カフェやケーキ屋さんでお馴染みの「トルテ」。実は奥深い魅力を持つドイツ発祥のケーキです。この記事では、トルテの定義からタルトとの違い、様々な種類を徹底解説します。あの有名なザッハトルテもトルテの一種。語源や特徴を知れば、さらに美味しく味わえるはず。さらに、ご家庭で手軽に作れるおすすめレシピもご紹介。これを読めば、あなたもトルテの虜になること間違いなし!

ドイツ生まれの「トルテ」とは
トルテとは、ドイツ発祥の、切り分けて味わう焼き菓子のことです。ドイツ語ではデコレーションケーキを意味し、日本でおなじみのデコレーションされたスポンジケーキをイメージすると分かりやすいでしょう。つまり、トルテは特定のケーキの名前ではなく、デコレーションされたケーキ全体のことを指す言葉なのです。何層にも重ねられたスポンジ生地やクリームが特徴で、見た目が華やかなものが多いです。
トルテとタルトの違い
トルテとタルトは名前が似ているため、単に言語が違うだけのように思えるかもしれませんが、実は全く異なるお菓子です。発祥地も食感も大きく異なります。トルテはドイツ生まれで、主にスポンジ生地にクリームやチョコレートなどで飾り付けをしたケーキを指します。一方、タルトはフランス生まれで、古代ローマ時代に食べ物を食べやすくするための「器」として生まれたのが始まりです。タルトはサクサクとした生地が特徴で、その上にフルーツやクリーム、チョコレートなどを盛り付けて作られます。このように、生まれた場所、生地の食感、使われる材料や構造において、トルテとタルトにははっきりとした違いがあります。

トルテとクーヘンの違い
トルテとクーヘンは、どちらもドイツ語圏で親しまれている焼き菓子ですが、いくつかの違いがあります。トルテは一般的に、薄いスポンジ生地やクッキー生地を何層にも重ね、クリームやジャム、フルーツなどを挟んだものを指します。見た目が華やかで、誕生日や記念日など特別な日に食べられることが多いです。一方、クーヘンはより日常的なお菓子で、ケーキという意味合いが強いです。生地自体にフルーツやナッツなどを混ぜ込んで焼き上げることが多く、ずっしりとした食感が特徴です。例えば、アップルクーヘンやマーブルクーヘンなど、様々な種類があります。トルテがデコレーションを重視するのに対し、クーヘンは素材の風味を生かしたシンプルな味わいが魅力と言えるでしょう。
1. ザッハトルテ
トルテと言えば、多くの方が最初に思い浮かべるのが「ザッハトルテ」でしょう。これは、チョコレート風味のスポンジ生地に、チョコレートや生クリームなどを混ぜて作られた濃厚なコーティングを施したトルテです。その芳醇な味わいから、チョコレートケーキの王様と称されることもあります。本格的なザッハトルテは、お菓子作りが得意な方におすすめです。しっとりとした口当たりと、口の中に広がるチョコレートの香りは格別。アプリコットジャムの程よい酸味が絶妙なアクセントになっています。「つやつや濃厚♡ ザッハトルテ」のような本格的なレシピもあれば、もっと手軽に作れるレシピも存在します。
2. オーストリア名物のリンツァートルテ
「リンツァートルテ」は、オーストリアのリンツが発祥の地であり、オーストリアとドイツで長く愛されている伝統的なトルテです。特筆すべきは、アーモンドプードルをふんだんに使用し、シナモン、ナツメグ、クローブなどの数種類のスパイスを生地に練り込んでいる点です。これにより、奥深く豊かな香りが生まれます。生地の間には、甘酸っぱい赤スグリのジャムを挟み、表面には生地で格子模様を描くのが伝統的なスタイルです。この美しい格子模様は、リンツァートルテを象徴するデザインとなっています。名前はあまり知られていないかもしれませんが、甘いものが好きな方なら、洋菓子店やカフェで一度は目にしているかもしれません。リンツァートルテは、本場オーストリアでは定番のお土産としても親しまれています。
3. ケーゼザーネトルテ
「ケーゼザーネトルテ」は、ドイツ風のチーズケーキとして知られ、「ケーゼトルテ」とも呼ばれます。本場のケーゼザーネトルテの際立った特徴は、日本の一般的なクリームチーズとは異なる「クヴァーク」という特別な乳製品を使用することです。このクヴァークを用いることで、日本のチーズケーキに比べて、よりさっぱりとして軽やかな後味を実現しています。また、レアチーズケーキとスポンジケーキを組み合わせたスタイルのケーゼザーネトルテも人気があり、層状に重ねて供されることもあります。ご家庭で手軽に作れるベーシックなベイクドチーズケーキのレシピを参考にすれば、バターの風味が豊かに香るビスケット生地と、クリームチーズの爽やかな酸味が絶妙に調和し、意外なほど簡単に本格的な味わいを堪能できます。
4. シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ
「シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ」は、ドイツ語で「黒い森のさくらんぼのケーキ」を意味する、名高いトルテです。「黒い森」とは、ドイツ南西部に位置する「シュヴァルツヴァルト」と呼ばれる森林地帯を指します。このトルテは、ココアを混ぜ込んだスポンジ生地をベースにし、さくらんぼのリキュールであるキルシュをたっぷりと染み込ませ、ゼラチンを用いて作る滑らかなザーネクリーム(生クリーム)をふんだんにデコレーションした贅沢な一品です。ザーネクリームは、黒い森に降り積もる雪を表現しており、削ったチョコレートを散りばめることで、落ち葉が舞う様子を象徴しています。手作りに挑戦する際には、ゼラチンを使用しないレシピや、本場のザーネクリームとは異なるチョコレートクリームを用いたアレンジレシピも存在しますが、ほろ苦いスポンジと甘美なチョコレートクリーム、そして甘酸っぱいサワーチェリーの組み合わせは、まさに至福の味わいです。
5. エンガディナー・ヌストルテ
日本では「エンガディナー」として親しまれているトルテですが、本場では「ヌストルテ」の名で広く知られています。その発祥はスイスのエンガディン地方とされ、現地で呼ばれるヌストルテの「ヌス」は、「木の実」を意味します。その名の通り、様々な種類の木の実を惜しみなく使用したトルテです。特に、バターをふんだんに練り込んだ生地に、キャラメルでじっくりと煮詰めたクルミをたっぷりと詰め込んだものが一般的で、甘く香ばしい独特の香りが特徴です。さらに、クルミの心地よいカリッとした食感も楽しむことができます。ドイツでは、このエンガディナー・ヌストルテを家庭で手作りすることも珍しくありません。クルミを贅沢に使った濃厚なヌガーが特徴的な本格的なエンガディナーは、表面に特徴的な格子模様をフォークで丁寧に描くことで、見た目も美しく仕上がります。バターの豊かな風味が際立つ濃厚な味わいは、午後のティータイムにぴったりのトルテです。

