いちごの品種
甘酸っぱくて美味しいいちごは、冬から春にかけての味覚の代表格。いちご狩りに出かける人も多いのではないでしょうか。農林水産省に登録されているイチゴの品種は294種(2018年3月現在、出願中を含む)で、そのうち登録維持されているのは161種。それぞれのいちごは、甘さ、酸味、香り、食感、旬の時期など、個性豊かな特徴を持っています。この記事では、2024年最新の人気品種から、珍しい希少品種までを徹底解説。味や旬、特徴を比較しながら、あなたにぴったりのいちごを見つけてみましょう。品種名と商品名が異なる場合もあるので、その点も詳しく解説していきます。
いちごの品種の多様性:知っておくべき基本
いちごは、冬から春にかけていちご狩りで親しまれる人気の果物です。日本国内では、品種改良によって約300種類ものいちごが栽培されており、その数は増え続けています。これらの品種は、甘さと酸味のバランス、香り、食感、旬の時期など、それぞれ異なる特徴を持っています。近年では、地域ブランドのいちごが注目を集め、新品種も次々と登場しており、いちご選びの楽しみが広がっています。いちごの名前がそのまま品種名とは限らず、「あまおう」の品種名が「福岡S6号」であるように、一般的に知られる名前とは別に、正式な品種名が存在するものも少なくありません。
味の決め手は甘味と酸味:品種ごとの特徴
いちごの味は、甘さと酸味のバランスによって大きく左右されます。「甘酸っぱさ」はいちごの魅力の一つですが、甘味が際立つ品種や、酸味をより楽しめる品種など、個性は様々です。甘味が強いとされる品種としては、「章姫」や「やよいひめ」、「レッドパール」、「桃薫」などが挙げられます。一方で、酸味もしっかり味わいたい方には、「とちおとめ」や「よつぼし」などがおすすめです。また、広く栽培されている「紅ほっぺ」や「さちのか」のように、甘味と酸味のバランスが取れた品種も存在します。
旬の時期:品種ごとの食べ頃をチェック
いちごは品種によって収穫時期が異なり、冬から春にかけて楽しむことができます。ハウス栽培が一般的ですが、品種によって旬の時期が異なるため、それぞれの品種の食べ頃を知っておくことで、よりおいしいいちごを選ぶことができます。いちごのシーズンは一般的に1月から始まり、1月から5月上旬頃まで長く楽しめる代表的な品種として「紅ほっぺ」や「よつぼし」が挙げられます。やや短い期間ですが、「とちおとめ」「もういっこ」「あまおとめ」なども1月から4月上旬頃まで旬を楽しめます。また、「おいCベリー」や「さちのか」のように、1月から2月にかけての短い期間が旬の品種もあるため、シーズン初めを狙って味わってみてください。いちごは寒い時期に成熟すると甘くなると言われており、1月頃に甘いいちごが楽しめますが、2月からシーズンが始まる品種もあります。「章姫」や「やよいひめ」、「桃薫」などがその代表例です。もちろん、栽培方法や地域、気象条件によっても左右されます。東北地方では6月、北海道では7月上旬頃までいちご狩りが楽しめます。また、暖かくなる時期には水分が多くなり、果肉が柔らかくなるため、好みに合わせて時期を選ぶのも良いでしょう。
代表的な品種19選:特徴と詳細情報
ここでは、日本各地で栽培されている代表的な19種類のいちごについて、それぞれの個性や詳細な情報をご紹介します。これらの情報を参考に、あなたにとって最高のいちごを見つけてください。
章姫(あきひめ)
細長い円錐形が特徴的な章姫は、果肉が比較的やわらかく、口の中でとろけるような食感が楽しめます。果汁もたっぷりで、酸味が穏やかなため、甘さを存分に堪能できます。主な産地は静岡県で、12月から5月にかけて収穫され、2月から4月頃が最盛期です。
あすかルビー(品種名:アスカルビー)
「アスカウェイブ」と「女峰」を掛け合わせて生まれたあすかルビーは、大粒で丸みを帯びた円錐形をしています。光沢のある鮮やかな赤い果皮と、ほんのり赤みを帯びた果肉が特徴です。果肉はやや硬めで果汁が多く、高い糖度とほどよい酸味が絶妙なバランスを生み出しています。主な産地は奈良県で、12月頃から5月頃まで収穫できます。
あまおう(品種名:福岡S6号)
一粒20グラムを超える大粒のものが多く、大きさが魅力のあまおう。丸みを帯びた愛らしいフォルムで、果肉はしっかりとしており、果汁も豊富です。甘味と酸味のバランスが良く、風味豊かな味わいが楽しめます。主な産地は福岡県で、12月頃から5月頃にかけて収穫され、3月から4月頃が旬です。
