濃茶とは

濃茶(こいちゃ)は、日本の茶道文化において格式高い場で提供される特別な抹茶です。その濃厚な味わいと独特の点て方は、薄茶とは一線を画す特徴を持っています。高級な抹茶を使用し、練るように点てられる濃茶は、深いコクと芳醇な香りが楽しめる一杯です。
濃茶とは
濃茶(こいちゃ)は、茶道における格式高い席で提供される特別な抹茶で、薄茶とは異なる独自の点て方や味わいを楽しむものです。薄茶に比べ、濃茶には抹茶を2倍も使用するため、非常に濃厚な仕上がりになります。そのため、使用する抹茶は高品質なものが求められます。低品質な抹茶では渋みや苦味が強くなり、美味しく仕上げるのが難しいからです。濃茶用の抹茶を選ぶ際には、「昔」という名称がついていることが多く、これが濃茶用の目安となります。一方、薄茶には「白」という名前が使われることが一般的です。
点て方にも大きな違いがあります。薄茶は抹茶2gに対して90度以上の熱湯60mlを注ぎ、茶筅で泡立てながら混ぜるのが特徴で、「点てる」と表現されます。一方で、濃茶は抹茶4gに80度前後の湯40mlを注ぎ、茶筅で泡立てずに練るように混ぜます。この工程は「練る」と呼ばれ、濃茶独特のとろみとコクを生み出します。その結果、濃厚で芳醇な味わいが楽しめる一杯が完成します。ミルキーな味わいも感じられるため、好みが分かれることもありますが、抹茶の深い魅力を堪能できる飲み方として親しまれています。
濃茶の飲み方
濃茶は、茶会の正式な場で提供されることが多く、その飲み方にも独特の作法があります。濃茶は1つの茶碗で複数人が順番に回し飲みするのが一般的です。この形式は「回し飲み」と呼ばれ、濃茶の深い味わいとともに、茶道における調和と敬意を感じることができます。
飲む際には、まず茶碗の正面を避けて口をつけるのが基本的な作法です。次の人に回す前には、「小茶巾(こちゃきん)」という布を使って茶碗の飲み口を丁寧に拭き取ります。これは衛生面だけでなく、次に飲む人への礼儀として大切な所作です。こうして茶碗を回しながら、一杯の濃茶を共有することで、参加者同士のつながりや一体感が生まれます。
濃茶は、茶道の精神や美学が色濃く反映された一杯です。その濃厚な味わいと独特のとろみを堪能しつつ、伝統的な飲み方を通じて茶道の奥深さを体験することができます。また、濃茶を点てる際や飲む際の作法は、茶道の基礎を学ぶ上でも重要な要素となっています。

まとめ
濃茶は、抹茶本来の風味を最大限に引き出した一杯であり、日本茶道の美と心を象徴する存在です。茶会での特別なひとときにふさわしいその味わいを、伝統的な飲み方とともに堪能することで、茶文化の奥深さを改めて実感できるでしょう。