まとめ
トルテは、日本で言うところのデコレーションケーキであることがお分かりいただけたかと思います。特定のケーキの種類を指すだけでなく、ドイツやオーストリアを中心に、多様なバリエーションが存在するデコレーションケーキ全般を指す総称です。今回ご紹介したザッハトルテ、ケーゼザーネトルテ、シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ、エンガディナー・ヌストルテ、リンツァートルテなどは、いずれも個性的で、それぞれの地域の文化や素材が色濃く反映されています。お店で購入できるものも多いですが、せっかくの機会に手作りに挑戦してみるのも素晴らしいでしょう。濃厚な味わいや、フルーツ、チョコレート、ナッツといった様々な素材の組み合わせを堪能できるトルテは、特別な日のもてなしにも最適なスイーツです。
トルテとタルト、その違いとは?
トルテは、ドイツをルーツとする装飾ケーキの総称です。ふんわりとしたスポンジ生地をベースに、クリームなどで華やかに飾り付けられます。対してタルトは、フランス生まれの焼き菓子であり、特徴的なのはそのサクサクとした食感の生地。器のような形状の生地に、色とりどりの素材を盛り付けて仕上げます。起源となる国と生地のテクスチャーに、明確な違いが見られます。
ザッハトルテが「チョコレートケーキの王様」と称される理由
ザッハトルテは、ふんだんにチョコレートを使用した生地と、それを覆う艶やかなコーティングが魅力。その濃厚で奥深い味わいから、「チョコレートケーキの王様」と呼ばれるようになりました。オーストリアを代表する伝統的なお菓子として、世界中の人々から愛されています。
ケーゼザーネトルテ、その独特な魅力とは?
ケーゼザーネトルテは、ドイツ風チーズケーキとして知られています。本場ドイツでは、「クヴァーク」という特別な乳製品を使用するため、後味が非常にさっぱりとしているのが特徴です。ベイクドタイプだけでなく、レアチーズケーキのようなタイプや、スポンジ生地とチーズケーキ生地が層状に重なったものなど、様々なバリエーションが存在します。
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ、「黒い森」が意味するもの
「黒い森」とは、ドイツ南西部に位置する「シュヴァルツヴァルト」という森林地帯のこと。このケーキは、ココア風味のスポンジ生地、キルシュ(さくらんぼのリキュール)、生クリーム、削りチョコレート、そしてフレッシュなさくらんぼを使用して作られます。白いクリームは雪、削りチョコレートは落ち葉を表現していると言われています。
リンツァートルテはどこの国で生まれ、どのような点が特徴ですか?
リンツァートルテは、オーストリアのリンツという地域がその起源です。特筆すべきは、生地にアーモンドプードルが惜しみなく使用されている点で、さらにシナモン、ナツメグ、クローブといった香辛料が風味を豊かにしています。生地の間には、甘さと酸味が絶妙な赤スグリのジャムが挟まれており、表面は生地で作られた格子模様で飾られています。オーストリアでは、お土産としても非常に人気があります。