濃茶とは

濃茶とは

濃茶とは

「濃茶」と聞いて、なんとなく強めのお茶をイメージされる方が多いかと思います。しかし、これは日本の伝統的な茶道における一杯の事を指します。「お茶の水をたっぷりと使った薄茶」とは違い、なぜ濃茶と呼ばれ、どのような特徴があるのでしょうか?さらに、この濃茶が持つ味わい深い文化背景に迫る前に、まずはその基本からご紹介してみたいと思います。

濃茶とは

「濃茶」は日本の茶道の一環に根ざした文化であり、伝統的な一服のお茶を象徴します。象徴的な名前通り、濃茶は茶を濃く煮出した飲み物で、その味わいは苦さと甘さが特徴的です。特に高雅な席で出されるとされ、私たちの日常から離れた世界に触れることができます。

抹茶の粉末を使用し、水少量でみっちりと溶かして作るので、完成するとクリーミーで濃厚な味が広がります。その独特の風味と深い緑は、一期一会の思考を重視する茶道文化を体現しています。

また、一杯の濃茶を作るためには確固たる時間と注意が必要で、それはまるで絵画を描くような繊細さを必要とします。ただ美味しい飲み物を提供するだけでなく、それは一瞬の幸福と日本人の心の美を表す手段ともなります。

濃茶は、その単純な見かけに反して、日本の文化、伝統、美意識が集結した存在なのです。このお茶を通じて、その静寂と深遠さを堪能し、自己と直面する機会を得ることができます。その複雑さこそが濃茶の深淵、そして日本の茶道文化の魅力そのものを反映しています。

濃茶には一般的に薄茶の2倍の抹茶を使い、そのためには上質な抹茶の選択が必須となります。それがなければ、強い渋みと苦味になってしまうからです。

濃茶用の高級な抹茶を選ぶための簡単な方法は、その名前をチェックすることです。「白」が薄茶に、「昔」が濃茶にそれぞれ付けられているため、ぜひ目を光らせてください。

濃茶は一般的に抹茶4gに対し、80度前後の湯を40ml加えて、テンツクして混ぜるという工程を経て作られます。これは抹茶を「練る」作業と呼びます。抹茶が多く、水分量が少ないため、濃茶はトロっとした濃厚で芳醇な味わいに仕上がります。そのミルキーな感触と抹茶の深みが詰まった味は、好みは一人一人ですが、一度は試してみる価値があるでしょう。

濃茶の飲み方

濃茶は、日本の茶道において最上級とされるお茶の一種です。その飲み方や扱い方には一定のマナーが求められ、その中でも特別な尊敬や祝福の意を表す際には、重々しい茶碗で提供されることが一般的です。このような場では、右手で茶碗を持ち上げ、左手を添えてお茶を飲むという手順が一般的。そして一口ひと口のたびに茶碗を時計回りにゆっくりと回転させ、最終的には茶碗のデザインが最初の状態に戻るように丁寧に調整します。 

濃茶の独特の旨味や苦味をしっかりと感じるため、一口の量は控えめにし、ゆっくりとお茶を味わいます。強めの茶葉で抽出された濃厚な豊かさと苦味が、心地よく心を引き締めることでしょう。最後の一口を飲み干したあとは、茶碗を元の設置場所に戻し、感謝の意を忘れずに示します。

茶道はもちろん、日常のお茶の時間でも濃茶を楽しむことができます。和菓子とともに濃茶の深みある風味を味わいながら、静かな時間を過ごすことで、忙しい毎日から一時的に解放され、日本の美しさを再発見できるでしょう。加えて、飲み終わった際は小茶巾と呼ばれる布で涙垂れを拭き、次の人へと茶碗を渡すことも忘れてはなりません。
濃茶とは

まとめ

濃茶は茶道において、お点前の主役とも言える存在です。濃厚な味わいと精神への作用から生まれる静寂や一体感が感じられ、重厚な文化の象徴とも言えます。茶道を通じて、私たちは日本の美意識を味わい、深く理解することが出来るのが魅力でしょう。