あまりん(品種名:埼園い3号)
2019年に登録されたばかりの新しい品種です。「やよいひめ」と「ふくはる香」を親に持ち、大きめのサイズで円錐形またはやや丸みを帯びた形をしています。特徴は、際立つ甘さと穏やかな酸味のバランス。主に埼玉県で栽培されており、旬は12月から5月頃までです。
おいCベリー
名前の由来にもなっているように、ビタミンCなどの栄養価を高めることを目指して開発された品種です。サイズは大きく、甘さと酸味のバランスが取れた「さちのか」に近い味わいですが、酸味はそのままに甘さを増しています。ビタミンC含有量は100gあたり約87mgと豊富で、約7粒で1日に必要な量を摂取できるほど。生のまま食べるのがおすすめです。佐賀県や長崎県が主な産地で、収穫時期は12月頃から5月頃です。
かおり野(かおりの)
2010年に登録された「かおり野」は、何と言ってもその香りの良さが魅力です。リナロールという芳香成分を豊富に含み、甘く豊かな香りが楽しめます。果肉はしっかりとしていて、強い甘さと穏やかな酸味が絶妙に調和。カットした時の果肉の白とフチの赤色のコントラストも美しく、見た目にも楽しめます。三重県が主な産地で、11月下旬頃から5月頃まで収穫できます。
恋みのり(こいみのり)
2016年に品種登録出願された「恋みのり」は、丸みを帯びた形と鮮やかな淡い赤色~赤色が特徴で、艶やかな光沢があります。重さは約18gと大玉で、果肉は基本的に白色。甘味と酸味がバランス良く調和した、香り高いイチゴです。長崎県や佐賀県を中心に栽培されており、12月頃から4月頃までが旬です。
さがほのか
「大錦」と「とよのか」を親に持つ品種で、美しい円錐形と大きさが特徴です。光沢のある鮮やかな紅色と、果肉の純白さが見た目にも楽しめます。果肉はしっかりとしていて、甘みが強く、果汁も豊富。酸味は穏やかで、全体的なバランスが良いのが特徴です。また、日持ちが良いのも魅力の一つ。主な産地は佐賀県で、旬は12月から5月頃まで。特に3月頃が最盛期です。
さちのか
「とよのか」の美味しさと「アイベリー」の美しい色を受け継いだ品種です。芳醇な香りが特徴で、甘味と酸味の絶妙なバランスが楽しめます。果実は比較的硬めで、輸送にも強く、保存性にも優れています。長崎県、千葉県、佐賀県などが主な産地で、収穫時期は12月頃から5月頃まで。2月から3月頃が最も美味しい時期です。
スカイベリー(品種名:栃木i27号)
2014年に登録された新しい品種で、その名の通り、空のように美しいいちごです。整った円錐形で、一粒25グラムを超える大粒のものが多く、食べ応えがあります。果皮はやや硬めで日持ちが良く、糖度と酸味のバランスが取れており、果汁もたっぷり。ジューシーな味わいが楽しめます。栃木県が主な産地で、12月頃から5月頃まで収穫できます。旬は2月から3月頃です。
桃薫(とうくん)
2月頃から収穫量が増える晩生品種で、最大の特徴はその名の通り、桃のような甘い香りです。果肉は柔らかく、甘味と酸味が程よく調和しており、ココナッツやキャラメルのような風味も感じられる、複雑で豊かな味わいが楽しめます。長崎県や茨城県が主な産地で、12月下旬頃から5月頃まで収穫できます。
とちおとめ
数あるいちごの品種の中でも、長きにわたり愛され続けている「とちおとめ」。その特徴は、何と言っても高い糖度とそれを引き立てる絶妙な酸味、そして溢れるほどの果汁です。果肉がしっかりとしているため、比較的日持ちが良いのも嬉しいポイント。円錐形の美しいフォルムに、つややかな光沢、大きめのサイズ感も魅力です。果皮は鮮やかな赤色に染まり、果肉の中までほんのりと赤みを帯びています。主な産地は栃木県、愛知県、茨城県で、旬の時期は11月頃から6月頃までと比較的長く楽しめます。
とよのか
かつて「西のとよのか、東の女峰」と並び称され、主に西日本で広く親しまれてきた「とよのか」。近年では市場に出回ることが少なくなりましたが、暖地型品種は休眠をほとんどしないか、5℃以下の低温要求時間が150時間以下の品種で、「女峰」「とよのか」など促成栽培向きです。
女峰(にょほう)
