苺種類
いちごは、冬から春にかけて人気のレジャーであるいちご狩りで楽しまれる果物ですが、その品種は多岐にわたります。日本国内で栽培されているいちごの品種は約300種類にも上り、新品種の開発も盛んに行われています。農林水産省のデータによると、昭和の中頃から品種改良が本格化し、現在もその数は増え続けています。近年では、地域ブランドいちごが注目を集めており、栃木県の「スカイベリー」や三重県の「かおり野」など、デビュー後すぐに人気品種として定着したものも少なくありません。2022年には、滋賀県初のオリジナル品種「みおしずく」や福島県開発の「ゆうやけベリー」といった新品種が登場しています。いちごの名前と品種名が異なる場合もあり、「あまおう」の品種名は「福岡S6号」です。
いちごの味:甘味と酸味の絶妙なハーモニー
いちごの味は、甘味と酸味のバランスによって大きく異なります。甘味が強い品種としては、「章姫」、「やよいひめ」、「レッドパール」、「桃薫」などが挙げられます。一方、酸味をしっかり味わいたい場合は、「とちおとめ」や「よつぼし」などがおすすめです。甘味と酸味のバランスがとれた品種としては、「紅ほっぺ」や「さちのか」があります。自分の好みに合わせて品種を選ぶことで、よりいちご狩りを楽しむことができます。
いちごの旬:品種ごとの最適な収穫時期
いちごの収穫時期は、品種によって異なります。ハウス栽培が主流ですが、品種によって冬から春にかけて楽しめる時期に差があります。一般的に、いちごのシーズンインは1月からで、「紅ほっぺ」や「よつぼし」は1月から5月上旬まで安定して楽しめます。「とちおとめ」、「もういっこ」、「あまおとめ」は1月から4月上旬頃までが旬です。「おいCベリー」や「さちのか」のように、1月から2月にかけて旬を迎える品種もあります。2月からシーズンが始まる品種としては、「章姫」、「やよいひめ」、「桃薫」などが挙げられます。いちごは寒い中で成熟すると甘くなるとされていますが、栽培方法や気象条件によっても収穫時期は変動します。東北地方では6月、北海道では7月上旬頃までいちご狩りを楽しめます。
人気のイチゴ品種19選:その特徴と旬
数あるいちごの品種の中から、特に代表的な19品種の特徴を詳しく紹介します。それぞれのいちごの味、香り、食感、旬の時期などを知ることで、自分好みのいちごを見つけることができます。
章姫(あきひめ)
章姫は、果実が長めの円錐形をしているのが特徴です。ほとんどのいちごは横幅のある円錐形ですが、章姫は縦長の円錐形をしています。果実は少しやわらかめで口当たりがよく、果汁も豊富。酸味が少なく甘味をしっかりと感じられるいちごです。主な産地は静岡県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは2月~4月頃です。
あすかルビー(品種名:アスカルビー)
あすかルビーは、「アスカウェイブ」と「女峰」を交配した品種で、粒が大きく丸みのある円錐形の見た目をしています。ツヤのある果皮は赤色に染まり、果肉も赤みを帯びます。果肉は少しかためで果汁が多く、糖度も高めでほどよい酸味が特徴です。主な産地は奈良県で、収穫時期は12月頃~5月頃です。
あまおう(品種名:福岡S6号)
あまおうは、20グラムを超える大粒のものが多く見られる、サイズの大きいいちごの代表格です。丸みがあってかわいらしい形で、果肉はかためで果汁が多め。甘味と酸味が調和して風味のよい味わいのいちごです。主な産地は福岡県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは3月~4月頃です。
あまりん(品種名:埼園い3号)
あまりんは、2019年に品種登録されたばかりのいちごです。「やよいひめ」と「ふくはる香」を掛け合わせた比較的大玉で円錐~短円錐形の形で、甘味が強く、酸味はおだやかなのが味わいの特徴です。主な産地は埼玉県で、収穫時期は12月頃~5月頃です。
