甘酸っぱくて美味しいイチゴを、ご自宅で育ててみませんか?プランターでも手軽に始められるイチゴ栽培ですが、甘くて美味しい実をたくさん収穫するには、肥料が重要な役割を果たします。特に追肥は、イチゴの成長段階に合わせて栄養を補給し、収穫量を左右する大切な作業です。しかし、肥料の種類やタイミングを間違えると、イチゴを傷めてしまうことも。この記事では、イチゴ栽培における追肥の最適なタイミングと、肥料選びのポイントを徹底解説します。初心者の方でも安心して美味しいイチゴを育てられるように、わかりやすくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
イチゴ栽培における追肥:時期と方法
イチゴ栽培において、追肥は収穫量や品質に大きく影響を与えるため、栽培環境や生育状況に合わせて施肥計画を立てることが重要です。イチゴには、春に実をつける一季成り性品種と、四季を通じて収穫できる四季成り性品種があります。ここでは、一季成り性品種の土耕栽培における追肥について、育苗期と定植後のそれぞれの段階に分けて詳しく解説します。育苗期間中の追肥は、窒素不足による早期の花芽分化や、定植後の生育不良を防ぐために重要です。定植後の追肥は、露地栽培と施設栽培でタイミングや回数が異なるため、それぞれの環境に合わせた管理が求められます。イチゴは肥料切れや肥料過多に敏感なため、生育状況を確認しながら追肥を行いましょう。
育苗期間中の追肥:方法と施肥量の目安
育苗期間中の追肥は、基肥の種類や量によって必要性が変わるため、基肥とのバランスを考慮して行うことが重要です。特に、窒素分を多く含む培地を使用する場合は、肥料過多にならないように注意が必要です。また、栽培方法(ポット育苗、セル育苗など)によって施肥量を調整する必要があります。
育苗時の追肥:具体的な方法
一般的な環境で育苗する場合、イチゴ1株あたり窒素成分量として100~200mgを目安に施肥します。育苗方法がポット、セル、小型ポットのいずれであっても、この施肥量は基本的に変わりません。ポット育苗では、基肥として燐硝安加里や有機質肥料を培土に混ぜることがあります。追肥は、水やり代わりに液肥や葉面散布剤を使用するのが一般的です。また、IB化成肥料やポット育苗用の緩効性肥料も追肥に適しています。肥料切れを起こさないように、草勢や葉の色を観察し、追肥のタイミングを見極めることが大切です。特に、高温期に水やりが多い場合は肥料成分が流れやすいため、肥料切れに注意しましょう。
低温暗黒処理における育苗での追肥
低温暗黒処理を施す育苗においては、苗自体の窒素レベルを意図的に抑制する必要があるため、窒素肥料の使用は控えめにする必要があります。目安としては、1株あたり窒素成分を70~120mg程度とします。この処理は基本的にポット育苗で行います。施肥の方法は通常のポット育苗と変わりませんが、冷暗所に入れるおよそ1ヶ月前からは追肥をストップします。これは、低温暗黒処理によって花芽が作られるのを助けるために、窒素レベルを下げる必要があるからです。この期間に窒素を与えすぎると、花芽の形成を妨げる可能性があります。
夜冷処理における育苗での追肥
夜冷処理を行う育苗の場合、低温暗黒処理よりもさらに少ない窒素肥料の使用が推奨され、ポット育苗では70~120mg、コンテナやセルトレイ育苗では40~70mgを1株あたりの目安とします。ポット育苗では、こまめな水やりと追肥が重要ですが、育苗期間の後半では徐々に水やりの量を減らしていきます。セルトレイ育苗では、液体肥料を用いて窒素成分を1株あたり5mgほど、5日間隔で与えます。夜冷処理を行う前に約20mgの窒素を施肥し、夜冷処理期間中も生育の状態に合わせて適宜肥料を与えます。追肥は、苗の根が培地にしっかりと根付いた後に行うのが重要です。いずれの育苗方法でも、高温による頻繁な水やりは肥料成分が流れ出てしまう原因となるため、肥料不足に注意し、葉の色や生育状態をよく観察して、適切なタイミングで追肥を行うように心がけましょう。
定植後の追肥方法と施肥量(施設栽培)
施設栽培においては、元肥に加えて液肥による追肥が基本的な施肥方法となります。追肥の量や回数は、イチゴの葉の色や実のつき具合を詳細に観察しながら調整していくことが大切です。一般的に、定植後のイチゴに必要な肥料の量は、10アールあたり窒素20~25kg、リン酸20~25kg、カリウム20~25kg程度とされています。具体的な地域の施肥基準を参照すると、例えば栃木県における「とちおとめ」や「とちひめ」の場合、10アールあたりの元肥として窒素15kg、リン酸20kg、カリウム20kgが推奨されており、追肥は窒素1kg、カリウム1kgを合計5回行うとされています。また、神奈川県における「とちおとめ」、「章姫」、「さちのか」、「紅ほっぺ」、「やよいひめ」、「かなこまち」といった品種の施肥基準では、10アールあたりの元肥は窒素15kg、リン酸20kg、カリウム15kgとし、追肥は窒素2kg、カリウム2kgを4回行うことが推奨されています。これらの基準は品種や栽培方法、時期によって異なるため、必ず地域の農業試験場や農業指導機関に確認し、最新の情報を参考にしてください。