1990年代後半頃まで「西のとよのか、東の女峰」と評され、市場で大きなシェアを誇った品種の一つが「女峰」です。サイズはやや小ぶりで、濃い赤色の果皮が美しく、芳醇な香りが特徴。口に含むと、甘みと酸味が調和した、奥深い味わいが広がります。主な産地は香川県で、収穫時期は12月頃から4月頃です。
紅ほっぺ(べにほっぺ)
「章姫」と「さちのか」を交配させて誕生したのが「紅ほっぺ」です。その名の通り、つややかな紅色に染まった果皮と、淡い赤色の果肉が特徴的な品種。甘味が強く、酸味もやや強めであるため、いちご本来の甘酸っぱさを存分に堪能できます。主な産地は静岡県で、収穫時期は12月から5月頃まで。最も美味しい時期は3月頃です。
もういっこ
宮城県で誕生し、2008年に品種登録された「もういっこ」。その名の通り、もう一個食べたくなるような魅力的な味わいが特徴です。甘味と酸味のバランスが絶妙で、後味はすっきりとしています。果実は大きめの円錐形で、果皮は鮮やかな紅色をしています。果肉は淡い赤色でしっかりとした食感を持ち、日持ちが良いのも嬉しいポイント。主に宮城県で栽培されており、12月頃から5月頃まで収穫を楽しめます。
やよいひめ
群馬県で生まれた「やよいひめ」は、2005年に品種登録されました。大きめのサイズで、少しオレンジがかった明るい赤色の果皮が特徴です。果肉は硬めで日持ちが良く、甘味が強く、まろやかな酸味との調和がとれた上品な味わいです。群馬県が主な産地で、12月頃から収穫が始まり5月頃まで楽しめます。特に2月から3月頃が旬の時期です。
ゆめのか
「みんなの夢が叶うおいしいいちご」という願いが込められた愛知県生まれの「ゆめのか」。円錐形の果実は20グラム前後と大きめで、ほどよい硬さの果肉が特徴です。甘味と酸味のバランスが良く、風味豊かな甘酸っぱさと、たっぷりの果汁によるジューシーな食感が楽しめます。愛知県を中心に栽培され、12月頃から5月頃まで収穫できます。2月から4月頃が最も美味しい時期です。
よつぼし
2017年に品種登録されたばかりの新しい品種「よつぼし」。その名の由来は、 चारों つ (4) の良さ (味・香り・つや・形) が星のように輝くことから。適度な硬さの果肉と、濃厚な甘酸っぱさが特徴で、人気が高まっています。光沢のある鮮やかな赤色の円錐形の果実は見た目も美しく、食欲をそそります。三重県、香川県、千葉県が主な産地で、11月下旬頃から5月頃まで収穫可能です。
白いちご:珍しい品種とその魅力
近頃、お店で見かける機会が増えた白いちご。これらは、2014年に品種登録された「天使の実」や「淡雪」といった、果皮の色が淡い白色の品種です。比較的高価ではありますが、その珍しさから人気を集めています。
いちご狩りスポット:全国のおすすめ情報
日本全国には、約500箇所ものいちご狩りが体験できる場所があります。これらのスポットでは、多種多様ないちごを味わうことができ、「予約制」や「駐車場完備」など、便利な検索機能も利用できます。各都道府県から、お好みのいちご狩りスポットを探すことも可能です。
まとめ
いちごの品種は、その多様性が魅力です。日本で栽培されている品種は200種類以上とも言われ、地域や栽培方法によって様々な特徴を持っています。例えば、「とちおとめ」は甘みと酸味のバランスが良く、全国的に人気があります。一方、「あまおう」は大粒で濃厚な甘さが特徴で、贈答用としても重宝されます。近年では、「章姫(あきひめ)」のように果肉が柔らかくジューシーな品種や、「紅ほっぺ」のように甘みと酸味が強く、香り高い品種も人気を集めています。新品種の開発も盛んに行われており、食感、甘さ、香り、見た目など、消費者のニーズに応えるべく、様々な改良が加えられています。これらの品種は、生食だけでなく、ケーキやジャムなどの加工品にも利用され、私たちの食生活を豊かにしています。
よくある質問
質問1:いちごの品種はどのくらいありますか?
回答1:日本で栽培されているいちごの品種は約300種類存在します。品種改良によって、その種類は増加傾向にあります。
質問2:特に甘みが際立つ品種を知りたいです。
回答2:甘みの強さで選ぶなら、「章姫(あきひめ)」、「やよいひめ」、そして独特の風味を持つ「桃薫(とうくん)」などがおすすめです。
質問3:いちごが一番美味しい時期はいつですか?
回答3:いちごの旬は、品種によって多少ずれがありますが、おおむね1月から5月にかけての時期が最も美味しく味わえるでしょう。