おいCベリー
おいCベリーは、ビタミンCなどの栄養価の向上を目標に開発されたことが名前の由来の1つにもなっている品種です。サイズは比較的大玉で、甘味と酸味のバランスがよい親品種「さちのか」と同じくらいの酸味に、やや糖度が増した味わいです。ビタミンCの含有量は100グラム中に約87ミリグラムと、約7粒で成人の必要量がとれるほど豊富なので、失われないようぜひ生で食べたいです。主な産地は佐賀県、長崎県で、収穫時期は12月頃~5月頃です。
かおり野(かおりの)
かおり野は、2010年に品種登録されたいちごです。特筆すべきはその香りのよさです。リナロールという甘い香気成分を多く含んでおり、果肉はかためで甘味が強く、酸味のおだやかな味と相まった豊かな風味を楽しめます。また、カットした時のフチの赤と果肉の白のコントラストも美しいです。主な産地は三重県で、収穫時期は11月下旬頃~5月頃です。
恋みのり(こいみのり)
恋みのりは、2016年に品種登録出願されたいちごで、やや丸みがある果実は鮮やかな淡赤色~赤色でツヤがあり、果重も約18グラムと大玉です。果肉は基本的に白色で、甘味と酸味が調和した香り豊かないちごです。主な産地は長崎県、佐賀県で、収穫時期は12月頃~4月頃です。
さがほのか
さがほのかは、「大錦」と「とよのか」を掛け合わせた品種で、円錐形でサイズが大きく、ツヤのある紅色と果皮ときれいな白色をした果肉のいちごです。しっかりとした果肉は甘味が強く多汁で、酸味はおだやか。日持ちのよさもポイントです。主な産地は佐賀県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは3月頃です。
さちのか
さちのかは、食味と香りがよい「とよのか」と、果実が大きくて着色のよい「アイベリー」を交配して生まれた品種です。香りがやや強く、甘味と酸味のバランスのよさが特徴で、果実がかたく運びやすく保存もしやすいのも魅力です。主な産地は長崎県、千葉県、佐賀県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは2月~3月頃です。
スカイベリー(品種名:栃木i27号)
スカイベリーは、2014年に品種登録されたいちごです。きれいな円錐形で、1粒が25グラム以上になる割合が高く、果実が大玉です。果皮はややかたく日持ちに優れ、糖度と酸味のバランスがよく果汁も豊富なジューシーな食味です。主な産地は栃木県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは2月~3月頃です。
桃薫(とうくん)
桃薫は、2月頃から収穫量が増える晩生種のいちごで、その名の通り桃に似た香りを持つのが特徴的です。果肉がやわらかく甘味と酸味が調和しており、さらにはココナッツや甘いカラメルのような成分も多く含むので風味豊かな味わいが楽しめます。主な産地は長崎県、茨城県で、収穫時期は12月下旬頃~5月頃です。
とちおとめ
とちおとめは、いちごの品種の中でも長年に渡って親しまれている品種で糖度が高くてほどよい酸味があり、果汁も豊富です。果実がしっかりしているので、比較的日持ちがよいのも魅力です。形は円錐形で光沢があり、サイズは大きめ。果皮は鮮やかな赤色で、果肉も中まで赤く染まります。主な産地は栃木県、愛知県、茨城県で、収穫時期は11月頃~6月頃です。
とよのか
とよのかは、「西のとのよか、東の女峰」と称され、主に西日本で親しまれてきたいちごです。近年はほとんど流通しないが、甘味と酸味のバランスがよく、香りも豊か。果汁も多めで日持ちもよいなど、品質の高いいちごです。主な産地は熊本県で、収穫時期は12月頃~5月頃ですが、近年はほとんど流通していません。
女峰(にょほう)