定植後の追肥方法と施肥量(露地栽培)
露地栽培における定植後の追肥は、通常、年に2回行うのが基本です。1回目は、イチゴが冬を越すために根をしっかりと張らせる目的で、10月から11月頃に行います。この時期の追肥は、冬を越すために必要な栄養を蓄えさせ、春からの成長の土台を作る役割があります。2回目は、春先の生育が本格的に始まる1月頃に1度、そして開花が始まる3月から4月頃に再度行うことで、花芽の形成や果実の成長を促します。特に開花が始まった3~4月頃の追肥は、実を結び、果実を大きくするために非常に重要であり、リン酸成分を多く含む肥料を与えることで、果実の品質と甘さを高めることができます。以前から堆肥を多く使用していたり、前の作物の肥料が残っていたりする畑では、土壌の状態を分析し、元肥の窒素量を調整して、窒素が多すぎないように注意する必要があります。露地栽培のイチゴに必要な肥料の量は、施設栽培とほぼ同じ程度とされています。神奈川県の施肥基準を例に挙げると、10アールあたりの元肥は窒素15kg、リン酸20kg、カリウム15kgとされ、追肥は各栄養素7kgを1回施すとされています。追肥を行う際には、油かすやイチゴ専用の肥料を株の周りに決められた量を施しますが、イチゴは肥料焼けを起こしやすいため、肥料が根や茎、葉に直接触れないように注意し、株元から少し離れた場所に施したり、水やりによって肥料成分が土に溶け込むようにしましょう。液体肥料を使用する場合は、決められた希釈倍率を守り、水やりをするように与えることができます。
まとめ
イチゴ栽培において、肥料は甘くて美味しい実を収穫するための重要な要素ですが、繊細な管理が求められます。特にリン酸を豊富に含む発酵油かすや骨粉、またはイチゴ専用の肥料を選び、カルシウム不足からくるチップバーンに注意が必要です。チップバーンは若い葉が茶色くなる現象で、生育不良を招き、収穫量に悪影響を与えます。そのため、根を健康に育て、土壌の塩基バランス(Ca:Mg:K=5:2:1)を意識した土作りが大切です。植え付け前の土作りの際には元肥を、手間を省きたい場合には肥効調節型の肥料を全量基肥として使うのも有効です。育苗期間中は、栽培方法(無処理、低温暗黒、夜冷)に応じて窒素の量を調整し、定植後はハウス栽培と露地栽培で肥料の量(10aあたり窒素、リン酸、カリウムを各20~25kgを目安)とタイミング(1月、3~4月頃、または地域の基準に合わせた回数)を変えて追肥を行います。肥料が多すぎると葉がしおれたり、大きくなりすぎたり、色が濃くなるなどの症状が現れ、肥料が足りないと葉が黄色くなります。これらのサインを見逃さず、肥料の濃度を水で薄めたり、追肥を一時的にやめたり、窒素が不足している場合は速やかに液肥で補給するなど、イチゴの状態に合わせて対応することが成功への鍵となります。品種や栽培環境に合わせた丁寧な肥料管理を心がけ、地域の専門家のアドバイスも参考にしながら、美味しいイチゴをたくさん収穫しましょう。
イチゴに与える肥料はどのようなものがおすすめですか?
イチゴには、リン酸が多く含まれている有機肥料が推奨されます。具体的には、花のつきや実のつきを良くし、果実の甘さを引き出す発酵油かすや骨粉などが良いでしょう。初心者の方には、必要な栄養素がバランス良く配合された市販のイチゴ専用肥料も使いやすくおすすめです。また、カルシウム不足によって発生するチップバーンを防ぐために、カルシウムを含む肥料を選ぶとさらに効果的です。土壌の塩基バランス(Ca:Mg:K = 5:2:1)を保つことも重要です。
イチゴの肥料を与えるタイミング(追肥時期)はいつですか?
イチゴの追肥のタイミングは、栽培方法や品種、生育状況によって変わります。通常は、育苗期間中と定植後に行います。育苗期間中には、無処理、低温暗黒処理、夜冷処理といった方法に応じて窒素の量を調整します(例:夜冷処理をしたポットでは70~120mg/株)。定植後の露地栽培では、10~11月(越冬前)と3~4月頃(開花時期)の2回が目安です。施設栽培の場合は、葉の色や実のつき具合を見ながら、より頻繁に(例:栃木県の基準では計5回)液肥などで調整しながら与えます。肥料が直接根や茎に触れないように注意しましょう。
イチゴの肥料をやりすぎた場合、どのような症状が出ますか?
イチゴは肥料によるダメージを受けやすい植物なので、肥料の与えすぎには注意が必要です。肥料過多の症状としては、葉がしおれて元気がない、葉が異常に大きくなり色が濃くなるなどが考えられます。特に窒素が多すぎると、葉ばかりが茂って花や実がつきにくくなる「つるぼけ」という状態になることがあります。肥料の与えすぎは、細い根の発育を妨げ、生理的な障害や病気の原因にもつながります。もしそのような症状が見られた場合は、追肥を中止するか、たっぷりの水を与えて土の中の肥料の濃度を下げるなどの対策が必要です。