと違う味や食感のお菓子に挑戦したいときは、ここで紹介した代用品を試してみてください。ただし、それぞれの代用品が持つ膨らむ力や風味、どんな料理に合うかを理解して、作りたいものに合わせて選ぶことが大切です。今回の蒸しパンの実験結果を参考にして、あなたの状況や目的に合った一番良いベーキングパウダーの代わりを見つけて、お菓子作りをもっと楽しんでください。
まとめ
ベーキングパウダーは重曹、酸性剤、コーンスターチを混ぜたもので、水分と熱で炭酸ガスを発生させ生地を膨らませます。重曹も代用できますが、ベーキングパウダーとは膨らむ仕組みや仕上がりの色に違いがあります。保存時は密閉容器に入れ冷暗所に保管し、開封後は半年から1年で使い切りましょう。古くなったか不安な場合は、熱湯に少量入れて泡が出るか確認できます。代用品としては、重曹とヨーグルトなどの酸性材料、ホットケーキミックス、セルフライジングフラワー、天ぷら粉などが使えます。重曹を使う場合は酸味のある材料と組み合わせるのがポイントです。炭酸水やメレンゲも一部レシピで代用可能ですが、片栗粉などは代用できません。本格的な焼き菓子にはベーキングパウダーが適していますが、状況に応じて代用品を使い分け、お菓子作りを楽しみましょう。

ベーキングパウダーの代わりとして、何が一番良いですか?
蒸しパンを使った実験では、重曹とホットケーキミックスがベーキングパウダーと同じくらい膨らんで美味しく作れることがわかりました。特に、ふわふわにしたいとか、しっかり膨らませたいなら、これらが一番良いでしょう。
重曹をベーキングパウダーの代わりとして使うときに、何か注意することはありますか?
重曹はベーキングパウダーの半分くらいの量を目安にして使い、必ず食べられるものを選んでください。重曹はアルカリ性なので、生地が少し黄色っぽくなることがあります。また、重曹の味が気になる場合は、ヨーグルトやレモン汁などの酸っぱいものを少し(重曹と酸っぱいものを2:1の割合で)加えると、味が良くなります。
炭酸水や泡立てた卵白は、ベーキングパウダーの代わりになりますか?
炭酸水とメレンゲは、どちらも生地をふっくらとさせる効果が期待できますが、どっしりとした生地を膨らませる用途には不向きな場合があります。炭酸水は水分を多く含むパンケーキなどに、メレンゲはオーブンで焼き上げるクッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子に向いています。お菓子の種類によって使い分けることがポイントです。
古いベーキングパウダーでも使用できますか?
ベーキングパウダーは、開封してからおよそ半年から1年、未開封であれば約1年が品質保持の目安です。時間が経つと、膨らませる効果が弱まることがあります。少量のお湯にベーキングパウダーを混ぜて、すぐに発泡しない場合は、新しいものに交換することをおすすめします。
ベーキングパウダーの代わりに、片栗粉や小麦粉を使えますか?
片栗粉や薄力粉、強力粉、コーンスターチなどのデンプンを含む粉類は、炭酸ガスを発生させる機能を持っていません。したがって、ベーキングパウダーの代わりに、生地を膨らませる目的で使用することはできません。これらの粉類は、とろみをつける、食感を調整する、衣として使うといった用途に適しています。
重曹と酸性の材料を組み合わせた代用品には、どのようなものがありますか?
重曹は、単独では膨張力は弱いものの、酸性の食材と混ぜることで化学反応を起こし、生地を膨らませる効果を発揮します。ヨーグルト、お酢、レモン汁、バターミルク、酒石酸、糖蜜、サワーミルク、マヨネーズなどが、重曹と組み合わせてベーキングパウダーの代わりとして使用できます。それぞれ適切な配合と特徴があるため、レシピに応じて使い分けることが大切です。また、使用する重曹が食用であるかを確認し、必ず食品グレードのものを使用してください。