女峰は、1990年代後半頃まで「西のとのよか、東の女峰」と言われるほどのシェアを占めた品種の一角です。サイズはあまり大きくなく、果皮が濃い赤色で美しく、香気があり多汁。甘味と酸味をしっかり感じられ、深みのある味わいです。主な産地は香川県で、収穫時期は12頃~4月頃です。
紅ほっぺ(べにほっぺ)
紅ほっぺは、「章姫」と「さちのか」の掛け合わせで生まれた品種です。名前の通りつやのある鮮やかな紅色の果皮と果心部も淡赤色に染まる果肉のいちごで、甘味が強く酸味もやや強め。いちご本来の甘酸っぱさを堪能できる品種です。主な産地は静岡県で、収穫時期は12月~5月頃、ピークは3月頃です。
もういっこ
もういっこは、2008年に品種登録された宮城県生まれの「もういっこ」は、甘酸適和のスッキリとした甘さのいちご。果実はサイズが大きい円錐形で、果皮は鮮やかな紅色。淡い赤色の果肉はしっかりして日持ちも良好です。主な産地は宮城県で、収穫時期は12月頃~5月頃です。
やよいひめ
やよいひめは、2005年に品種登録された群馬県生まれのいちご。サイズが大きめで、果皮の色は少しオレンジがかった明るめの赤色。果肉はかたく日持ちに優れ、甘味が強くてまろやかな酸味と合いまった風味を楽しめます。主な産地は群馬県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは2月~3月頃です。
ゆめのか
ゆめのかは、その名に「みんなの夢が叶うおいしいいちご」という意味が込められているという愛知県生まれの品種。果実は円錐形で、サイズは20グラム前後と大きめ。果肉はほどよいかたさがあり、甘味と酸味がほどよく調和した風味のよい甘酸っぱさと、豊富な果汁でジューシーさが味わえる。主な産地は愛知県で、収穫時期は12月頃~5月頃、ピークは2月~4月頃です。
よつぼし
よつぼしは、品種登録が2017年と、まだ世に出てから日の浅い「よつぼし」は、中程度のかたさの果肉に濃厚な甘酸っぱさが味わえることから早くも人気を呼んでいるいちご。光沢のある鮮やかな赤色をした円錐形の果実が見た目にも美しい。主な産地は情報なしで、収穫時期は11月下旬頃~5月頃です。
希少な白いちご:淡雪と初恋の香り
近年、人気が高まっているのが白いちごです。白いちごは、果皮が白みがかった淡雪や、初恋の香りなどがあります。これらの品種は、見た目の珍しさだけでなく、独特の風味も楽しめます。価格は高めですが、特別な贈り物としても人気があります。
いちご狩り体験:全国各地のおすすめ農園
いちご狩りを楽しむなら、全国各地にあるいちご狩りスポットを訪れてみましょう。多くのスポットでは、複数の品種を栽培しており、食べ比べを楽しむことができます。また、予約制や駐車場ありなど、便利な機能も充実しています。家族や友人と一緒に、旬のいちごを堪能してみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、いちごの品種について詳しく解説しました。日本には多種多様ないちごがあり、それぞれに異なる特徴があります。甘味、酸味、香り、食感など、自分の好みに合わせて品種を選ぶことで、よりいちごを楽しむことができます。ぜひ、この記事を参考にして、お気に入りのいちごを見つけてみてください。
よくある質問
質問1:日本にはどれくらいのいちごの品種が存在しますか?
回答:日本国内で栽培されているいちごの品種は約300種類以上あります。新品種の開発も盛んに行われており、その数は年々増え続けています。
質問2:特に甘さが際立ついちごの品種はどれですか?
回答:「章姫」、「やよいひめ」、「あまりん」などが甘味が強い品種としておすすめです。これらの品種は酸味が控えめで、甘さをより強く感じられます。
質問3:いちごが最も美味しくなる時期はいつ頃ですか?
回答:いちごの旬は品種によって多少前後しますが、一般的には1月から5月頃が最盛期と言えます。現在ではハウス栽培が広く行われているため、冬の時期から春先にかけて長い期間、新鮮な味わいを楽しむことができます。